やあやあ、みなさまこんにちは。
記念すべき第一回目は
ドイツの「ブンツラウアー陶器」を取り上げます。
こちらの陶器、「ドイツの」と書きましたが、実はポーランドにも似たような陶器があるのです。
異なる二つの国で作られる一つの陶器。
まずはその歴史をご紹介。
ポーランドとドイツの国境付近に位置するボレスワヴィエツ地方。
ここは良質な陶土層に恵まれ、14世紀ごろから陶器製造が始まりました。
ポーランド人によって地道に、陶器の製造技術が磨かれていきます。
しかし第一次世界大戦から第二次世界大戦にかけて、
この地方は一時的にドイツ領(ドイツ名:ブンツラウ)となります。
この時に移住してきたドイツ人は、この地の陶器産業を礎にして新たな陶器製造会社を設立し、
そして、海綿を使ってスタンプをするという、独特の絵付け方法を生み出します。
第二次世界大戦後に再びこの地方はポーランドに返還され、
戻ってきたポーランド人たちによって再び陶器が作られるようになりました。
一方、故郷ドイツへ帰ったドイツ人たちもボレスワヴィエツで培った技術を守り続け、
「ブンツラウアー陶器」として今に伝えています。
ドイツとポーランドの国境付近で生まれ、育まれ、伝えられてきた「ブンツラウアー陶器」。
国境という、一種の「境目」で、
「ドイツ人」や「ポーランド人」、「ドイツ」や「ポーランド」など
「名称」としてつけられたものにははっきりと境界線が引かれているけれども、
そこに存在する自然や暮らし、伝統などは、
区切られることなく、共存し、伝えられている。
そういったものの一つとして存在する、この「ブンツラウアー陶器」。
どうかこの先も、ずっと、大切に守られていきますように。