前回の続きです。
もうひとりの自分をもつ、つまり自分自身を客観的、俯瞰的に観るためにはどうすれば良いのか？
ひとつの方法を示します。
他人のなにげない言動、行為に反応して「怒り」や「イラつき」の感情がわきやすいとき、そうなってしまう自分に名前をつけてあげます。
たとえば「おこりんぼうさん」と。
次に、その「おこりんぼうさん」がどういう時に登場するのか、できるだけ具体的な場面を想定して考えてみます。
すると、たとえばこんなことに気づくでしょう。
休日にパートナーに対して「今日はどうする？どっか行くとこある？」と何度訊いても返事がないとき…。
あ、これ我が家の実話です。(^_^;)
そして次に、なぜこのような場合に自分がイラついてしまうのかを、探ってみます。
私の場合、行動するためにはまず「段取り」が必要なのです。
つまり、段取りしたいのにさせてもらえない、その状況に対してイラつくのです。
一旦これがわかると、次に同じ状況が起ったときに、もうひとりの自分がこう言っていることに気づくでしょう。
「あ、おこりんぼうさん登場！」と。
もうひとりの自分を呼び起こすには、自分の傾向性(特に感情が絡むもの)に名前をつけて、それを具体的に説明できるようにすることです。
そうすることで、自分自身の一部でもあるその傾向性を、客観的に観ることができるようになります。
これこそが、もうひとりの自分の正体です。
何かしら感情が動くのは、自分の価値とか、基準とか、「～ねばならない」「こうあるべきだ」の思い込みとかに、目の前の事象が触れたときです。
ここから、もうひとりの自分を手に入れると気づくことがもう一つあります。
怒りがわいたり、イラついたりするとき、本当は人に対して怒りがわいたり、イラついたりするわけではなく、目の前で起こっている状況に対して反応しているだけなのです。
相手が、自分のことを怒らせたり、イラつかせたりする意図を持って関わることは実際には稀でしょう。
でも、人は自分をイラつかせる状況を結果的にでも引き起こしている「人」に対して怒りを感じてしまうのです。
前回までに書いてきたように、人は一人ひとり違う脳内世界を持っています。
それぞれが自分の脳内世界を生きているがゆえに、スレ違いが起こります。
悪気なくです。
もうひとりの自分がいれば、このスレ違いを感情的にではなく、冷静に、客観的に受け取ることができるようになるでしょう。
そして自分の感情が動くのはなぜかが理解できれば、そんな自分が許せるようになるでしょうし、悪気なく自分の感情を揺り動かす他者をも許せるようになるでしょう。
次回は、もうひとりの自分をもつ、もう一つの意味について書きます。
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・（財）生涯学習開発財団認定マスターコーチ
・国際コーチ連盟マスター認定コーチ
1959年東京都府中市生まれ。
旅行業界・外食産業・住宅産業にて、多種多様な現場を経験。
2003年よりコーチセブンピースを立ち上げ独立。
これまで企業・団体にて、2万人以上にセールス・コミュニケーション・マネージメントの
トレーニングを実施。
著書：ザ・コーチ最高の自分に出会える『目標の達人ノート』プレジデント社
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