横浜市こども青少年局 その3 | 不可能をかのうにする かのう重雄 オフィシャルブログ「一つ、ひとつを重ねて」 Powered by Ameba

横浜市こども青少年局 その3

横浜市こども青少年局 その3

(横浜市林市政下の子どもたち その7)

 

今年3月、医療機関や行政、警察の間での情報共有や検証が不十分で多くの虐待死が見逃されている恐れがあり、国の集計する年間の子どもの虐待死(年間6999人)の3倍以上はあるのではないかという見解が、日本小児科学会から発表された。

 

調査を担当したのは学会の「こどもの死亡登録・検証委員会」。委員会所属の小児科医が勤務する東京都、群馬県、京都府、北九州市の4自治体で、2011年の1年間に死亡した15歳未満の子ども474人の内368人が分析され、その結果、調査対象の7.3%の27人(内23人が5歳未満)が、虐待で亡くなった可能性があると判断された。

http://mainichi.jp/articles/20160405/ddm/041/040/055000c

 

ところで、残念ながら横浜市はその調査対象になっていない平成24年当時、この調査を担当した「こどもの死亡登録・検証委員会」の委員長は、横浜市内で開業する山中龍宏医師である。

https://medicalnote.jp/doctors/160209-003-DW

 

その山中龍宏医師らが、平成24年1月に「こどもの死に関する我が国の情報収集システムの確立を向けた提言書」を発信。その提言の中では次の様なことが言及されている。

 

”虐待死亡症例に関しては、多職種にわたる有識者での死亡事例の検証がなされているが、対象となるのは心中死症例、並びに虐待死であることが確実にとされた事例に限定されており、虐待の疑いが否定しえないといった事例に関しては検証がなされていない

 

子どもの死亡に立ち会う機会が最も多い職種は我々医師である。子どもの死亡に際し、各種データを集積・登録することは、真の死因特定に寄与するとともに、広く社会にその情報を還元し、次なる小児の死亡の可能性を最大限低下せしめることに繋がるものであり、そのための不断の努力を重ねることは、我々に課せられた重大な責務であるといえる。” 

https://www.jpeds.or.jp/uploads/files/saisin_120328.pdf

 

さて、これほどの専門家の医師が横浜市内に在住しているにも関わらず、横浜市こども青少年局は、平成24年9月に発足した児童虐待連携強化プロジェクトのメンバーとして起用していない。

 

現こども青少年局総務課長も当時のメンバーとして選ばれているが、メンバーらがこの提言書の存在を知らないとしたら、児童虐待対策の素人集団と思われても仕方がない。

 

一方、福岡県、北九州市では委員の市川光太郎医師が児童虐待対策の中心的存在で活躍されている。また、乳幼児突然死症候群の専門家でもある。

https://medicalnote.jp/doctors/151008-000004-ZGGAOW

 

私は以前からプロジェクトメンバーに医師が入らない人選には疑問を呈したが、横浜市は日本国内においても最も児童虐待が多い政令都市の一つであるにも関わらず、この構図は他都市から見ても異様に映るはずである。

 

また、この問題点に関して、平成24年6月、7月のこども青少年局の常任委員会で3歳の死亡事例と2歳の重篤事例が市内に発生した時に、我が党の中島議員が指摘している。

http://www.city.yokohama.jp/ne/news/press/201209/images/phpGqVwZl.pdf

http://ameblo.jp/shigeo-kanou/entry-11369916007.html

http://giji.city.yokohama.lg.jp/kensaku/cgi-bin/WWWframeNittei.exe?USR=kanyoks&PWD=&A=frameNittei&XM=000100000000000&L=1&S=15&Y=%95%bd%90%ac24%94%4e&B=-1&T=0&T0=70&O=1&P1=&P2=%92%86%93%87%8c%f5%93%bf+&P3=&P=1&K=428&N=3549&W1=&W2=&W3=&W4=&DU=1&WDT=1

 

今回の調査結果を受け、溝口委員長は「行政が児童虐待死の疑われる事例として適切に検証すれば次に起こる虐待死は妨げる。医療、行政、司法の中で散逸している情報を共有する仕組みや整備が必要」と指摘したとある。また、医師の知識不足も虐待見逃しの原因として問題視されている。

http://mainichi.jp/articles/20160727/ddm/005/070/005000c

 

