「自家増殖自家採種法案」

というものをご存じだろうか。

 

台風被害の真っただ中、ラグビーやらクライマックスシリーズやらと大盛り上がりの中、しれっとアベ政権(と、その背後にいる利権の輩、海外メジャー企業、闇権力)はほとんどの大衆が関心を示さぬよう水面下で動きを見せている。

 

もちろん、新聞・テレビメディアはその他の出来事で紙面を埋めているため、まずこうした危険事項にはノータッチ。

 

というか、売国アベの背後には例の如く、闇権力がいる。政治家もメディアも所詮は奴らの動きには歯向かえないのか、利権や保身が魅力なのか、別のことで大騒ぎして大衆の目をそちらに向かわぬよう振る舞う。

「いや、わが党はそんなのには賛同していない」「わたしは、、」などと後出しで言ったところで誤魔化せはしないが、大衆のほとんどが誤魔化せていればそれでオッケーなのだろう。

 

種の問題については、単なる利権やビジネスだけにとどまらない、遺伝子組み換えという非常に危険極まりない(それが目的)問題点がある。

 

※「種子法」の廃止のみならず、さらにそれよりも「種苗法」の改定の動きが、危険極まりないものと考えられる。

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

(↓以下、引用元:http://j-aj.jp/topics/pressreport/8252/

 

山田正彦氏記者会見「種子法廃止の問題点」概要
2018年12月5日(水)15時00分〜16時30分渋谷・道玄坂会見場
登壇者:山田正彦(元農林水産大臣、弁護士)

山田正彦氏による記者会見

皆さん、こんにちは。この種子法。今、国会で水道法がいよいよ可決されました。

国内法では憲法が最高法規。日本の法体系では国内法の上に条約が来るんです。韓国もそう。だから、韓国では米韓FTAを結んで、200本もの法律をこの6年間で改定しました。


 日本もTPP協定が12月30日からいよいよ発効します。「TPP11」と言ってはおりますが、内容は全くTPPそのもの。8000ページ、30章。それに6ページ上書きされただけです。6ページの上書きには凍結事項があるものの、実際には日本には全く関係ない凍結事項です。

こうして種子法も廃止され、水道法、市場法も事実上廃止漁業法もこの国会で改正されました。


これまで漁業権はそれぞれの浜の漁民の権利だったんです。農家のように田畑があるわけじゃありませんから。だから、「この岬から向こうの島の浜までは、うちの地域の海だ」と。そこで海産物を取ることについて、江戸時代の昔から血で血を洗うような争いがあったわけです。

改正漁業法では、この漁業権を漁民から取り上げて、米国やカナダなどの大手水産会社に共同入札でやらせるという。とんでもないことがこれから起こります。


こういったものの背景には日本が2016年、ニュージーランドでTPP協定に署名した際、日米間で交わされた「保険等の非関税措置に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の書簡」があります。

これは誰でも見られる。30ページ程度のものです。

その一番最後のほうに

 

〈日本国政府は、2020年までに外国からの対内直接投資残高を少なくとも倍増させることを目指す日本国政府の成長戦略に沿って、外国からの直接投資を促進し、並びに日本国の規制の枠組みの実効性及び透明性を高めることを目的として、外国投資家その他利害関係者から意見及び提言を求める。意見及び提言は、その実現可能性に関する関係省庁からの回答とともに、検討し、及び可能な場合には行動をとるため、定期的に規制改革会議に付託する。
日本国政府は、規制改革会議の提言に従って必要な措置をとる

 

とあります。

 

規制改革会議といえば、竹中平蔵宮内義彦が顔をそろえているところです。

 

(註:でました・・・!売国といえばタケナカヘイゾウ。郵政民営化ではコイズミと共に日本の金をハゲタカファンドに流した張本人)


これではもう独立国とは言えないんじゃないか。国会は国会として機能できないんじゃないか。だから、臨時国会はただ形式的な審議だけ。次から次に法案が出てきて、ろくな審議時間も設けない。
 種子法廃止法案は一昨年の11月に規制改革会議で決定。今年2月に閣議決定。3月に衆議院通過。4月に参議院を通す。この間、ほとんど報道されなかった。

実は私どもは4年間、TPP違憲訴訟をやってきました。今年1月に高裁判決が出ています。結果的に却下されたわけですが、TPP協定は未だ発効されていない。発効されていないから、それに伴う法律などの改変、改廃はなされていない。「よって、国民の権利・義務に変化はない」と言って却下されたんです。

