横浜市こども青少年局 その1
横浜市こども青少年局 その1
去年の年末から今年の3月にかけて、横浜市港北区で2件の子どもの死亡事例が報道された。2例とも親に殺されていた。
http://www.asahi.com/articles/DA3S12147264.html
http://news.infoseek.co.jp/topics/20160330_yol_oyt1t50098/
2例ともこども青少年・教育委員会(議会)に資料が提出されている。2例とも母子訪問と乳幼児健診が実施されているが、それ以降、区役所との関わりはない。さらに児童相談所との関わりもなかった。
今後の方針として捜査や立件等の司法対応の経過を踏まえた上で、検証実施と検討すると結んであった。
つまり、現時点では検証をしないという意味であった。原則、区役所や児童相談所が関わった事例が検証対象としているのが横浜市である。
今年度こども青少年・教育委員会のメンバーとなった。平成21年から7年ぶりのメンバー就任である。
その間に横浜市内では児童虐待の死亡例事例が相次いだものの、議会で児童虐待に関して言及する機会が平成23年3月以来、一度もなかった。今年度は腰をすえ、過去の経緯を踏まえしっかりと取り組もうと思っている。
平成21年と言えば、新型インフルエンザが発生した年であったが、平成21年6月12日に、児童虐待に関する質問を行った。
◆(加納委員) 関連ですが、今児童相談所、ここにDV被害者だとか関連する人達も入っておられるということですけれども、少し分かれば教えて下さい。児童虐待相談件数だとか、通告をされた件数だとか、本市で一番近いのは平成20年かと思うのですが、その辺の数字がもし分かれば教えて頂ければ有り難い。児童虐待相談件数だとか、その他細かい相談があると思います。
◎(屋代こども青少年局長) 平成20年度の新規の虐待把握件数は631件となってございます。平成20年度末でそれらを含めて対応している件数が2,156件となってございます。
◆(加納委員) これは例年に比べてどうかということだとか、それから、よく今、保護者の怠慢・拒否だとか心理的虐待とかいう形で様々な方法毎に分かれていると思うのですが、その数字が分かれば有難いです。
◎(屋代こども青少年局長) 平成20年度の先ほどの新規の虐待件数631件については、平成19年度に比べれば70件ほど減っているのですけれども、大体横ばいの状態と考えております。この内訳ですが、身体的虐待が278件、保護者のネグレクト、怠慢とか拒否が203件などとなってございます。
◆(加納委員) そうしますと、昨年に比べて減っているということと、それから中身を見た時にどうなのかという評価が分かると思うのです。そういった意味ではどの様に感じていらっしゃるかというのが1点。ー略ー
◎(屋代こども青少年局長) 虐待が減っているのは、いろいろとうちのほうの臨時の公団住宅とか、また地域におけるいろんな関係者の皆さんの御努力ということもありますけれども、実態としてはそんなに減っているわけではなくて、やはり深刻な状況であろうと考えてございます。
あとから振り返ってみれば、局長が言及した深刻な状況の実態をよく調べるべきだったと思う。また局長答弁をみるに、児童虐待防止のための福祉保健センターでの早期発見という役割の強化の認識がない。
さて、公開された報告数は誰でも調べることができる。平成21年度は新規件数がまた増えていた。さらに対応件数だが平成18年度は1869件。平成27年度は5470件である。過去最多を更新し続けている。
平成22年度は対応件数が1972件と落ち込んでいるが、平成23年度は新規件数も前年度に比較し約200件増加。それからは増加し続けている。
http://www.city.yokohama.jp/ne/news/press/201605/images/phpkyrZQ9.pdf
http://www.city.yokohama.lg.jp/kodomo/katei/jisou/file/240521-23shinkihaaku.pdf
http://www.city.yokohama.lg.jp/kodomo/katei/jisou/file/230526-22shinkihaaku.pdf
しかし、平成22年度、横浜市港北区で児童虐待による死亡事例や戸塚区の虐待事例、瀬谷区の虐待事例(心中)が相次いて報道された。
そして、東日本大震災が起こる直前、我々議員が横浜市の児童虐待対策を疑問視する事例が青葉区で起こった。
浜松市から青葉区に転居した母子に対して、浜松市から育児支援を要請する連絡が有りながら、1か月以上区役所が放置し、1歳半の子どもが死亡した事例である。
新聞報道をきっかけに3月3日のこども青少年局の審査では多くの議員が質問に立った。しかし、その審査の際に、こども青少年局と青葉区役所が隠していた情報は、亡くなった子どもが死亡時に低栄養状態であったということだ。
また、その子どもの母親が精神的に不安定であったため、浜松市で育児支援を行っていたこと。さらに、それ故に育児支援をお願いしたいと浜松市から連絡が入っていたことなど。
当時の青葉区民主党の菅野議員は、亡くなる1か月前に児童手当申請のために母子が青葉区を訪問した時は、食パンなども食べてしまうような元気な子どもであったことを確認した上で、議会でも発言している。
http://ameblo.jp/shigeo-kanou/entry-11835485187.html
さらに、その時に母子に接したソーシャルワーカーが不安に思い記録に書き残している事実もあった。
局別審査前、私はこども青少年局こども家庭課の保健師である担当課長と係長と面談している。そして、その時のやりとりをブログにも掲載した。
今や、医療機関や行政、警察の間での情報共有や検証不十分で多くの虐待死が見逃されている恐れがあり、国の集計の3倍以上はあるのではないかと日本小児科学会が見解を示している。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201604/CK2016040802000249.html
さらに、死亡時に子どもを診た医師と、司法解剖を担当した法医学者が解剖前後で情報交換をしなかった例が多く、起訴率が低いことが厚労省研究班の調査で浮き彫りにされるようになっている。
http://mainichi.jp/articles/20160603/ddm/041/040/067000c
しかし、当時、安易に虐待ではないと主張する両保健師の強い主張に閉口した。
http://ameblo.jp/shigeo-kanou/entry-10818624521.html
その後味の悪さは今も忘れてはいない。
いかに、児童虐待を見逃さないようなシステムを作るか。それは過去の事例をもう一度振り返らない限り、本市の児童虐待対策に期待は持てないと思っている。