の続きです。
学年主任の川崎先生と一緒に現れた、
コウの中学初の担任の先生。
それは若くて長身のイケメン
の先生でした。
『あの…よろしくお願いします、伊藤です』
伊藤先生と名乗った彼は、
挨拶もどこかぎこちない感じ。
でも暗闇でも分かるくらいの
イケメンのオーラを放っていました![]()
顔は本当に、
片寄涼太くんそっくりです![]()
その伊藤先生を見てコウはというと…
逃走![]()
『やだー!』
と叫びながら家の回りをぐるぐる走り、
私は呆れと怒りが出てきました。
多動で人見知りだったコウは、
確かにこうやって初対面の場面とかは
緊張して逃げたり、
大声を出して走り回ることがありました。
でもそれ、だいぶ前です![]()
小学校入りたてくらいの話ですよ?
暗い中で家の周りを
マラソンのように走るので、
時折ゴン!と
エアコンの室外機やガスボンベに
ぶつかる音がします。
川崎先生は
『おっ?コウくんもうすっかり元気だなー
』
と笑って見ていましたが、
伊藤先生はコウの様子に驚いたようで、
固まっていました。
私は川崎先生に、
『コロナで部屋に籠ってから、落ち着きが無くなってしまって…
』
と正直に話しました。
川崎先生は、
『そりゃ仕方ないよねぇ![]()
熱は下がったのに部屋にいろって、子供にはしんどいもんねぇ
』
と穏やかに言ってくれましたが、
私は…。
夜の住宅地に響くコウの声。
住宅設備にぶつかる音。
伊藤先生の表情。
うんざりしました。
自分の体調が本調子じゃない、
というのもあったかもしれませんが、
もう本当にこの場から
消えてしまいたい、と思いました。
…とここで、伊藤先生が
思いもよらない行動に出ました。
慣性で何周もぐるぐる走っていたコウを、
自分の前を通過するタイミングで
コウの前に立ちはだかったんです。
『コウくん、コウくん!ちょっとストップ!!
こっち見て?僕、伊藤です
』
高身長の伊藤先生に
抱きしめられるようにして
ようやく止まったコウ。
そして、次の瞬間。
『ひぃぃ!!』
いきなり私の元へ来て、
私に抱きついてきました。
コウさ…あんたまじで
何やってんの![]()
4人それぞれが違う表情をしたこの状況から
早く逃げたくて仕方ありませんでした。
…続きます。