「しかし、実際には種子法が廃止されたじゃないか」と争いましたら、高裁は判決理由の中で、「種子法の背景にTPP11があることは否定できない」と明言しています。

これと同じように、水道法、漁業法なども全てTPP協定の30章の中に書かれている内容です。

種子法があることで、これまでどうだったか。

一番わかりやすいのは、野菜の種子でしょう。野菜の種子は30〜40年前まで、伝統的な固定種(親から子、子から孫へと代々同じ形質が受け継がれている種。味や形が固定されたものが育つ)でした。

ところが、今では海外で90%を生産。伝統的な固定種のほとんど海外生産されている。

この前、夏休みの宿題でホームセンターで売られている種子を全て調べました。243ある種子の中で国内生産の種子は3つしかなかった。そういう状況です。
かつては全部、100%国産だった。それが30年の間に海外生産となって、どう変わったか。

F1(異なる親を交配させることで親とは違った新しい形質を持つ種子)になって、同時に種子の値段が上がった。

例えば、イチゴやトマトの種子はかつて1粒1〜2円だったのが、今では40〜50円です。どんどん高くなっている。

じゃあ、その種子をどこが生産して売っているのか。

私は昨年夏、モンサントの見学会に行ってきました。

そのときに意外な話を聞いた。「日本の野菜の種子はうちで作っています」というんです。

今、世界の種子市場はモンサント=バイエルダウ=デュポン、そして中国化工集団に買収された世界最大の農薬会社シンジェンタ3社にほぼ7割を握られています。

日本の野菜の種子もおおよそ押さえられたと言っていい。


ただし、コメと麦と大豆は違います。種子法によって政府が種子を管理してきました。今でも国産100%。伝統的な固定種です。
 日本のコメ・麦・大豆の市場規模は野菜の7倍あります。

モンサント、デュポン、シンジェンタがTPP協定で狙ったのはこれだったんです。

種子法について

では、種子法廃止でどうなるか。
これまでですと、まず、種子法で各都道府県に1年かけて原原種を作らせます。これは1本ずつ植えていく。なぜか。種というのは不思議なもので、放っておくと、コメの場合なら、黒米になったり、赤米になったり。背が高くなったり、低くなったり。どんどん変わっていく。
 純粋なコシヒカリの開花時期や味、丈の高さなど、いろいろな要素をそろえていく必要があります。そろっていないものは取り除く。そのために1本ずつ植えているわけです。

茨城県の農業試験場で作っているコシヒカリの原原種はもともと福井県で作られたものだった。場長が言うには、「もう30年間、茨城県で原原種を作っている。だから、福井県に種子を持っていっても、もう育たないだろう」と。それくらい種っていうのは変わっていくそうです。
この試験場で作ったコシヒカリの原原種を2年目に原種苗センターに持っていき、今度は原種を作る。茨城の原種苗センターは27ヘクタールもあります。広いところです。ここでコメや麦、大豆の原種を県が作っています。200人くらいが関与している。

3年目にようやく種場農家を県が選び、指定する。種場に補助をし、県が作った原種を分けて、種子を作ります。この種子が栽培され、収穫されて、種子センターに集められる。そして、選別され、コシヒカリの正種となって、県が保証書をつける。「発芽率90%。安定して安心してできるコシヒカリの種子です」と。で、4年目に初めてその種子からコメを作れるようになるわけです。これが今までの種子法による仕組みでした。

先ほどお話ししました茨城県のコシヒカリの種子は1キロ500円です。種子法廃止を受けて農林水産省の役人が全国8カ所を回った。「三井化学の『みつひかり』という優良な種子があるじゃないか。それをなぜ使わないのか」という話をして回ったわけです。

この「みつひかり」の種子の価格は1キロ当たり、だいたい3500〜4000円です。コシヒカリの8〜10倍。すでにこれだけ高くなっている。
 「みつひかり」はF1です。豊田通商の「しきゆたか」もそう。日本モンサントの「とよのめぐみ」は「F1だ」とは言いませんが、僕はF1じゃないかと思っています。住友化学の「つくばSD」も同じです。

