の続きです。
『去年は私が土井さんの被害者だった』
と語った近所のママ、林さん。
ただただ土井さんという人間に
嫌悪感が増していきました。
林さんと別れて家に入るとすぐ、
まみちゃんからLINEが。
『ちょっと話したいんだけど、今からそっちに行っていい?』
まみちゃんの家と我が家は
ほんとに目と鼻の先。
いいよ、と送って3分もしないうちに
まみちゃんは来てくれました。
前にも書きましたが、
まみちゃんちは
小6の女の子と小3の男の子がいて、
小6のお姉ちゃんがダウンちゃんです。
そして、
コウと同じ小学校へ通っています。
(引っ越してきて偶然知りました)
『林さんから、何か話あったでしょ?』
『え、なんで知ってんの?!』
『林さん、校門出る前意気込んでたから
“絶対谷さんを連れ戻す”って』
そ、そうなんだ…
『…で、私も同じことを言おうと思って来た』
そう言いながらも、
まみちゃんの話は林さんよりも
怒りがこもっていました。
『あんな奴のために凜ちゃんが登校班抜けることなんかないよ。
歩くのが遅いんだったら、どうしたらみんなと同じスピードで歩けるか、なんで考えられないんだろ?!
入学したての1年生にそんなこと言うのが信じらんない!』
まみちゃんはさらに、
『うちの息子と手をつないで行けばいいじゃん』
と提案してくれました。
確かに登校班の上級生の中で、
親同士が仲良いというのもあってか
まみちゃんの息子くんに一番
シュウは懐いています。
でも、歩く時の並ぶ順番は二人は
間に3人くらいいて離れています。
ちなみにその順番も
土井さんが勝手に決めました
『順番なんか無視すりゃいいよ。
横に広がらなきゃいい話でしょ?
軍隊じゃないんだし、そこまで彼女に指図される覚えはない』
まみちゃん…
つよ
林さんと真逆なんですけど
するとまみちゃんは言いました。
『私は林さんみたいに、誰かに怯えたり顔色伺いたくないんだよ。
元々土井さんも、私には何も言ってこないし。
私の事怖いんじゃない?』
確かにまみちゃんは、
かわいいんですけど猫のようなつり目で、
第一印象がキツイと思われがちです。
それでいてこのようにサバサバして
誰かに媚びたりしないので、
土井さんは最初からまみちゃんは
取り込むつもりは無かったのかもしれません。
だから、まみちゃんの家は
土井さんの真ん前ですが、
林さんみたいに見られることを
気にはしないし、
土井さんもまみちゃんには
何も言いません。
そしてまみちゃんは土井さんについて
こんなことも言いました。
『凜ちゃんがいないときさ、彼女シュウくんの腕つかんで、投げるように押して“早く歩きなさい”ってやってるんだよ。
ちょっと押すってレベルじゃないよ?
突き飛ばすくらいの勢いだよ』
…え?
知らなかった…
『シュウくん1度、土井さんに言い返したんだよ。
“いってーな”みたいに』
いや、シュウもシュウでおいおい…
たまらず私はその場にシュウを呼び、
『そうなの?』と事実確認。
すると。
『うん、言ったよ
いってー、やめろって言ったら、ツメでぐーってされた』
ぐーってのは、
爪の跡が食い込むくらいに
掴まれたそうです。
まみちゃんもそこまでは知らなかったらしく、
2人で絶句…。
シュウだけが笑っていました。
『こんどやられたら、“やめろクソババア”って言おうっと』
登校班には戻らない。
もうこの1択でした…
続きます。
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