《最後の晩餐》のもととなった聖なる歌 | アカシックレコードの世界

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The Knowing Way Japan (旧Gary Bonnel Japan)認定インストラクター&プロフェッショナルアカシックリーダー中島志保のつれづれ日記です。音楽家としても活動中です♪

過越(すぎこし)について

 

旧約聖書の創世記(第17章)には、神がアブラハムと契約を結ぶようすが記されています。この契約は、息子イサク、孫ヤコブと継承されます。創世記(第35章)には、ヤコブには12人の息子がいることと、神がヤコブをイスラエルと名づけたことから、ヤコブ、12人の息子たち、そこから発展していく一族をイスラエルの人々と呼ぶことになります。

 

創世記(第42章)から最終章(第50章)によると、イスラエルの人々は、自分たちが住むカナン地方が大飢饉に見舞われたことで、食糧を大量に備蓄していたエジプトに食糧を買いに行きますが、イスラエルの人々は、エジプトの王ファラオに命じられて、エジプトの土地を貸与され、収穫の5分の1をエジプトの王ファラオに納めるという取り決めにより、奴隷の身分となってエジプトで暮らすことになりました。その後、イスラエルの人々はたくさん子どもを産み、一つの民族として勢力を持つようになったことから、エジプトの王ファラオは国を乗っ取られることを恐れ、イスラエル人に強制労働の監督を置き、重労働を課したことで、イスラエル人の生活は過酷を極めることになりました。

 

旧約聖書の出エジプト記は、エジプトで奴隷の身分になり日々の過酷な労働を強いられているイスラエルの人々を救い出すために、神は、ヤコブの12人の息子のひとりであるレビの子孫、モーセを召命(vocatio)するところから始まります。エジプトの王ファラオは頑固で、イスラエルの人々がエジプトから出ることを許さないことから、神は、エジプト全土にさまざまな災いを仕掛け、さらにエジプト中の人間や動物すべての初子の命を取るという罰を下すことにしました。そして、まだエジプトの国外に出ることができずにいるイスラエルの人々に、この天罰による災いが襲い掛からないように、「家族ごとに小羊を一匹ずつ用意し、過越(すぎこし)の犠牲を屠る(ほふる)ことと、その子羊の血を家の入り口の二本の柱と鴨居に塗るようにしなさい」とモーセに伝え、モーセはイスラエルの人々にこの神の言葉を伝えました。そしてエジプト人に天罰が下されたその翌朝、入り口に小羊の血が塗ってある家だけは、天罰の犠牲者が出ませんでした。これを過越(すぎこし)といいます。

 

モーセは、イスラエルの人々を無事にエジプトの国外に逃がすことができました。そこで神は、モーセに、この月を「正月」とすることと、正月を迎えるたびに、酵母を入れずに焼いたパンを7日間食べて、7日目にお祭りをするように命じました。この習慣はペサハ(過越祭・すぎこしさい)として今日まで続いています。ユダヤ教を信仰する人々は、ペサハというお祭りの日になると、ユダヤ教の教典を読み、食卓の儀式(伝統的な食事)をしながら、エジプトの奴隷から解放された先祖たちに思いを思いを馳せます。このとき、パン種(酵母)を入れずに焼いたマッツォ(matztzah)を食べることが過越祭の決まりとなっています。

 

過越の祭りのイラスト

過越しの祭りのイラスト(絵札)

 

・・・ちょっと話は逸れますが、日本人が正月に神社に行くことと、おせち料理を食べることが、ユダヤ教の正月のお祭りに似ているように思います。おせち料理は食卓の儀式ですし、そこで食べるお餅(もち)が、酵母を入れないパンであるマッツォと発音が似ていることも興味深いです。

 

種無しパンのマッツアひとつ(SOMミニストリーズ)

 

 

上記の内容が書かれた旧約聖書の箇所を下記にご紹介します:

 

主の過越(旧約聖書 出エジプト記 第12章)