いずれにしても、そういう形で民間がいよいよやってきた。「みつひかり」は牛丼の吉野家で使っているコメです。「つくばSD」はセブン-イレブンのおにぎりに使われている。そう言われています。いずれも粒数が多い。インディカ種で大量に取れる。

これらのコメの宣伝文句はいずれも「収量がコシヒカリの1・2〜1・4倍」「味はコシヒカリ以上」。そういう触れ込みでした。とはいうものの、実際に食べてみましたが、そんなにおいしいものじゃない。

「みつひかり」の生産者10人くらいにも会ってみました。「収量は本当にそんなにあるのか」と聞くと、私が会った方々は皆さん「そんなことはない」と答えました。「最初の年はコシヒカリ並みにあればいいほうだ」と。「つくばSD」の生産者にも会いましたが、回答は同様。だから、収量に関しては必ずしも宣伝文句通りではありません。
にもかかわらず、「みつひかり」をはじめとするコメの種子は「収量がコシヒカリの1・2〜1・4倍」「味はコシヒカリ以上」という宣伝で農家にどんどん入り込んできています。

長崎県にいる「とよのめぐみ」の生産者を訪ねたことがあります。山間の谷で作っていました。風の強いところでも、丈が低いからよく育つと。ところが、収量はヒノヒカリというコシヒカリ系統の品種とそんなに変わらない。変わらないけれども、2年目から白葉枯病が大量に出た。というのは、化学肥料を大量に使うからじゃないかと思います。それでも続けてきた。私は「とよのめぐみ」のコメを5キロ送ってもらっていますから、誰か欲しい人がいたら、差し上げます。

日本モンサントが「とねのめぐみ」の生産農家と交わした契約書の8条には同社の代理店の指示に従わない場合は損害賠償しなければならないと書かれています。「化学肥料や農薬について何か指示があったか」と農家に聞いたら、「何もなかった」と答えました。
 「つくばSD」の生産農家と住友化学の契約書は11ページあります。非常に細かく書かれている。指定された化学肥料、農薬と種子がセットになっています。

このセットの中で指定された化学肥料や農薬を使わなかったり、全量を使い切れなかったりした場合には損害賠償の責任を負うことになっていました。
そして、価格の設定。コメや麦、大豆に関しては合格品か不合格品かの判定は第三者が決めるという規定が種子法にあります。ところが、「つくばSD」については住友化学が合格品かどうかを決める。価格はお互いに協議して決めます。契約書にはそう書かれている。

「みつひかり」の生産者が言っていました。最初の年、「『60キロ1万2000円でいい』と思ってやったけど、次の年は60キロ1万円になり、その次の年は9000円になったので、やめました」と。
 「よく簡単にやめられましたね?」と私は聞きました。というのも、この契約書を見る限り、継続的な契約関係になっている。正当な事由がない限り、そう簡単にはやめられません。賠償責任を負うことにもなりかねない。「みつひかり」の場合は契約書を交わしていなかった。その生産者はそう言っていました。

では、災害時はどうなのか。コメは大雨や旱魃、あるいは冷害などの影響で全滅ということもあります。その責任については、契約書にこう書かれている。「住友化学の責めに帰すべき事由がない限り、生産者の責任である」。がんじがらめの契約書になっています。
 富山県のある「みつひかり」生産者が言っていました。去年の話ですが、三井化学の若い社員が「今年の収穫はあんたのところはこれくらいだ」「品質はこうだ」と、表を持ってやってきた。「こんな若造に俺の田んぼのことがわかるわけない」と思って、コンバインを入れてみたら、あっち1株、こっち1株と抜いてやがったと。「みつひかり」はもともとインディカ種から生まれたものだと思っていた。株がこんなに大きくなる。だから、コンバインを入れると、ときどき壊れる。取り替えるのに20万円くらいかかるから、「もうやめた」と。そういう人もいました。

でも、こういう形がこれからの稲作では主流になっていく。というのも、種子法廃止で原種がなくなり、原原種がなくなる状況だからです。「みつひかり」のように出来合いの種子を使わないと、種子が作れない。民間の種子に頼らざるを得ないわけです。

農業競争力強化支援法について

種子法廃止法と一緒に通った法律がある。

農業競争力強化支援法です。

 

8条3項には〈農業資材であってその銘柄が著しく多数であるため銘柄ごとのその生産の規模が小さくその生産を行う事業者の生産性が低いものについて、地方公共団体又は農業者団体が行う当該農業資材の銘柄の数の増加と関連する基準の見直しその他の当該農業資材の銘柄の集約の取組を促進すること〉とあります。

