横浜市の驚くべき体質・人事(大口病院事件報道・児童虐待対策の危機) | 不可能をかのうにする かのう重雄 オフィシャルブログ「一つ、ひとつを重ねて」 Powered by Ameba

横浜市の驚くべき体質・人事(大口病院事件報道・児童虐待対策の危機)

横浜市の驚くべき体質・人事(大口病院事件報道・児童虐待対策の危機)

 

横浜市神奈川区の「大口病院」で、点滴を受けた男性入院患者2人が中毒死した連続殺人事件は捜査本部を設置してから半年、県警は6646人を投入し捜査を続けているが事件は未解決のままである。

http://www.sankei.com/affairs/news/170324/afr1703240028-n1.html

 

殺人事件が明るみとなる前の1か月以上前から、ツイッターでの告発もあった。

http://www.j-cast.com/2016/09/25278895.html?p=all

https://togetter.com/li/1028309

 

一方、横浜市医療安全課は毎日新聞に対して、「適切に対応した」と言及。

http://ameblo.jp/shigeo-kanou/entry-12204633379.html

 

事件が解決しない中、医療安全課の対応に対する第三者委の最終報告書が提出され、「警察案件であることは否定しないが、消極的な対応は医療の安全管理に携わる者として不適切で、当事者意識が欠如していたと厳しく指摘せざるをえない」とされた。

 

また内部通報制度や情報共有に関しても前例踏襲で明確なルールがないなど、個人の問題ではなく体制の問題と指摘された。

https://mainichi.jp/articles/20170331/ddl/k14/040/156000c

http://www.sankei.com/affairs/news/170330/afr1703300033-n1.html

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170330/k10010931221000.html

http://www.kanaloco.jp/article/241284

 

さて、医療安全課の以上指摘された問題点は、これまでも議会あるいは報道でも指摘され続けてきた。指摘されても、検証あるいは改善する姿勢がなかったことが本質的な問題なのである。

 

それは、今回の事件のように、内部から警鐘を鳴らしても、動かなかった姿勢と同様である。福島原発避難いじめ問題でも同様に、何度も警鐘を鳴らしても動かなかった構図となんら変わらない。

 

横浜市の場合、それが度を越えているために、想像以上の被害を引き起こしてきた。今年度はその被害が全国に報道されるという事態となったが、その報道に対しても、以前に比較し迅速な対応をしなくなったように思える。

 

元中田市長時代は、事件が起こるたびそれなりに局区長級の人事的な処分はあった。 “部下をお客様だと思えば9割の仕事はうまくいく” という林市政下ではあるが、大口病院事件も いじめの事件も 市民の生命の危機を引き起こした重大事案となった。

 

少なくとも最も重要な医療、そして教育の現場での仕事は危機的状況である。

http://president.jp/articles/-/13042

 

医療安全課は、設立から10年以上も経過。また、漢方ステロイド事件は2014年に起きている。その時も医療安全課の医療監視の問題点はこのブログでも指摘させて頂いた。一議員の指摘など、とるに足らないものだと思われていたのだろう。

http://ameblo.jp/shigeo-kanou/entry-11874038928.html

 

結局、いくらでも改善するチャンスはあったが、しなかっただけであり、結局その危機感の薄さは ついに未解決の殺人事件の遠因とまでなった。

http://ameblo.jp/shigeo-kanou/entry-12228178252.html

http://ameblo.jp/shigeo-kanou/entry-12215108823.html

 

鯉渕局長は、今回の報告書に対して「局内の体制やルール作りが不十分であったことに責任を感じる。対応指針に委員会の報告を最大限尊重したい」と述べたとあった。

 

しかし、これまでの健康福祉局・こども青少年局のここ数年にわたる外部からの指摘を受けたあとの対応の経過を考えた時、果たして尊重されるかどうか。 期待感は薄れる。

 

「責任を感じる !」との発言に、何の重さも深さも感じられない。またか!・・・である。

 

さて、前回のブログでも言及したが、青葉区で起きた養育支援の子どもの死亡には腑に落ちない点があり、沢山の議員が質問し、そして報道でも指摘された。

 

平成23年の5月26日に開催された常任委員会でも問題点は指摘され、わが党の行田朝仁議員は人事の不自然さを以下のように指摘している。

 

(行田委員) 本件については、山下委員とともに青葉区議員団会議で説明を受けました。警察の判断は病死ということでしたが、引き継ぎができていたら救われていた命なのではないか、そういう議論もやはりあります。その声はまだ終息していないのですね。

 

これはいろいろな議論があると思いますが、その中で1つ、これは絶対に腑に落ちない問題点があるのです。それは、青葉区で関係した職員の3人、この方達全員がこの春の異動でもういなくなっている点です

 

普通の感覚から言うと、これはもみ消しと言うのではないかと思うのです。なぜ3人全員がいなくなったのか、まず伺います。

 

◎(鯉渕こども青少年局長) 青葉区の人事異動について私の立場でコメントすることはございませんが、3人のうち、担当課長は退職ですので、異動せざるを得ない状況にございます。

 

また、センター長は、御存じのとおり私どものところに来ておりまして、現在この事例の担当として誠実に職務を遂行しているところでございます。

 

3月の議会でこの事案に関係し、その対応を疑問視された青葉区福祉保健センター長を、翌々月には鯉渕局長の「この事例の担当として誠実に職務を遂行している」という答弁から分かるように、自身が関係した事案を自分自身で指導・検証する局の責任者に配置するという驚くべき人事を行なっているのである。

 

さて、大口病院の案件でも、これから再発防止の検討というにも関わらず、この案件の責任者であった医療安全課長をこの4月に人事異動させた。

 

