Natureに磁性体に関する記事があった。

 「強磁性体でも反強磁性体でもない「第三の磁性体」である「Altermagnetic」(アルター磁性体)がついに確認された。

より高密度なHDDや磁気コンピューターの製造等にと考えられている。

 Altermagnetic lifting of Kramers spin degeneracy | Nature

 

 Natureの記事を見ると、

 磁性とは磁場の中に置かれた時に、物質が他の物質に引力や斥力をおよぼす現象の一つ。

磁性は物体を構成する電子のスピンにより起きる現象で、電子のスピンが同じ方向を向いている際に、強磁性となる。

 20世紀まで、外部から磁場や電流の供給を受けなくとも磁石としての性質を長期にわたって保持できる永久磁石は

強磁性体のみであると考えられていた。

 なお、強磁性体は冷蔵庫やコンパスの針等に利用されている。

1930年代、フランスの物理学者であるルイ・ネール氏は電子スピンが交互に上下する反強磁性と呼ばれる新種の磁性を発見。

反強磁性体は強磁性体のような外部磁場を持たないが、電子スピンの回転方向が交互に異なるため、興味深い内部磁性を示す。

さらに2019年になると、ある種の反強磁性体の結晶構造において、従来の理論では説明できない「異常ホール効果」(磁性体に電場をかけると、電場と平行方向だけでなく垂直方向にも電流が生じる現象)が発生することが確認された。

 この時、電流は外部磁場がなくても流れていた。

異常ホール効果を引き起こす結晶構造を電子スピンの観点から分析した結果、「Altermagnetism」(アルター磁性)と呼ばれる新種の磁性が存在しているのではないかと提唱された。

しかし、結晶の電子構造を実際に確認するには至っていなかったため、アルター磁性が本当に存在するものなのか確信が得られていなかった。

 そんな中、スイスのパウル・シェラー研究所に務めるユライ・クレンパスキー氏ら研究チームが、これまで反強磁性体であると考えられていたテルル化マンガンの結晶内の電子構造を測定し、アルター磁性の存在を確認することに成功。

 研究チームは光がどのようにテルル化マンガンに跳ね返るかを測定し、結晶内部の電子のエネルギーと速度を測定しました。

これらの電子をマッピングしたところ、アルター磁性体のシミュレーション結果とほぼ一致することが明らかになった。

電子は2つのグループに分かれることで、結晶内部での電子の異常な動きを可能としており、これがアルター磁性の特性の源になっていると研究チームは指摘しました。

  

イギリスのヨーク大学のリチャード・エバンス氏は、「アルター磁性体が実際に存在するということは本当に素晴らしい検証です」と言及。

エバンス氏によると、アルター磁性体は電子が反強磁性体の電子よりも自由に移動できるというだけでなく、強磁性体のように外部磁場がないという特徴も併せ持っていると指摘。

 この特性を活かすことで、アルター磁性体を用いて干渉しない磁気デバイスを作ることが可能になると示唆しました。

 科学系メディアのNew Scientistは「アルター磁性体の特性を用いることで、コンピューターのハードディスクドライブ(HDD)の記憶容量を増大させることができる可能性があります。

市販のデバイスには強磁性体材料が詰め込まれているため、外部磁場の干渉に弱いという特性があります。

  アルター磁性体の場合、既存のものよりも高密度に磁性体材料を詰め込むことができるようになる可能性があります」と記しています。

 なお、リーズ大学のジョセフ・バーカー氏は、アルター磁性体の登場により「電流の代わりに磁気スピンを利用して測定や計算を実行する磁気コンピューター」の実現に一歩近づいたと語りました。

 

今年もノーベル物理学賞の日本人はいなかった。日本はGDPも世界4位になり、益々、元気がなくなってきている。

  Natureに投稿する科学者も少なくなってきているのか。

「頑張れ、日本!」 と祈るばかりだ。