ここには明記されていませんが、コメの品種は確かに「著しく多数」です。

今、各県の推奨品目だけで300種類。天皇家の古代米だけでも17種類。全国で今、1000種類くらいのコメが作られている。なのに、数種類の民間の種子に絞ってしまう。これが農業競争力強化支援法8条3項の趣旨だと思ってください。

この法律の8条4項には〈種子その他の種苗について、民間事業者が行う技術開発及び新品種材の供給の実現に向けた開発の目標を設定するとともに、独立行政法人の試験研究機関及び都道府県が有する種苗の生産に関する知見の民間事業者への提供を促進すること〉とある。
 明治以来、農水省が続けてきた国の育種治験の成果は独立行政法人種苗管理センターに蓄積されています。予算は年間2000億円ほどだと理事長が言っていました。そこにあらゆる種苗に関する各都道府県の育種知見が蓄えられている。こうした知見、いわば知的財産権を民間事業者に全て提供する。こういう法律が通りました。メディアはほとんど報じません。

例えば今、新潟県に新之助というコメの新しい品種があります。コシヒカリは育種登録期間が終わりましたが、新之助はまだこれからです。これをモンサントに譲渡する。ただでくれてやるのかと聞いたら、「そんなことはありません。ちゃんとお金は取ります。契約してやります」と言ってはいましたが。
これがモンサントの手に渡った場合、新潟のコメ農家がこれから「新之助を作りたい」というときにはロイヤリティーを払わないといけない

 

メキシコのトウモロコシ農家も原産国でありながら、そうなった。

フィリピンのコメ農家もモンサントにロイヤリティーを払って稲作をしています。

日本もそのようになってしまう。

7月に退任した奥原正明農林水産事務次官。

この奥原氏が現役だった当時、種子法に伴う運用規則を全て廃止すると。

〈都道府県に一律の制度を義務付けていた種子法及び関連通知は廃止するものの、都道府県が、これまで実施してきた稲、麦類及び大豆の種子に関する業務のすべてを、直ちに取りやめることを求めているわけではない〉とあります。

ということは、いずれはやめる。予算はつけませんよと。そういうことです。

次に〈民間事業者による稲、麦類及び大豆の種子生産への参入が進むまでの間、種子の増殖に必要な栽培技術等の種子の生産に係る知見を維持し、それを民間事業者に対して提供する役割を担う〉とある。

日本モンサントや三井化学、住友化学、豊田通商のような会社の種子を一般の農家が使い始めるまでの間は各都道府県がこれまでのように育種知見を維持する。それはいいですよと。その代わり、これを民間事業者に対して提供する役割を担うと。
つまり、日本の知的財産権、これまで築いてきた日本の育種知見を全て民間に提供するということです。とんでもない法律ができてしまっている。そして、実際に提供は始まっています。

国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)の理事長は久間和生。三菱電機元代表執行役副社長であり、内閣府総合科学技術・イノベーション会議の元常勤議員も務めました。今年4月に着任。実際に農研機構の育種の担当者が今、民間に出向を始めています。育種知見の流出はもう始まったと見ていい。

モンサントは20年前、コシヒカリで除草剤耐性、農薬のラウンドアップ(グリホサート)の遺伝子組み換え種子を開発。2001年には「祭り晴」で除草剤遺伝子組み換えのコメ種子栽培に成功しています。日本政府は70種類のコメについては、遺伝子組み換えについて承認を与えています。
この前、加賀のコメ農家から電話がかかってきました。飼料米の説明で北陸農政局に行ってみた。そしたら、「飼料米はこれから1反当たり11俵以上取らないと、補助金は出さない」と言われたそうです。ということは、飼料米から遺伝子組み換えをやるんじゃないか。そうなると、三井化学の遺伝子組み換えの種子で作らないといけない。心配して電話がかかってきた。

ゲノム編集ではこの前、中国で双子が生まれ、いろいろと問題になりました。

ゲノム編集にはDNAの一部を切り取って消す技術と、別の生物のDNAを入れる手法の2つがある。

環境省は8月7日、前者は「遺伝子組み換えではないから安全である」と発表しました。

今や日本政府は「ゲノム編集は安全」とはっきり言っています。農水省も環境省もこの点に違いはない。

 

