横浜市の児童虐待対策。横浜市こども青少年局 2017 | 不可能をかのうにする かのう重雄 オフィシャルブログ「一つ、ひとつを重ねて」 Powered by Ameba

横浜市の児童虐待対策。横浜市こども青少年局 2017

横浜市の児童虐待対策。横浜市こども青少年局 2017

 

泉区の横山勇太朗議員が、先日行われたこども青少年局の予算委員会で、児童虐待から子どもの命を守ることは使命感ではなく、正義感が必要であると言及。

 

そして、柏崎副市長に答弁を求め、副市長は、横浜市は一丸となって取り組んできたと答弁した。正義とは正しい道理、人間行為の正しさとあるようだ。

 

315日のこども青少年局常任委員会においても、局長や部長、局に在籍する医師にも虐待から子どもの命を守ることについて “正義” の観点から質問してみた。もちろん非常にきれいな答弁をいただけた。

 

2010年、港北区で1歳2か月の子どもが木箱に入れられ、窒息死するという痛ましい事件が起こり、横浜市はその年に児童虐待対策プロジェクトを立ち上げた。

 

しかし、その後の横浜市の児童虐待に対する取組みを振り返った時、そこに果たして「正義」があったのか。また、それを疑われる経緯があるとの指摘も私の所に届いている。

 

本当に正義感がある人なら、綺麗な答弁はしないものだとも。過去を丁寧に分析しながら、反省点を述べた上で、不断の努力を行いながら形として見せていくだろうとも。

 

確かに、もし正義感があるなら、議会での我々議員の質問や指摘に耳を傾け実行してきただろう。また、新聞報道の指摘にも、耳を傾けてきたに違いない。

 

刻刻と変わる児童虐待対策の新たな見解に注視し、外部から指摘される前に、不断の努力を続けながら、大きく変えてきただろう。

 

そうした事実をもってして、はじめて胸をはって正義感をもって児童虐待対策に取り組んできたといえる。

 

さて、日本小児科学会の児童虐待に関する去年の発表は、非常にインパクトがあった。

 

虐待診断の経験を積んだ医師が、東京都や群馬県などの4自治体で2011年に死亡した15歳未満の子どもの死亡診断書を調べた結果、7.3%に虐待の疑いがあったという。

 

つまり多くの事例が見逃されている可能性があり、医師の知識不足や関係機関の連携不足が背景にあるとしている。

 

また、虐待死を埋もれさせないためにも、子どもの全死亡事例の情報を病院や警察、福祉機関などの関係機関が共有し、原因などを検証できる「こどもの死亡登録・検証制度」の導入を小児科医の研究会が2013年に提言していると報道されていた。

http://mainichi.jp/articles/20160727/ddm/005/070/005000c

 

横浜市は児童虐待対策プロジェクトメンバーに、この記事の中でも言及されている横浜市にある児童虐待防止に関する情報集約や研修をする民間機関「こどもの虹情報研修センター」の専門職、日本小児科学会 小児死亡登録・検証委員会の委員長であり、横浜市内のクリニックの山中龍宏先生というトップレベルの専門家を入れていない。

 

日本トップレベルの専門家が横浜市内で活躍しているにも関わらず連携しようとしない姿勢には非常に違和感を覚える。

 

本当に子どもの命を救おうという正義感があるなら、子どもの命を救うために不断の努力をして、多くの専門家に教えを乞うというものだ。

 

また、林市政下では一度も老朽化した児童相談所の再建は行われていない。職員や議員が使う市役所には莫大な費用が投入され、再建される。

 

虐待を受けた子どもさんの避難する環境はとても大事なはずだ。しかし、児童虐待対策プロジェクトが発足してから5年以上経過しても、再建の話はない。

 

プロジェクト発足後の1月に新聞にも報道され、議会でも疑問視された1歳半の子どもが亡くなるという事案が発生した。経過は以下のようだ。

 

1214、浜松市から母親が精神不安定のため養育支援を必要とされる母子家庭が青葉区に転入。

 

青葉区は同居男性がいることを把握しており、さらに1220、児童手当を申請にきた母子と対応したケースワーカーが気になるケースと引継ぎを行っている。この時、子どもさんは元気であった。

 

しかし、37日間、青葉区役所が一度も養育支援を行わないうちに、1月16、子どもさんは死亡した。

 

子どもの死亡を確認した医師は、子どもが低栄養状態にあったことを確認。そのため病院(医師)は、警察に通報。子どもは司法解剖の結果「乳幼児突然症候群」と診断された。

 

5月20日の朝日新聞には、青葉区は低栄養状態であったという事実を把握していたが、この問題を審議した市議会で公表しなかったと報道した。

 

この問題を議会で取り上げた青葉区の自民党の横山正人議員は「低栄養状態となれば虐待の可能性も出てくる。検証は今からでも遅くない」と言及した。

 

確かに、浜松市からは “母親に対する養育支援” であり、 “子どもは元気” だった。しかし、その子供が “低栄養状態” で医師が警察に通報した。結果として、「乳幼児突然症候群」と診断。

 

しかし、当時の児童虐待・DV対策の担当課長は取材に対し、「事実関係を再検証する予定はない」と取材に対して答えている。

 

多くの虐待の事例が見逃されているという日本小児科学会の発表の内容を考慮にいれれば、この事例には多くの課題が残った事例でもある。

 

その課題は当時の新聞記事、我々議員が議論した議事録中にもたくさん残されている。

 

たとえば、区役所は警察に連絡して、個人情報と経過を説明し対応したとしているが、3月9日に開催された常任委員会での無所属クラブ(当時)伊藤大貴議員の発言によると、区役所の主張と警察の主張が食い違っていることになっている。

http://giji.city.yokohama.lg.jp/kensaku/cgi-bin/WWWframeNittei.exe?USR=kanyoks&PWD=&A=frameNittei&XM=000100000000000&L=1&S=15&Y=%95%bd%90%ac23%94%4e&B=-1&T=0&T0=70&O=1&P1=&P2=%8d%95%90%ec%8f%9f+&P3=&P=1&K=394&N=3279&W1=&W2=&W3=&W4=&DU=1&WDT=1

 

また、当時は区役所内の情報共有のみならず、こども青少年局が当時の担当副市長にも情報をあげていなかったことなども議事録からわかる。

 

本当に正義感があるなら、日本小児科学会の先生方が行ったように過去の事例を丁寧に検証し、次の教訓につなげていくことができるはずである。

 

しかし、残念なことに、こども青少年局は、この事例の検証は資料がないから等の理由で拒絶した。

 

もし、児童虐待対策で本当に正義を語るなら、横浜市が率先して、虐待死を埋もれさせないためにも、子どもの全死亡事例の情報を病院や警察、福祉機関などの関係機関が共有し、原因などを検証できる「こどもの死亡登録・検証制度」を導入すべきであろう。