エジプトの国で、主はモーセとアロンに言われた。「この月をあなたたちの正月とし、年の初めの月としなさい。イスラエルの共同体全体に次のように告げなさい。『今月の十日、人はそれぞれ父の家ごとに、すなわち家族ごとに小羊を一匹用意しなければならない。もし、家族が少人数で小羊一匹を食べきれない場合には、隣の家族と共に、人数に見合うものを用意し、めいめいの食べる量に見合う小羊を選ばねばならない。その小羊は、傷のない一歳の雄でなければならない。用意するのは羊でも山羊でもよい。それは、この月の十四日まで取り分けておき、イスラエルの共同体の会衆が皆で夕暮れにそれを屠り、その血を取って、小羊を食べる家の入り口の二本の柱と鴨居に塗る。そしてその夜、肉を火で焼いて食べる。また、酵母を入れないパンを苦菜を添えて食べる。肉は生で食べたり、煮て食べてはならない。必ず、頭も四肢も内臓も切り離さずに火で焼かねばならない。それを翌朝まで残しておいてはならない。翌朝まで残った場合には、焼却する。それを食べるときは、腰帯を締め、靴を履き、杖を手にし、急いで食べる。これが主の過越である。その夜、わたしはエジプトの国を巡り、人であれ、家畜であれ、エジプトの国のすべての初子を撃つ。また、エジプトのすべての神々に裁きを行う。わたしは主である。あなたたちのいる家に塗った血は、あなたたちのしるしとなる。血を見たならば、わたしはあなたたちを過ぎ越す。わたしがエジプトの国を撃つとき、滅ぼす者の災いはあなたたちに及ばない。この日は、あなたたちにとって記念すべき日となる。あなたたちは、この日を主の祭りとして祝い、代々にわたって守るべき不変の定めとして祝わねばならない。七日の間、あなたたちは酵母を入れないパンを食べる。まず、祭りの最初の日に家から酵母を取り除く。この日から第七日までの間に酵母入りのパンを食べた者は、すべてイスラエルから断たれる。最初の日に聖なる集会を開き、第七日にも聖なる集会を開かねばならない。この両日にはいかなる仕事もしてはならない。ただし、それぞれの食事の用意を除く。これだけは行ってもよい。あなたたちは除酵祭を守らねばならない。なぜなら、まさにこの日に、わたしはあなたたちの部隊をエジプトの国から導き出したからである。それゆえ、この日を代々にわたって守るべき不変の定めとして守らねばならない。正月の十四日の夕方からその月の二十一日の夕方まで、酵母を入れないパンを食べる。七日の間、家の中に酵母があってはならない。酵母の入ったものを食べる者は、寄留者であれその土地に生まれた者であれ、すべて、イスラエルの共同体から断たれる。酵母の入ったものは一切食べてはならない。あなたたちの住む所ではどこでも、酵母を入れないパンを食べねばならない。』」

 

モーセは、イスラエルの長老をすべて呼び寄せ、彼らに命じた。

「さあ、家族ごとに羊を取り、過越の犠牲を屠りなさい。そして、一束のヒソプを取り、鉢の中の血に浸し、鴨居と入り口の二本の柱に鉢の中の血を塗りなさい。翌朝までだれも家の入り口から出てはならない。主がエジプト人を撃つために巡るとき、鴨居と二本の柱に塗られた血を御覧になって、その入り口を過ぎ越される。滅ぼす者が家に入って、あなたたちを撃つことがないためである。

 

あなたたちはこのことを、あなたと子孫のための定めとして、永遠に守らねばならない。また、主が約束されたとおりあなたたちに与えられる土地に入ったとき、この儀式を守らねばならない。また、あなたたちの子供が、『この儀式にはどういう意味があるのですか』と尋ねるときは、こう答えなさい。『これが主の過越の犠牲である。主がエジプト人を撃たれたとき、エジプトにいたイスラエルの人々の家を過ぎ越し、我々の家を救われたのである』と。」

 

民はひれ伏して礼拝した。 それから、イスラエルの人々は帰って行き、主がモーセとアロンに命じられたとおりに行った。

 

 

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レオナルド・ダ・ヴィンチの絵画『最後の晩餐』は、新約聖書に記されている有名なシーンで、ユダヤ教のペサハ(過越祭)の日、イエスが、12人に弟子たちとともに、食卓の儀式、つまり、過越(すぎこし)の食事をする様子を描いたものです。

 

最後の晩餐

 

この食事のあと、イエスは、ローマから派遣されてユダヤ人が住む地域を治めていた総督ポンティオ・ピラトの尋問と命令により十字架に磔(はりつけ)になります。イエスは自分がこの運命になることをすでに知っていて、この場が「過越の食事」という食卓の儀式の場であるだけでなく、イエス(自分)そのものが過越で犠牲となる子羊の象徴であるという二重の意味を持っているということを12人の弟子たちに対する賛美の祈りの中にこめています。

 

 

このことについて書かれた新約聖書の箇所を下記にご紹介します:

 

過越の食事をする(マタイ福音書第26章)

除酵祭の第一日に、弟子たちがイエスのところに来て、「どこに、過越の食事をなさる用意をいたしましょうか」と言った。イエスは言われた。「都のあの人のところに行ってこう言いなさい。『先生が、「わたしの時が近づいた。お宅で弟子たちと一緒に過越の食事をする」と言っています。』」弟子たちは、イエスに命じられたとおりにして、過越の食事を準備した。夕方になると、イエスは十二人と一緒に食事の席に着かれた。一同が食事をしているとき、イエスは言われた。「はっきり言っておくが、あなたがたのうちの一人がわたしを裏切ろうとしている。」弟子たちは非常に心を痛めて、「主よ、まさかわたしのことでは」と代わる代わる言い始めた。イエスはお答えになった。「わたしと一緒に手で鉢に食べ物を浸した者が、わたしを裏切る。人の子は、聖書に書いてあるとおりに、去って行く。だが、人の子を裏切るその者は不幸だ。生まれなかった方が、その者のためによかった。」イエスを裏切ろうとしていたユダが口をはさんで、「先生、まさかわたしのことでは」と言うと、イエスは言われた。「それはあなたの言ったことだ。」

