【マリンの受験戦記4~特別支援学級移籍1~】

 

 

さて。

 

そんなこんなで、マリンの希望する、支援級こと特別支援学級に移籍するにあたって、問題がいくつかあった。

 

第一の問題は、マリンの希望には続きがあったということ。

 

「1年生の時みたいに、いじめられたら嫌だから、転校して、転校先の学校の支援級に行きたい」

 

 

………転校、かぁ………

 

 

さすがに、オオゴトである。

 

 

が、マリンの不安は分からんでもなかった。

 

 

マリンの言い分通り、1年生の頃、ひょんなきっかけで、いじめっぽい状況に発展したことがあり、マリンにとってはそれは避けたいのだろうと思われ。

 

 

とにかく、不安を不安のままにしておくと、思考停止してしまうマリンだから、まずは安心を確保するのが大事だと、ママは(実際に転校するかは置いておいて)転校が可能な状況を確保してあげることにした。

 

 

まずは、学校に問い合わせ。

 

 

こういう時、担任の先生だけではどうにもならないのは百も承知なのだけれど、筋としてとりあえずは担任に相談してみた。

 

 

案の定、まぁ難しいとの返事。

 

 

今現在いじめがあるとかだったら特例として認められるけど云々と。

 

 

まぁ、予想通り。

 

 

ただ、マリンの心配は単なる心配性ではなく、実際に1年生の時に、いじめにあっている(ちなみに小学校の時にも別件で一回あった)ので、少なくとも机上の空論でもなければ、杞憂と言い切るのも少々可哀そうではある。

 

 

という、一応のママの反論を踏まえて、学校からは、不登校の生徒が行くという、「適応教室」とやらを勧められた。

 

 

そこで、適応教室に見学に行き、いつでも通えるように、一応手続きをとった。

 

 

ただ、マリンの希望としては、学校に行きたい、ということだったので、ママはここで奥の手を切ることにした。

 

 

祖父母の家に住民票を移して、その学区に転校する、という大変アクロバティックな手である。

 

 

が、まぁこれは、実際にどうこうするためというよりは、確実な逃げ道を本気で確保してあげたうえで、マリンに一度冷静にもどらせるための、いわば陽動作戦だ。

 

 

陽動とはいえ、敵をだますにはまず味方から、ということで、祖父母にも、住民票の移動について許可をとり、学校にも、どうしてもとなったら、その方法で転校が可能かどうかの言質、もとい確認をとっておいて、準備万端。

 

 

いざとなれば転校は可能、ということをまずはマリンに伝え、続いてこう尋ねた。

 

 

「でもさ、○○ちゃんとも、□□ちゃんとも、別々の学校になるんだよ?部活も、マリンは部長なのに、それでいいの?」

 

 

「うん。いい」

 

 

 

早いな!!

 

 

 

てゆーかこれはあれだ。

 

 

 

塾の時と同じ。

 

 

多分、想像力が追い付いてないだけだ。

 

 

案の定、翌日、部活の友達と、幼馴染兼後輩ちゃんに話したところ、

 

 

「マリンがどうしてもそうしたいなら、私は支持する。でも、私はめちゃくちゃ寂しいから、本当は行ってほしくない」

 

 

とか

 

 

「転校!?絶対ヤダ!!ダメ!!マリンと離れるとか、ダメダメダメ!!」

 

 

とか。

 

 

実にありがたくも温かい反応が返ってきたらしく……

 

 

まぁ、その他にも、色んなすったもんだがあり。

 

 

結果的に、マリンは転校を断念した。

 

 

ということで。

 

 

支援級に移籍したことによる周囲の反応を心配しつつも、

 

 

今までと同じ中学校内で、普通級から、支援級へ移籍するための、手続きがはじまった。

 

 

まずは、支援級担当の先生と、学年主任の先生との面談から。

 

 

ところが……これがまた、一筋縄ではいかなかった。

 

 

 

 

ということで。

 

つづく。