(註:本当、どうしようもない大嘘つき、もしくは愚か者ですね・・・)

 

この前、パブコメも終わりました。

EUでは「ゲノム編集は新しい遺伝子組み換え技術。だから危険」と、遺伝子組み換えと同じ規制を加えている。

日米では安全だと言い出した。

それでも、まだ米国では抵抗が強い。このままいくと、ゲノム編集を最初にやり始めるのは日本ではないでしょうか。

ゲノム編集についてと表示について

ゲノム編集にはいろいろな問題があります。今日は一つだけお話ししたい。
 例えば、トマトの成熟する遺伝子を切り取ってしまったとしましょう。すると、1年も2年も3年も青々としたままで腐らない。こういったものが人間にとって本当にいいのか、悪いのか。まだ検証もしていないのに、「安全」として日本だけ始めるのはいかがなものかと思っています。

女性自身9月4日号にこんな記事が掲載されました。米国のがん患者、ドウェイン・ジョンソンさんが「モンサントの除草剤ラウンドアップが原因で悪性リンパ腫を発症した」と訴えた裁判。カリフォルニア州サンフランシスコの裁判所は8月10日、ジョンソンさんの訴えを認め、モンサントに約320億円の支払いを命じました。

私もすぐに渡米。裁判を引っ張ってきた女性に会って話を聞いた。この種の訴訟は米国で8000件起こされています。米国の25の弁護士法人で150人の弁護士が証拠を共通してやっているそうです。日経も「モンサントは1兆円の賠償を免れない」と書いています。
ところが、1週間前の日経にこんな記事が出た。バイエルがモンサントを買収した。「モンサントが裁判で負けた」という報道が世界を駆けめぐることでバイエルの株価が4割下がったという。4兆円がすっ飛んだそうです。さらにダウ=デュポンも下がる。そしてシンジェンタは中国化工集団に450億円で買収された。化学工業は今や四面楚歌だと。これは英国のエコノミストの翻訳記事です。

実際にバイエルを抱えるドイツもラウンドアップの主成分であるグリホサートは使わせない。フランス、イタリア、オランダも同様です。EU各国がグリホサート禁止という流れになってきました。2〜3年後には必ず禁止になってしまうだろうと思います。
ところが、日本は遺伝子組み換え農産物の承認大国です。

日本はTPP加盟以来、今年1月には309種類の遺伝子組み換え農産物を承認しています。

今ではさらに増えて317種類となっています。

米国ですら197種類。日本は今や承認大国になりました。

遺伝子組み換え農産物にはラウンドアップが必要です。

ラウンドアップの主成分はグリホサート。グリホサートと界面活性剤を混ぜたものがラウンドアップです。

このグリホサートを各国で禁止しようとしている中、日本は残留基準値をものによっては400倍に大幅緩和しています。ヒマワリが400倍、小麦は6倍、ソバが150倍、トウモロコシが5倍です。とうとうここまで来てしまいました。

これでどうなるか。実際には小麦は米国、カナダ、豪州から輸入しています。これらはまだ遺伝子組み換え農産物ではありません。しかし、遺伝子組み換えを米国は「やる」と言っていますから、この先はわからない。
 今までポストハーベスト、収穫後に農薬を撒いていました。ところが、これからは収穫前に撒く。グリホサートはもともと植物が芳香族アミノ酸(チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン)を作るシキミ酸経路のうち、5-エノールピルビルシキミ酸-3-リン酸合成酵素(EPSPS)を止めてしまいます。だから、小麦の収穫前に枯らす。そうすれば、収穫の手間がかからない。乾燥の手間もなし。コンバインが使いやすい。

日本でも日産化学は「大豆の収穫前にラウンドアップを撒きなさい」と宣伝しています。そうすると、収穫の手間がかからないというわけです。
 今、米国から来た小麦などはグリホサートをふんだんに含んでいる。そういう農作物をわれわれは食べさせられていると考えていい。その残留許容量が何倍にも膨れ上がる。そんな事態が今、起こっている。

グリホサートについてはいろいろな研究論文が出ています。今度の裁判でも、「グリホサートががんの原因になる」と裁判所が初めて認めた。いろいろあるので、皆さんも調べていただきたい。私も調べました。
ネオニコチノイドもEUでは今年4月から禁止です。

