南海高野線(通称、汐見橋線)の木津川駅です。
ここは「都会の中の秘境駅」と呼ばれています。令和2年度大阪府統計年鑑によると、木津川駅の1日当たり平均乗車人員は72、降車人員は69となっていて、人家の少ない山間部などの小駅とあまり変わらない利用者数なんです。
私が駅を訪問したときも、列車を乗り降りしたのは私だけでした。大阪市内の駅とは思えません。
駅の周りには住宅があるものの、住宅があるのは駅の裏側で、駅舎は木津川に面しています。利用しにくい立地ではありますが、それだけで乗降客が少なくなるわけはなく、おそらくはJR大阪環状線やバスにお客を取られているのだと思われます。
駅は無人で、券売機や自動改札機が設置されています。改札内に精算機は無く、乗り越し精算をしたいときはインターホンで汐見橋駅の職員さんに知らせることになっています。
精算機は無いけど改札内にはICカードチャージ機が設置されていますね。
こちらが駅舎です。かなり古いもののようです。もしかしたら1900年の開業当時のものかも。
駅舎から駅前を見たらこんな感じ。舗装されていません!
駅に接続している道路から奥まったところに駅舎があり、駅の場所が分かりにくいです。しかも案内標識の類は一切なし!町の中にポツンと取り残されているような感じがします。
出札窓口はふさがれてからずいぶん年数が経っているようです。住居表示の町名板がインターホン横に立てかけてありますね。経年劣化で剥がれたのを誰かが拾ってここに置いたのでしょう。
西天下茶屋駅もボロボロでした。ここと一緒に塗り替えた方がいいのでは?
ホームの西側にはどこにも接続していない線路があります。これは貨物を扱っていた名残のようです。高野線は高野山への参詣輸送だけでなく、紀伊山地の木材を大阪へ輸送することも担っていました。その木材輸送の大阪側の拠点が木津川駅だったのです。木津川駅の正面には木津川が流れ、このあたりは木材の集積地でした。往事は大変賑わっていたことでしょう。
帰宅後に木津川駅について調べていましたら、こんな記事を見つけました。↓
「駅舎天井部(木津川駅)からの仕上げ材の剥落について」
重さ2.8キロの仕上げ材が天井から剥落したそうです。
「経年による仕上げ材の劣化と見られますが、剥落に至った経緯は調査中です。」
とのこと。古い駅舎をそのまま使い続けているとこんなことが起きるんですね。これでは「名建築」ではなく「迷建築」です。
(訪問日2021/12/7)
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