横浜市と大口病院殺人事件
横浜市と大口病院殺人事件
(横浜市医療安全課と大口病院事件報道から)
大口病院での連続殺人事件の捜査本部が立ちあがって2か月。未だ犯人逮捕には至っていない。
http://www.sankei.com/affairs/news/161123/afr1611230011-n1.html
その後、幸いなことに被害者は出ていないが、類似した事件が産業医科大学病院などで起こっている。横浜市大口病院との大きな違いは、病院内でただちに発覚し適切な対応がとれていることだ。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20161121/k10010777611000.html
http://www.sankei.com/affairs/news/161118/afr1611180027-n1.html
報道によると、未解決のまま大口病院では、10月21日より過去に受診した患者のみの外来診療が再開されているようだ。
今回の大口病院の殺人事件では、院内の異変を告発していたメールを無視していた横浜市健康福祉局医療安全課の対応が問題視されている。
9月2日、医療安全課は定期の立ち入り検査で、メールの内容の詳細も確認せず、口頭で再発防止を求めただけで終えている。
また、報道によると、その日の立ち入り検査では「点滴の保管状況、問題はなし」と結論づけている。その後、2名の方が点滴によって中毒死している。
http://www.asahi.com/articles/ASJB42Q9DJB4ULOB003.html
横浜市は事件の発覚後、告発メールを受け対応しなかったことに対し、毎日新聞によると、「適切に対応した」と回答している。これが、横浜市健康福祉局の最初の認識であろう。
http://ameblo.jp/shigeo-kanou/entry-12204633379.html
報道が過熱し、殺人事件が発覚すると横浜市は、警察の捜査が始まってから約20日過ぎた10月11日に臨時立ち入り検査を行っている。
そして、10月28日に、臨時立ち入り検査の結果を公表し、通用口の防犯カメラ設置や、看護師の増員など13項目について行政指導を行ったと報道にある。あくまでも、被害者が出た後の行政指導である。
http://mainichi.jp/articles/20161125/ddl/k14/040/112000c
http://www.sankei.com/affairs/news/161030/afr1610300008-n1.html
ところが、不思議なことに健康福祉局のホームページの「記者発表資料一覧」には、10月28日の公表資料がない。
さらに、報道記事を詳細に読み込んで行くと、それ以外にも記者会見(記者レク)が開催されている。しかし、「記者発表資料一覧」には全く記載が無い。
つまり、議員や局所属委員、社会には知らされていない情報があるようだ。議会として情けない話だ。
http://www.city.yokohama.jp/ne/news/press/kenkou/
11月になってから、横浜市は福島避難いじめ対応問題で、全国から注視されている状況にある。その中で、11月25日、大口病院事件に対する医療安全課の第三者検証についての記者発表が行われた。
http://www.city.yokohama.jp/ne/news/press/201611/images/phpvqIOaS.pdf
そもそも日本の医療安全対策の歴史の発端は、1999年に起きた横浜市立大学医学部付属病院で起きた取り違え事件を契機にしている。
http://ameblo.jp/shigeo-kanou/entry-12210398720.html
そして、今や、国は総務省によって、厚労省の医療安全対策に対する行政評価・監視を行っている状況にある。
http://ameblo.jp/shigeo-kanou/entry-12209424641.html
横浜市の健康福祉局医療安全課は2014年に起きた、漢方ステロイド事件においても、その対応を問われていたが、検証されないまま現在に至っている。
http://ameblo.jp/shigeo-kanou/entry-11859190346.html
そして、2014年4月からの横浜市のコンプライアンス室は、十分に機能しない可能性がある。小さな芽が出た時に摘まない横浜市の手法は、林市政7年の中で継続されている。
http://ameblo.jp/shigeo-kanou/entry-11835485187.html
今回は殺人事件を背景とした深刻な問題である。告発メールにはカルテ紛失という医師法違反も含まれている。検証されるべき組織は、健康福祉局横浜市医療安全課である。
ところで、女性の活躍が組織を変え、社会を変えるという主張を展開してきた林市長の下で、今年4月の人事で総務局長も女性職員がなった。
http://www.projectdesign.jp/201507/ningen/002376.php
10月12日、井上さくら議員は、コンプライアンスの視点から、大口病院事件問題で総務局長に対して質問を行っている。このやりとりは議会中継でも見れるし、あとで議事録検索でも確認することができる。
総務局長が質問に沿った正確な回答をしていないことがよく分かる。井上議員は検証委員会の設置は、当事者である健康福祉局を外して総務局で行うべきではないかと提案した。
http://gikaichukei.city.yokohama.lg.jp/?tpl=play_vod&inquiry_id=5494
しかし、その提案は結局無視された。検証委員会の事務局は従来の横浜市の手法どおりの当事者である健康福祉局の企画課。何も変わっていない。
検証委員は横浜市医師会、歯科医師会、薬剤師会、神奈川県看護協会、横浜市保健医療協議会会長、神奈川県弁護士会等から構成されている。
検証の公正性を担保することは、日本の医療安全対策の歴史の上で重要であったはずだが、これで期待ができるのだろうか、心配している。