日本では、ものによっては残留基準を何と2000倍に上げています。
ロサンゼルスのスーパーに案内してもらったことがあります。店頭には日本と同じように果物、野菜が並んでいます。多くの農産物、加工品にはオーガニックかNon-GMOのシールが貼られている。そうした食品が溢れています。

「普通の商品はどこに並んでいるんですか?」と思わず聞いてしまいました。よく見ると、あるマヨネーズには両方のシールがついていない。消費者が自分で選択できるようになっているわけです。5年前にはそれができなかった。でも、今では当たり前になっている。イタリアにもこの前行ってきましたが、欧州も同じでした。

米国では今、年に10%オーガニック、有機栽培の農産物の生産が伸びています。遺伝子組み換え作物はもう頭打ちになってしまった。
では、遺伝子組み換え食品について日本ではどうなっているのか。TPP協定ではどう定めているんでしょう。
 日本では遺伝子組み換え食品は原則、輸入禁止となっています。ですが、実際にはほとんど野放し状態です。

しかも、5%以上の混入については表示が義務付けられていますが、食用油や醤油の5%以上の混入は検出可能であるにも関わらず、表示はいらない。
TPP協定の第2章19条に「現代のバイオテクノロジーによる農産物、魚、加工品その他」についての定義が初めて出てきます。第2章27条8項には「遺伝子組み換え農産物の新規承認を促進する」とある。

こんな協定に日本は署名しています。

第8章7条に農産物、食品についての表示の規定があります。

国が定める強制規格についてはモンサントなど利害関係者の意見を聴取し、それを考慮しなければならない。日本独自の表示は決められないことになっています。
 日米TPP並行協議による交換文書では強制規格について作業部会を設置するとなっている。実際に去年の4月から今年3月まで、TPP協定に基づき、遺伝子組換え表示制度に関する検討会が消費者庁に設けられました。その審議会に私が顧問を務める日本の種子を守る会の杉山さんというお母さんが傍聴に行ったんです。そしたら、写真をバチバチ撮られた。「失礼ですが、名刺くらい出してください」と言うと、ようやく名刺を出した。米国大使館員だったそうです。

今年3月28日に消費者庁は「遺伝子組換え表示制度に関する検討会報告書」を公表しました。それによると、意図せざる混入は5%まで認める。5%以上なら、「遺伝子組み換え不分別」の表示が対象品目に義務付けられます。
Non-GMO(遺伝子組み換えではない)の表示は混入率0%、検出不能でないと表示できないということになりました。NHKや主要紙など大手メディアは「これで消費者の安全はより増した」と一斉に報じた。
 本当にそうでしょうか。実は大豆や小麦粉もそうですが、今、きちんと分別・管理していたとしても、遺伝子組み換え作物の流通段階での混入は避けられません。ですから、EUでは0.9%の混入があっても、Non-GMOの表示ができます。米国でも同様です。飼料については5%以上の混入があっても、認められている。韓国では3%まで認められています。

日本では0%、検出不能が基準。もし、検出されたら、大変なことになります。
 2カ月ほど前、消費者庁は遺伝子組み換えではない醤油や味噌を作る小さい業者を集めました。席上、「0.0001%であっても検出されたら、直ちに指示命令を出し、メディアに公表する」と消費者庁の担当者は言った。業者は青くなって電話してきました。「もう、うちでは作れません。いったん公表されたら、もう大変なことになります」と。
ということでもおわかりのように、「まず、このNon-GMOの表示をやめさせよう」というのが政府の腹です。

消費者庁は「遺伝子組み換え食品は安全。これから国民に周知徹底させていきます」ということを今、言っています。

TPP協定によって、いずれは遺伝子組み換え鮭や小麦が輸入され、Non-GMO表示ができなくなるかもしれません。TPP協定下では牛肉や豚肉の「国産」表示ができなくなります。野菜や果物の産地表示も難しくなります。