虐待死を埋もれさせず、救える命を救う態勢構築のために全死亡例を調べる制度の確立が早急に望まれる今、横浜市こども青少年局が行ってきた児童虐待対策を検証する上で、横浜市青葉区で起きた 忘れてはいけない 子どもの死亡事例がある。

 

それは、2010年の12月、浜松市から育児支援の要請を受け、横浜市青葉区に転入した母子が、1か月以上も青葉区の育児支援を受けることなく子どもが死亡した事例である。

 

こども青少年局の審査を担当した私は、当時青葉区選出の公明党議員であった手塚議員から情報を受け、青葉区に2度訪問し一つ一つ事実確認を行った。その確認を行った議員は私だけではない。

 

また、この死亡事例は各社新聞(読売・朝日・東京・神奈川・毎日)にその経緯、経過と市の問題の対応等が詳細に報道された。

 

平成23年3月3日、3月10日と2日間にわたり新聞報道を受けこの問題は市議会で審議された。今回の福島避難いじめ問題と同様に個人情報を理由に、こども青少年局と青葉区は状況説明を拒否するなどして、市議会でその隠ぺい体質を指摘された。

 

発生から5年近く経過した今、青葉区が平成23年5月12日の青葉区議員団会議で説明するための報告書(5年保存)しか残っていない。当時の新聞報道等などわずかに残っている資料から経緯、経過を示したいと思う。

 

1214浜松市から青葉区に 「母親が精神不安定なので 養育支援が必要。引継ぎ支援をお願いします」と電話で連絡がはいった。(母子の自宅には父親でない男性が同居している。)

 

1220日、浜松市からの母子が青葉区福祉保健センターに手当申請で来訪(子どもの様子に当時問題がなかったことは菅野義矩議員(当時)が確認。菅野議員によれば、パンなども食べてしまうとても元気なお子さんであったと。)

 

この時に面接したワーカーが「気になるケース」と書き残した。担当保健師に引き継いだ。

 

1228日、浜松市が青葉区に母子に関する資料と依頼文を発送。1月4日、資料は青葉区に到着。1月6日浜松市からの情報を青葉区は開封。(当時、局長は5日と答弁)開封しただけで具体的な対応はしなかった。

 

1月16日、母親が119番し男児を病院に搬送。病院で死亡が確認される。医師は低栄養状態であることを認識。

 

1月18日、司法解剖の結果、内臓破裂や内出血、外傷なし。「乳幼児突然死症候群」と診断された。診断基準にはそれまで元気な乳幼児が突然死するとされており、低栄養状態の子どもが元気な子どもとは素人でも思えない。

http://www.mhlw.go.jp/houdou/2005/04/h0418-1.html

 

1月19保健師が初めて母親に連絡。子どもの死亡を初めて知る。青葉区は児童相談所に連絡。1月20日、児童相談所はこども青少年局に報告。局が区に問い合わせ、局長まで報告書が届く。

 

局長勉強会開催。具体的な対応の指示はなし。青葉区福祉保健センター長が、搬送先の病院の医師に電話で話を聞く。医師からは「低栄養状態にあった」という情報を得た。

 

2月初旬から複数の市議が青葉区に、子ども死亡の事実確認と資料請求をしたが回答を拒否。2月17日、こども青少年局担当課長は「初めて事実を知った。資料は持っていないと回答」。

 

2月18日、こども青少年局の部長と課長が前日の発言を訂正し謝罪子ども死亡の事実を認めた。黒塗りの資料を提供。2月21日 こども福祉保健部長が青葉区を訪問。

 

3月3日のこども青少年局審査の前に渡された資料は、個人情報を理由の黒塗りの資料。(今回の福島避難いじめの報告書も相変わらず教育委員会から最初、渡されていたのは黒塗りの資料。

 

そして、「個人情報だからお答えできません。」「児童虐待ではありません。」と何度も同じことを繰り返すだけで、質問に対する回答をこども青少年局の保健師である課長、係長は頑なに避けた。

 

現在においても医師の知識不足で、児童虐待の見逃しが問題視されているのに、何を根拠に「児童虐待ではありません。」と医療専門職として自信をもって回答されたのか理解できない。

http://ameblo.jp/shigeo-kanou/entry-10818624521.html

 

