酒屋への夜のお使い


その後も何度も行くうちに


店主のおじさんから


声をかけられるようになった。


常連客のおじさん達からも。



そりゃそうだろう


小さな子供が


夜1人でお酒を買いにくる


奇異の目で見ていたに違いない



「偉いね〜」


「あんた、どこの子?」



不憫がる皆の様子が


小さな子供の私には


優しいおじさん達に映った



行くたびにだんだんと


「おぉ~また来たか」


と距離を縮めていった



そして、この日は


「おうちどこ?」


「名前は?」


と、突っ込んで詳しく聞くおじさん達



私は正直に答えた


答えてしまった…



自分に興味を持ってくれる


優しいおじさん達


嬉しかった



お酒を手に家に帰り


私は母にその嬉しさを報告してしまった…



偉いね〜と褒めてくれたこと


そして、


家を聞かれたこと…


名前を聞かれたこと…



母も喜んで笑ってくれると思って


この喜びを分かち合ってくれると思って


報告した4歳の子供の驚き



天国から地獄の気持ちだった…気がする



母は激怒して


「はぁ?!ムカムカなんで名前を教えたの?!」


そして


家をどの程度まで詳しく教えてしまったのか


母にかなりしつこく聞かれた記憶がある



酒屋へのお使いは


この日が最後となった