 5月15日付の日本農業新聞が「種苗の自家増殖『原則禁止』へ転換」と報じました。

今まで有機栽培農家や日本のコメ農家、小麦農家、大豆農家も自家採種が基本でした。次の年に種を残して撒く。

自家採種は原則自由でした。種苗法21条第2項にはそう書いてあります。

条文に〈登録品種と特性により明確に区別されない品種〉とあるのは、種子というのは土地と気候と風土、栽培法や肥料、人によっても変わってくる。だから、絶えず種っていうのは変わるんです。私も作ってみてつくづく思いました。
ですから、登録された品種であっても、特性によって明確に区別されない品種については自由に自家増殖できる。それが種苗法の規定です。
ただし、契約書で定めた場合は別。先ほどの三井化学や住友化学の契約書は自家増殖を契約で禁じています。「こういう場合は例外だ」というから、私も納得した。
ところが、この第3項によれば、農水省が省令で定める場合は別だと。例外を設けることができるという。

当初、農水省は花のうち登録された品種について自家増殖禁止にしました。次にキノコです。
そして、TPP協定を批准してから、この2年間で357種類の野菜、花、キノコについて自己増殖禁止に指定してきました。野菜でいえば、キャベツ、ブロッコリー、ナス、トマト、スイカ、メロン、キュウリ、ダイコン、ニンジンが含まれます。

これに違反した場合、懲役10年、1000万円以下の罰金に処せられる。共謀罪の対象にもなっています。

例えば、有機栽培農家はほとんど自家採種しています。

「これはどうなるんだ?」と農水省に尋ねると、必ずこう答えます。「伝統的な固定種は大丈夫です。だから心配はいりません。従来通り自家採種して結構です」と。
この前、日本の種子を守る会で農水省食料産業局知的財産課の杉中淳課長(当時)を呼んで院内集会を開きました。
じゃあ、自家採種している伝統的な固定種であるダイコンと、新しく登録されたダイコン。「これはどう違うのか?」と聞いた。
まず、育種登録にどれくらい費用がかかるか。「1種類登録するのに数百万〜数千万円かかります」と。
じゃあ、これまでの伝統的な固定種ではない新しい品種だという場合、農水省はどのようにして決めるのか。「遺伝子鑑定はできるのか?」と聞くと、「できません」。「人的能力で特許と同じようにやるしかないんです」と言っていました。

じゃあ、例えば、伝統的な固定種で三浦ダイコン。三浦ダイコンでも、名前には屋号がつくんです。山本屋の三浦ダイコン、三浦家の三浦ダイコンというふうに。だいたいはその家で守ってきた品種です。ダイコンだけでも、各地にそれぞれの伝統的な固定種がありますから、何万種類にも及ぶ。それをたった数人の人間で「これは新しい品種だ」とわかるのか、と聞いた。「もし、伝統的な固定種と間違ってそうなったとしたら、取り消しの申請ができます」と知財課長は答えました。

すでに調べてみると、キノコだけで6件、生産者が企業から訴えられています。

モンサントがカナダで起こした裁判が有名です。

2000年代の初め、カナダで3代にわたって有機栽培でナタネを作ってきた農家がモンサントに訴えられた。

「うちのGMのナタネを使っただろう」というわけです。その生産農家は裁判で負けました。

その畑からゲノム編集の作物が出てきたから。

どうしても花粉は交雑は起こります。

あるいは、モンサントがばら撒いたんじゃないかという噂もあるくらいです。

 

(註:というか、元々こういう展開を目論んでの流れであり、金のない農家から土地・資産を奪うための暴挙。)

 

(註:つまり、表面上は「伝統的な固定種は今まで通り自家採種しても大丈夫」と言いながら、風に乗って自家採種禁止作物の花粉が運ばれ自分の畑の中で知らぬ間に作物が生えてしまったなら、「勝手に自家採種しただろう!」といちゃもんをつけようという汚い手口。実際、外国ではそうした事件があり、しかも農家が企業に裁判で負けてしまっているのだ。その裁定もまた漆黒構造によって出されたもの。)

これから米国はさらなる訴訟社会になる。1杯の珈琲の量が足りなかったからといって裁判が起こるくらいです。

TPP協定がいよいよ発効しますから、今、米国の大手弁護士法人がどんどん日本に入ってきています。
この前、日弁連の「自由と正義」という雑誌に「これからまさに知的財産権、育種権についての争いが大きな問題になってくるだろう」と書いてありました。