病院内における連続殺人事件という前代未聞の事件に関連したことでも相変わらず、同じ様な人事異動を繰り返している。鯉渕局長にとって議会の指摘など馬耳東風である。

 

(行田委員) いろいろな御都合があるのでしょうが、これだけ重大な事件が起きているのですから、この問題について、現場で何とか解決に向けて動いていかなければならない。

 

3人のうち1人は退職された、1人の方はこちらのほうでもう決まっていた。どちらが残るのかわかりませんが、引き継ぎも考えれば1人ぐらい残しておくのが普通ではないですか。

 

例えば、行政というのは普通の企業とは違いますが、お客様に対して何か問題があった時に、担当が全員いなくなりましたからこれは説明できませんとか、この後は追求しませんというのは普通、世間では考えられない話なのですよ。しかも人が1人亡くなっているのです。これについてはどう思いますか。

 

◎(鯉渕こども青少年局長) 責任ということでは、後任の者達がきちんと対応していくと思っています。区長は残っていますし、私もこの件については責任を持って対応させて頂きたいと思っておりますので、宜しくお願いします。

 

果たして、この青葉区の問題に関して、鯉渕局長がどのように責任をもって対応したとういうのだろうか?

あれから、5年経過した現在、「医療機関や行政、警察の間での情報共有や検証が不十分で多くの虐待死が見逃されている恐れがある」という、指摘がされるようになった。

 

だからこそ、青葉区の事例は外部検証として重要だと常任委員会で指摘させて頂いているが、資料などが存在しないから検証はしないとの一転張りである。

 

後任の者達はきちんと対応するどころか、5年の経過を待たずしてほとんどの資料を処分してしまった。行田議員が指摘したもみ消しとも思えることが実際行われていたのだ。

 

また、自民党の山下正人議員が、乳幼児突然死症候群に関して、青葉区のセンター長であった医師に質問をしている。

 

朝日新聞には、この子どもさんが低栄養状態であったことが報道されており、その状況から、医師が警察に通報したという事実があり、その点が腑に落ちない疑問点でもあった。

 

2005年初版の厚労省乳幼児突然死症候群のガイドラインによれば、乳幼児突然死症候群とは、それまで元気な乳幼児が、主として睡眠中に突然死亡状態で発見され、原則として1歳未満の乳児に起こるとされていた。

 

青葉区の事例のこの子どもは1歳4か月であった。また、医師が低栄養のため警察に通報する子どもが元気な乳児であったといえるだろうか。

http://www.mhlw.go.jp/houdou/2005/04/h0418-1.html

 

(山下委員) このお子さん、1歳4カ月でしたか、1歳4カ月のお子さんが病死という形で、病名は乳幼児突然死症候群とお聞きしておりますが、いろいろな支援があって、ひょっとしたら病死は避けられたのかもしれませんし、先程言ったいろいろな、母子家庭の中できっちり栄養を与えられるような、食事のところもできたのかどうかいまだにわからないのですが、もっと早く対応できれば、この乳幼児突然死症候群という病気で亡くなることはなかったのではないかとも考えられます。

 

本日出席の職員の方の中に、医師の方もいらっしゃるのでドクターの方にお聞きしたいのですが、この乳幼児突然死症候群、これは青葉区議員団会議の時にも聞いたのですが、どういった事が原因でこういった病気になるのでしょうか。

 

◎(辻本医務担当部長兼こども保健医務監)5月1日から医務担当部長を拝命しております辻本と申します。青葉区の件に関しましては、当時、センター長の任にありました。

 

本事例に関しては青葉区において迅速で適切な対応が開始できなかったということで、これについては責任ある立場として大変申し訳なく、心よりおわび申し上げます。今、お尋ねの乳幼児突然死症候群でございますが、平成17年に厚生労働省からのガイドラインが出ております。

 

原因不明というか、恐らく子供の未熟性に基づいた呼吸障害が主な原因であろうと思われておりますが、詳細な病態についてはいまだ解明されておりません。そういうことで、現在、さまざまな角度から検証を行った上で、乳幼児突然死症候群という診断をつける形になっております。

 

再度引用するが、2005年初版の厚生労働省の乳幼児突然死症候群のガイドラインによると、乳幼児突然死症候群は、それまで元気な乳幼児が突然死亡状態で発見され、原則1歳未満の乳児に起こるとされている。

 

さて、診察した医師が警察に通報するほど低栄養状態であった1歳4か月の子どもが、健康な子どもだったといえるだろうか。

 

だから、うやむやなこの回答からも、とても誠実に職務に遂行していたとは思えない。こうした言行不一致がこども青少年局では何度も繰り返されてきた。

 

昨今、見逃されている可能性のある虐待死には、死亡時に子どもを診た医師と解剖を担当した法医学者が解剖前後で情報交換しなかった例や、医師が警察側から解剖の有無自体を知らされていなかった例もあり、関係機関の情報共有が進まない点が問題視されている。

 

この青葉区の事例も、区役所、警察、診察した医師、解剖した医師との情報共有が行われたどうかが問われる事例でもある。

https://mainichi.jp/articles/20160603/ddm/041/040/067000c#csidx87812ce47ca9745ada23909233d7f71 http://linkback.contentsfeed.com/images/onebyone.gif?action_id=87812ce47ca9745ada23909233d7f71

 

横浜市神奈川区の大口病院事件で指摘された前例踏襲は児童虐待を扱う領域においても残念ながら行われてきた。小学生のいじめ問題でも、150万円のお金が動いても、動かなかった構図とも類似している。