そして、3月3日の市会予算第一特別審査会で、無所属(串田議員)、共産党(関議員)、自民党(横山議員)、民主クラブ(菅野議員)そして私が、この子どもの死亡事例の質問に立った。3月10日のこども青少年局の常任委員会でも審議されたのだ。

 

ところが、この委員会中、こども青少年局も青葉区役所も、”こどもの父親ではない男性が同居していた。” ことと、 ”病院の医師がこどもが死亡時、低栄養状態であったと話していた。” という二つの事実を公表しなかった。

 

このことは平成23年の5月20日の朝日新聞で報道された。搬送された医療機関が「低栄養状態だ」と認識し、不審に思い警察に連絡したところから、乳幼児突然死症候群の診断基準と合わない子どもの状況。

 

そして、議会前に男性との同居、低栄養状態であった情報をこども青少年局と青葉区役所が隠ぺいしたことで、コンプラインス上、不信を持たれたからこそ、報道された。

 

さらに、搬送先の病院に電話をして関係者から、子どもが低栄養状態あった話を聞き、その情報を議会審議中に公表しなかった青葉区福祉保健センター長が、議会審議後、一か月も経過しないうちに、こども青少年局の医務監となった。

 

横浜市のコンプライアンスは「単に法令を遵守するに留まらず、市民や社会からの要請に全力で応えていくこと」と謳っているが、実際はそうではない。

http://www.city.yokohama.lg.jp/somu/org/compliance/

 

たとえば、5年前の1014日、総務局審査で、私がこの人事の不適切さを指摘するも、当時の副市長は問題ないとして終わった。

http://giji.city.yokohama.lg.jp/kensaku/cgi-bin/WWWframeNittei.exe?USR=kanyoks&PWD=&A=frameNittei&XM=000100000000000&L=1&S=15&Y=%95%bd%90%ac23%94%4e&B=-1&T=0&T0=70&O=1&P1=&P2=%89%c1%94%5b%8f%64%97%59+&P3=&P=1&K=415&N=3423&W1=&W2=&W3=&W4=&DU=1&WDT=1

 

そして、平成24年7月19日の委員会での中島議員の回答からもわかるように、横浜市こども青少年局の児童虐待対策の担当は、この5年間、この元青葉区福祉保健センター長の医務監であり変わっていない。

 

◆(中島委員)ー略ー今、局にはかかわりを持てる医師としてどのような医師がいるのか確認したいと思います。

 

◎(鯉渕こども青少年局長) こども青少年局の市庁舎側の局に、現在、医師が2人、兼務の医師が1人の合計3人おります。それから、各児童相談所に精神科系の医師が1人ずつおりますので、合計4人おります。局の中ではその7人かと思います。

 

◆(中島委員) 今、全部で7人いる医師の担当は何かわかりますか。


◎(鯉渕こども青少年局長) 局側の医師は部長級と課長級でございますが、辻本医務監には全体的なことをやって頂いておりますが、虐待関係のことには加わって頂いております。ー略ー

http://giji.city.yokohama.lg.jp/kensaku/cgi-bin/WWWframeNittei.exe?USR=kanyoks&PWD=&A=frameNittei&XM=000100000000000&L=1&S=15&Y=%95%bd%90%ac24%94%4e&B=-1&T=0&T0=70&O=1&P1=&P2=%92%86%93%87%8c%f5%93%bf+&P3=&P=1&K=428&N=3550&W1=&W2=&W3=&W4=&DU=1&WDT=1

 

以前にブログでも指摘したが、この不可解な人事を続けてきた林市政下では虐待死を埋もれさせず、救える命を救う態勢の構築はまず望めないと思う。

http://ameblo.jp/shigeo-kanou/entry-10838529911.html

 

福島避難いじめ問題でも ”あやまってくれない” という理由の一つに、小さな子どもが亡くなっても個人情報を理由に口を閉ざし、嘘をつける横浜市経営責任職らによって受け継がれてきた手法である。

 

この青葉区の事例も、当事者らが作成した報告書 以外の資料はすでに散逸しており、今後も何の検証もされない可能性がある。怖い自治体と思われても仕方がない。

http://www.sankei.com/life/news/161209/lif1612090049-n1.html