「伝統的な固定種だから安全」と思っている有機栽培農家が裁判を起こされたら、大変なことになる。

種子法廃止からの今後

ちょっと話が横道にそれますが、TPP協定が発効されるとき、一番問題になるのは著作権です。これまでわれわれは「出典を明示すればいいだろう」ということで、新聞記事などの著作物をコピーしてフェイスブックに流したりしてきました。厳密に言えば、これは著作権法違反です。ただ、これまでは親告罪だったので、新聞社などの著作権者が私を訴えない限りは大丈夫だった。これからは親告罪ではなくなります。ということは、著作権法違反でいつ逮捕されるかわからない。この違反の判断は非常に微妙です。著作物を転載する場合、どこまでが引用か。どこから許諾が必要か。そういう問題になってくる。
 

 話を戻しますと、育種権はまさに知財です。

日本は2013年、食料・農業植物遺伝資源条約を批准しました。小農民と農民の種子に対する権利を守る条約

この条約は法的拘束力があります。

種子を自家採種し、その種苗を保存、利用、交換、販売する権利があると定めている。

日本はこの条約を批准しているんです。

第3項で〈国は、種子の権利を尊重、保護、実現し、国内法において認めなければならない〉と規定している。

日本政府はこれに反しています。

第5項〈国は、小農民が自らの種子、(中略)種について決定する権利を認めなければならない〉。

これにも日本は反している。
 

 政府は「植物の新品種の保護に関する国際条約(UPOV条約)」(1991年批准)を結び、「育種権者の権利が認められているから、欧州並みに原則自家採種を禁止する」と述べています。

しかし、同条約をよく読んでみると、「合理的な範囲で育種権者の権利を制限できる」となっている。

今までのように「自家増殖自由」というだけで本来はいいはずなんです。

しかし、私に聞こえてくる声によると、来年の通常国会で農水省は種苗法改正法案をいよいよ出してくるらしい。

これが狙いだったんです。


 農水省の穀物課長に聞いてみました。

コメも麦も大豆も自家採種禁止にするのか。答えは「最終的にはそうなると思います」。

「そのために種子法が邪魔だったんだろう」と言ったら、黙っていました。狙いはここなんです。


われわれ違憲訴訟の弁護団は「種子と種苗で争おう」と、訴状に取り上げました。ぜひ皆さんにも原告になっていただけたら、ありがたいと思います。取材していただきたい。

米国では小麦の3分の2が自家採種です。3分の1が州立大学、試験場で作った公共の種子。カナダでは8割が自家採種で2割が公共種子。豪州では95%が自家採種、残りの5%は認証品種です。


 日本では種子法が廃止されました。

政府は種苗法の公示を厳格にすることで品質を守ると説明しています。

しかし、これは言い訳にすぎません。

種苗法はもともと特許権者のための法律。農家を守るためにあるものではないからです。

日本にも欧米並みに公共品種を守る新たな法律が必要でしょう。

今年2月、新潟県で種子条例案が議会に提出され、可決しました。続いて兵庫県、埼玉県でも同じ動きが出ました。今、山形県と富山県が続いています。北海道と長野県ではパブコメをやっているところです。岩手県の県議会事務局から電話がありまして、近く講演に行ってきます。条例ができると思います。栃木県や千葉県など、各地を回っています。そういうところでも種子条例を制定する委員会ができてきました。

種子法がなくなったら、条例が最高法規。各県では種子条例を制定し、予算措置まで組み込んでいます。
こういう形で条例でやっていったら面白い──そう思っていたところ、国会でも動きがありました。野党6党が6月、種子法復活法案を出した。自民党は審議に応じました。これは異例のことです。異例中の異例。私は国会議員を20年間やっていましたが、初めてのことです。与党が強行採決して廃止した法律の復活法案審議に当の自民党が応じる。そんなこと、とても考えられなかった。

この前の国会で審議され、全会一致で継続審議になった。だから、種子法復活法案は今、国会で審議中なんです。
ここまで来たのは、地方が動き出したことが大きい。みんなで国に対して意見書を出そう、反対署名を出そう、請願を出そう。そして条例を作ろう。それには各市町村で知っている議員を通じて、一人でいいから議会に請願書を出してもらう。そうすれば、市町村議会は必ず審議しなければならない。そうなると、これまで種子法を知らなかった人まで勉強する。そしたら、「これはおかしいな」と思う。種苗法も同じだと思います。

おかしいなと思うと、国に対して意見書を出し、都道府県に対して「種子条例を作ってくれ」と申し入れる。これが今、ものすごい勢いで200〜300件出てきています。地方は動き始めました。これから変わっていくと思います。