横浜市こども青少年局の児童虐待対策の実態 | 不可能をかのうにする かのう重雄 オフィシャルブログ「一つ、ひとつを重ねて」 Powered by Ameba

横浜市こども青少年局の児童虐待対策の実態

横浜市こども青少年局の児童虐待対策の実態

(横浜市林市政下のこどもたち その6)

 

12月6日、カジノ法案は「亡国の法案」だと公明党の富田議員は発信した。

http://www.asahi.com/articles/ASJD675CVJD6UTFK01H.html

 

カジノ法案が成立すれば、林市長がカジノを推進している以上、その懸念されている「負の影響」をもろに受けるのは横浜市民である。

 

その中でも治安悪化とギャンブル依存症増加の懸念が大きい。候補地の本命は、山下公園に隣接する山下埠頭との報道。

http://www.sankei.com/economy/news/161203/ecn1612030018-n1.html

 

ギャンブル依存症の一つであるパチンコ依存から児童虐待死亡事例も報告されているという。ギャンブル依存、あるいはギャンブルによる貧困も児童虐待のリスクになりうる。

 

したがって、カジノ解禁がせまる動きの中で、横浜市こども青少年局の児童虐待対策の現状を把握することはきわめて重要なことである。

http://www.crc-japan.net/contents/verification/pdf/okinawa_2015_03.pdf

 

平成27年度、横浜市児童相談所の児童虐待相談対応件数は3892件。区役所など市全体となると5470件。児童虐待対応件数は増え続けている。

http://www.city.yokohama.lg.jp/shikai/pdf/siryo/j4-20160530-kd-23.pdf

http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11901000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Soumuka/0000132366.pdf

 

横浜市には4か所の児童相談所がある。4つのうち一つは中田市長時代に新しく建設された。児童虐待対応件数が中田市長時代に比較し倍近く増え続けていても、林市政下では残り3つの児童相談所は旧いままであり、新しく立て直しをしたり拡張もされなかった。

 

新市長舎には749億円もかけるが、未来を担う子どもたちの施設にお金をかけてきたのだろうか。

http://www.sankei.com/region/news/150516/rgn1505160054-n1.html

 

さて、平成22年8月、港北区で木箱に閉じ込められて死亡するという児童虐待事件が起こる。その痛ましい事件を機に林市長はその9月、児童虐待プロジェクトを立ち上げた。

 

プロジェクトメンバーは、こども青少年局長(現健康福祉局長)と、こども福祉保健部長(現コンプライアンス室長)など等で構成され、メンバーに医師が一人も入っていないことが特徴的であった。

 

今年の常任委員会の視察で訪問した先進的な児童虐待対策を展開している北九州市は、医師らがしっかりと関わっていて横浜市とは大きく違っていた。

 

プロジェクトが立ち上って間もない平成2212月、浜松市から養育支援を要する母子が青葉区に転入。青葉区役所が約1か月以上、一度も母親に連絡をとらないうちに子どもが死亡するという事例が起こった。

 

この事実は3月に新聞報道されたために、青葉区の議員を含め多くの議員がこども青少年局に問い合わせた。この時、個人情報保護を理由に子どもが「低栄養」だったと提示しなかったのが、プロジェクトメンバーである局長と部長であった。

 

つまり、この時点でプロジェクトが事実上、台無しになった。

http://ameblo.jp/shigeo-kanou/entry-11369916007.html

http://www.city.yokohama.lg.jp/kodomo/katei/file/gbpjkosshi.pdf

 

今や、多くの虐待死が見逃れていることが明らかとなった時代。自治体からの報告に基づく厚生労働省の調べでは年間6999人が虐待で命を落としている。

 

それでもこれらは「氷山の一角」に過ぎないという調査結果が今年3月に、日本小児科学会から発表されたという。したがって、全死亡例を調べる制度確立の動きが始まっている。

http://mainichi.jp/articles/20160727/ddm/005/070/005000c

 

今まで、厚生労働省は平成20年3月14日、「地方公共団体における児童虐待による死亡事例等に検証について」の通知を都道府県、指定都市、児童相談所設置市の児童福祉主管部へ行っている。

http://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/dv28/dl/01.pdf

http://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/dv28/

 

ここで注目すべきは、検証対象の範囲である。最初の通知では、検証の対象は、都道府県または市町村が関与していた虐待による死亡事例すべてとしている。

 

しかし、都道府県に対しては、児童相談所、福祉事務所又は市町村が関与しない事例を含め、広く虐待による死亡事例等の情報収集に努めるようにとつけ加えている。

 

一方、横浜市はその通知を受けてか、平成20年3月28日、「横浜市児童虐待による重篤事例等検証委員会設置運営要領」を制定している。ここで、注目すべきは第3条の内容であろう。

 

「児童相談所または区が関与していた虐待による重篤事例等およびこども青少年局で検証が必要と認める事例につき、必要な検証を行う」と、検証対象範囲を規定している。

 

さらに、国は平成23年7月27日には新たに内容を改正し自治体に通知。この改正を受け、検証対象の範囲は広くなり児童相談所、福祉事務所又は市町村が関与しない事例については、情報量が少ないために十分に検証が行えない可能性もあるが、関与しなかった事情も含め、その地域の保健・福祉等の体制を検証することも必要であると明記。

http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kodomo/kodomo_kosodate/dv/dl/120502_15.pdf

 

