の続きです。
あんなことがあったのに、
春樹くんは翌日登校したそうです。
私が春樹くんだったら、
絶対学校を休んでると思います。
なんて強い子なんだ…
と思ったのと同時に、
コウのことも心配でした。
コウに話を聞くと、
宿泊学習が終わってからも変わらず、
昼休みになるとA組のほうへ
春樹くんは遊びに来るそうです。
コウもその前と変わらない日常を
楽しんでいるようでした。
でも、いじめがあった事実について
学校側からは何の発表もありません。
モヤモヤした私は、
コウを学校へ迎えに行く機会があったので
その際にA組主任の川崎先生へ
聞いてみました。
『先生…春樹くんは、昼休みに来てどんな感じですか?』
学校から発表が無くても
私は知ってますよ、という
アピールのつもりでもありました。
『うん、変わらず元気にやってますよ
コウとね、先生の弾くギターを楽しんでるよ』
そっか…とりあえずは安心。
でも私には
先生に言いたいことがありました。
『宿泊学習で何があったかは、春樹くんのお母さんから聞きました。
正直、中学生男子が先生に怒られたくらいで改心するとは思えません
叱られたら、“今度はバレないように”と思うのが普通(と言ったらおかしいですが)じゃないですかね?』
春樹くんの様子が
以前と変わらないからといっても
安心しないでほしい。
ちゃんと目を光らせてほしい。
そういう意味で言いました。
でも川崎先生からの回答は。
『谷さん、心配いらないですよ
コウのことはしっかり見てますから』
え、いや、そうじゃない。
コウじゃなくて、
私は春樹くんの話をしてるんです
『伊藤先生だって若いけど生徒からしたら教師だから、伊藤先生がバックにいると思われてるコウには、そういう子達は手出ししませんよ』
川崎先生は、とても良い先生です。
支援級の主任として、
知識も経験も豊富だし、
いつもコウを含めて生徒のことを
一番に考えてくれます。
でもこの発言だけは
どうしても理解できなくて。
きっと川崎先生の発言も、
支援級の主任としては正しい回答です。
でも、教師は自分の受け持つ生徒しか
守らないという事なんでしょうか?
それなら春樹くんの担任は、
どうして春樹くんを
守ってくれなかったんでしょうか?
安心してください、と言う
川崎先生の後ろには、
任せてくださいと言う表情の
伊藤先生もいました。
結局モヤモヤが増えて、
帰宅してしまったのでした…。
続きます。