 

 

主の晩餐

一同が食事をしているとき、イエスはパンを取り、賛美の祈りを唱えて、それを裂き、弟子たちに与えながら言われた。「取って食べなさい。これはわたしの体である。」また、杯を取り、感謝の祈りを唱え、彼らに渡して言われた。「皆、この杯から飲みなさい。これは、罪が赦されるように、多くの人のために流されるわたしの血、契約の血である。言っておくが、わたしの父の国であなたがたと共に新たに飲むその日まで、今後ぶどうの実から作ったものを飲むことは決してあるまい。」一同は賛美の歌をうたってから、オリーブ山へ出かけた。

 

最後の晩餐のキリスト(絵礼)

 

 

『最後の晩餐』の席で、イエスが弟子たちとともにした賛美の祈りは、ペサハ(過越祭)の期間に歌われるハレルの詩編(旧約聖書 詩編115-118)でした。これはヘブライ語で TEHILLA(テヒラー)と呼ばれており、それがのちに HALELLUYA(ハレルヤ)という言葉になりました。ハレルヤという言葉はヘブライ語のハレル(たたえる)とヤー(神ヤハウェ)に由来するもので、心からの感謝をもって神をたたえよという意味になります。

 

 

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古代のハレルの詩編につけられた音韻から発展したものに、Victimae paschali laudes(過越の犠牲をたたえよ)という中世の聖歌があります。この聖歌は、荘厳な雰囲気をもつドリア旋法で作られていることと、テキスト(歌詞)がシンプルな韻を踏んでいることから、独特の神聖さをもっています。

 

 

グレゴリオ聖歌

 

この聖歌は、日本の国歌「君が代」に似ているともいわれており、これも興味深いです。実際にこの聖歌をもとに日本の国歌「君が代」が作られたということではないとしても、音と韻が似ていることで、日本という国家の成り立ちともシンクロしているのかもしれません…。
 

それだけではなく、旧約聖書の過越(すぎこし)の神話と、京都の八坂神社をはじめ国内のいくつかの神社で祀られている蘇民将来(そみんしょうらい)神話が似ていることや、蘇民将来にちなんで行われる茅の輪(ちのわ)くぐりの「茅(ち)」と過越の血(ち)が同じ音であること、過越の際に子羊の血を塗った二本の柱と鴨居が赤い鳥居に似ているなど、この二つの神話には共通するものを感じる箇所がいくつかあります。そういう意味でも、旧約聖書の内容を知ることは、日本人として深い意味があるように思います。

 

茅の輪(川良くも)

 

◆◇セミナーのお知らせ◇◆

毎週土曜日の夜に開催しておりますNLP特別セミナーでは、5月は、「過越の犠牲をたたえよ」の聖歌をマスターいたします。この聖歌は、テキスト(歌詞)がシンプルな韻を踏んでいることと、同じメロディが2回ずつ続くことから、2人(または2グループ)で掛け合うように歌うと、テキスト(歌詞)であらわされている過越(すぎこし)の情景が立体的に浮かび上がる様式になっています。全3回のセミナーで、この聖歌の背景にある旧約聖書の過越(すぎこし)やイエス・キリストの『最後の晩餐』の真の意味を深めながら、1000年以上も歌い継がれてきた西洋マントラを実践したいと思います。この3回の講座が終わる頃は6月に入りますので、京都の八坂神社をはじめ、いくつかの神社に設置される茅の輪くぐりの儀式を受けるのもいいですね。夏至に向けて、ひとつのエネルギーの区切りになることでしょう。

 

《NLP講座としての目的》

◎エピステモロジー(認識論)

・子音の発音とアーティキュレーション

・母音の響きと言霊(ことだま)の関係

・日本語以外の言語とその周波数
 

◎メタファー

・旧約聖書、新約聖書、日本の神話、その共通点

・メタファーとシンボル

・メタファーと相似形

 

◎プレゼンテーション

・自分の声を育てる
・神聖さのプレゼンテーション

 

《5月の内容》

05月11日(土)20:00~21:00

●グレゴリオ聖歌の歌詞の発音

●グレゴリオ聖歌の音の取り方

●歌う実習


05月18日(土)20:00~21:00

●グレゴリオ聖歌の歌詞の発音

●グレゴリオ聖歌の音の取り方

●歌う実習

 

05月25日(土)20:00~21:00

●グレゴリオ聖歌の歌詞の発音

●グレゴリオ聖歌の音の取り方

●歌う実習

 

★参加費:1回(60分):3,000円(税込)

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