妄想鍛練小説 -2ページ目

彼の足

 屋上に寝そべる。満天の星空。

「星座とかわかる?」

あなたは私に問うたけど、私はわかるはずもない。

「こんなにたくさんあると1等星も2等星も関係ないなぁ」

どれも自分を主張してやまなかった。私はわかるはずもない星座を、あれやこれやと彼の言うように探してみる。遠くで日暮しの鳴き声が聞こえる。秋ももうすぐ。すぐそこまで迫ってきていることを肌寒さでも感じ取れた。

「そろそろ帰ろうか。」

彼はそういうと起き上がり、腰に手を当てると、地と天の境目を眩しそうに眺めている。

 今日で彼の夏休みが終わる。私は彼のかけてくれた毛布から出ると、彼の足にまとわりつき一声鳴いた。彼は私と毛布を持ち上げると出口の階段に向かって歩く。また彼の腕の中で鳴いたが、階段に吸い込まれる。なぜか階段のほうが空よりも暗い気がした。



妄想鍛練小説-banner_22

7月7日

 逢えるかわからない。逢って何を話そうか。何を訊こうか。変わってしまったであろうか。それともあの時のままであろうか。気持もわからないまま、整理がつかないまま、言葉がわからないまま、決まっていることを決めかねたまま。私はあなたに逢おうとする。不思議なこと。決まっていてもどうしたらいいのか気持ちが決まらない。私は逢うのであろうか、逢うことを躊躇うのであろうか。



妄想鍛練小説-banner_22

獣道

 獣道をいく。薄暗い獣道。かすかにわかるその道を、誰にせかされているのか、黙々といく。多くの分かれ道があったであろう。気付かなかったわけではない。見えた道しかいっていない。そのはずなのだが、いくつもの過去が頭から離れないのだ。できることと言ったら、目の前の道を見定めることだけだった。



妄想鍛練小説-banner_22