私は、海の船釣りで初めて「コマセ釣り」に挑戦し、しかもそれが憧れのマグロ釣りだった。
これまでの釣り経験といえば、淡水でのルアー釣りや鮎イング、海では海釣り公園やサーフでのルアー・エサ釣り程度。若い頃に社員旅行に行ったハワイでカジキマグロのトローリングに行き、シイラを釣ったことが一度あるが、それが唯一の“大物釣り”経験だった。
予約の際は、「フルレンタル」「手ぶらでOK」「初心者大歓迎!」といったキーワードを頼りに船宿を選んだ。
当日、船に乗り込むときは、仲乗りさんや隣の釣り人に「初心者ですが、よろしくお願いします」とひと言ご挨拶。
電動リールの扱い、ロッドキーパーの取り付け方やコマセの振り方など、YouTubeでしっかり予習してきたつもりだったが、実際やってみると手際が悪く、隣の方に丁寧に教えてもらうことになった。
エサの付け方やコマセの扱い方など、周りを見よう見まねで必死。まさに“ド素人デビュー”である。
正直、仲乗りさんのサポートには少しがっかりした。
平日で満員でもなく、ゆとりのある状況だったが、初心者と伝えても特に声をかけられることはなく、常連さんと楽しそうに話しているだけ。
釣りの終盤になってようやく、「まずはタイ釣りで棚の取り方を覚えたほうがいいよ」と言われたが、確かにその通りだと思いつつも、「最初のほうで一言アドバイスが欲しかった…」というのが正直な気持ちだった。
私が最も苦労したのは、「棚(タナ)の取り方」だ。
電動リールのメーター表示だけで深さを合わせられると思っていたが、実際にはPEラインの色分けで深さを判断するという。
10メートルごとに色が変わり、1メートルごとにマークがあることすら知らなかった私には、まるで未知の世界。
単色のPEラインしか使ったことがなかったので、本当に驚いた。
初めてのキハダマグロ釣りは、ほとんど「観察」と「聞き取り」で終わった。
周りに迷惑をかけないようにすることに精一杯だったが、幸いにも隣の方がとても気さくで、経験談を交えながら丁寧に教えてくれたおかげで、なんとか楽しい一日になった(ちなみに、船で誰もマグロを釣り上げることはできなかったが)。
もしあの方がいなければ、きっとまったく違う印象になっていたと思う。
初心者が船に乗る前に覚えておきたい3つのこと(フルレンタル前提)は以下の通り。事前にYouTubeで確認しておこう。
① ロッドホルダー(竿掛け)の取り付け方
→ クランプの角度が合っていないと、竿が安定せず危険。
② 棚(タナ)の取り方
→ 道糸は10メートルごとに色が変わり、1メートルごとにマークがある。ラインの色分けを理解しておくことが大事。
③ 電動リールの操作(巻き取り・ドラグ設定など)
→ 巻き取りレバークラッチレバーなど基本的な操作。手巻きリールしか経験がない方はしっかり押さたいところ。
そして今――。
2025年10月、私にとって2年目のマグロ釣りのある日。
私の隣には、「初心者です、よろしくお願いします」と声をかけてくれた、フルレンタルの若い釣り人がいた。
その瞬間、初めてマグロ船に乗った日のことがよみがえり、あの苦労だらけの初日を懐かしく思い出した。
あのとき助けてくれた人がいたように、今度は私が教える番。
とはいっても、「私もまだ2年目なんですけどね…」と笑いながら、楽しい釣りがスタートしたのは言うまでもない。