ところが、その通知を受けたにも係わらず、横浜市は「横浜市児童虐待による重篤事例等検証委員会設置運営要領」を改正していない。つまり、検証対象を広げることをしなかったのだから驚く。

 

平成24年7月に起きた6歳の女児が横浜市内の雑木林に遺棄されるという痛ましい児童虐待の事件は記憶に新しい。

 

国の通知に沿って改訂していない「横浜市児童虐待による重篤事例等検証委員会設置運営要領」は、その児童虐待検証報告書の資料に添付してあるので確認する事ができる。

 

つまり、平成22年9月、24年9月と児童虐待プロジェクトを立ち上げながら、国の方針にも沿う努力すらしてこなかった事がよく分かる。また、平成24年のプロジェクトメンバーにも医師が一人も含まれていない。

 

平成24年1月、日本小児科学会・小児死亡登録・検証委員会から「子どもの死に関する我が国の情報収集システムの確立に向けた提言書」が出されている。

 

提言には、「虐待の疑いが否定しえない事例に関して検証がなされていない」と警鐘。児童虐待専門家の医師らは早くから警鐘を鳴らしているわけで、医師をプロジェクトメンバーに投入しない横浜市の異様さは理解しがたいものがある。

http://www.city.yokohama.jp/ne/news/press/201209/images/phpGqVwZl.pdf

https://www.jpeds.or.jp/uploads/files/saisin_120328.pdf

 

これでは虐待死を埋もれさせず、救える命を救う態勢を構築しようとする姿勢が感じられない。横浜市のいじめ対策の綺麗な発信と、全国から注目を浴びた福島避難いじめ問題で露呈したずさんな実態とのかい離と非常に酷似している。

http://www.city.yokohama.lg.jp/kodomo/katei/file/h261218kensyouhoukokusyo.pdf

 

平成23年3月3日のこども青少年局審査における自民党横山正人議員と当時、林市政下の児童虐待プロジェクト主要メンバーであったこども青少年局長とのやりとりは、横浜市の児童虐待対策の本質を理解する上で非常に参考になる。

 

平成23年1月、瀬谷区で生後12日の長男を浴槽に沈めて死なせるという無理心中の事件が起こった。横山議員はこの瀬谷区で起きた虐待死亡事例について検証の必要性を局長に対して示唆したのだ。

 

(横山委員) ー略ー本年に入って瀬谷区において実母が心中を図り、児童が死亡するという事例がございました。こちらは生後間もない児童が実の母親の手によってその幼い命を落とすという大変に痛ましい事案だったわけでありますけれども、瀬谷区の死亡事案について局長の所感を伺いたいと思います。

 

◎(鯉渕こども青少年局長) 生後間もない命が失われ、非常に痛ましい事件であると感じております。この事例に限らず、御本人も御家族の方も、何か不安があったら抱え込まず、とにかく声を上げて区役所やさまざまな窓口に御相談をいただきたいと思います。

 

この事例は出産後間もない時期に起きたということが私どもとして大きな教訓として残されております。こども青少年局といたしましては、まずは未然防止に向け、産科医療機関と連携した相談窓口等に関する情報提供などに取り組んでまいりたいと考えております。

 

◆(横山委員) これは検証委員会による検証は行わないと聞いておりますけれども、なぜ行わないのですか。

 

◎(鯉渕こども青少年局長) 国の定めたルールでの検証委員会の検証は児童相談所などがかかわった上で死亡した事例について行われることになっております。

 

ただ、それは国のルールでやる検証委員会での検証でございますが、今回こういうふうに立て続けにいろいろな事例が起きておりますので、私どももこういったことについて自分たちとして検討していかなければならない事例だと受けとめております。

 

◆(横山委員) それでは、検証委員会の報告は常任委員会に提出されるわけですか。

 

◎(鯉渕こども青少年局長) 瀬谷区の事例につきまして検証委員会を立ち上げるということではございません。ー略ー

 

◆(横山委員) 瀬谷区の事例は、報道の上では母親は精神喪失状態にあって不起訴処分となったということで、ちょっとほかの事例とは若干違うところはあろうかと思いますけれども、では、ならば、横浜市は何ができたのかということはしっかりと検証しないといけないと思うのです。

http://giji.city.yokohama.lg.jp/kensaku/cgi-bin/WWWframeNittei.exe?USR=kanyoks&PWD=&A=frameNittei&XM=000100000000000&L=1&S=15&Y=%95%bd%90%ac23%94%4e&B=-1&T=0&T0=70&O=1&P1=&P2=%89%c1%94%5b%8f%64%97%59+&P3=&P=1&K=405&N=3354&W1=&W2=&W3=&W4=&DU=1&WDT=1

 

確かに、平成23年3月の段階では、児童相談所また市町村が関与していない事例は、情報収努めるだけで検証する対象になってはいない。しかし、その4か月後に国は検証が必要であると通知している。

 

ところが、議員の適切な指摘にも耳をかさず、全く動いていない。結局、上記に示した様に横浜市は、平成23年7月の国の通知にしたがって、要領も改訂してこなかった。

 

これは深刻な問題であるとして、認識しなければならない。このこども青少年局長が、健康福祉局長となり、まだ国の救済制度が確立されていない中で、HPVワクチンの副反応を訴える子どもたちへの救済を打ち切った。

 

それも他の多くの自治体が医療支援を開始する中でだから、本当にひどい話である。