脳卒中・循環器病対策基本法の歴史 その2 | 不可能をかのうにする かのう重雄 オフィシャルブログ「一つ、ひとつを重ねて」 Powered by Ameba

脳卒中・循環器病対策基本法の歴史 その2

脳卒中・循環器病対策基本法の歴史 その2


2009年6月、日本脳卒中協会は国の脳卒中対策の基本的な方針を示す「脳卒中対策基本法要綱案」を発表した。

http://www.dm-net.co.jp/calendar/2009/008457.php



予防そして、発症後すみやかに専門的治療が受けられる救急搬送・救急医療体制等の整備、急性期から維持期まで継ぎ目なく、専門的な医療や福祉を提供する施設を整備する施策を講じるなどの具体的な提案が盛り込まれていた。


一方、横浜市は1999年に急性期から維持期まで継ぎ目なく、専門的な医療や福祉を提供する施設である横浜市立脳血管医療センターを300億円投入し建設しておきながら、その施設の方針を建設たった5年半で横浜市立大学医学部などと連携して壊した歴史がある。まさに、今から考えれば、理想的な脳卒中医療体制を自ら放棄した。

http://ameblo.jp/shigeo-kanou/entry-11865408643.html



2005年から、その状況を目の当たりにし、危機感を覚え立ちあがった脳卒中の患者さんからなる患者団体が横浜市にはある。

http://ameblo.jp/shigeo-kanou/entry-12036289069.html



日本脳卒中協会は脳卒中の医療の質を向上させるため、脳卒中の発生や緊急輸送、治療の状況、転帰などの情報も地方公共団体が収集・提供する体制の整備も提唱。情報を分析して保健政策や医療の質の向上のため施策に反映させなければならないとした。


そして、脳梗塞の新しい薬であるtPA治療の普及を訴えた。もちろんtPA(血栓溶解薬)の使用は出血と言う合併症を引き起こす可能性があり、適切で迅速な治療が重要であるとしている。


一方、横浜市は適正な脳梗塞の治療体制を確認しないまま、手挙げ方式で30病院を選定し、2008年よりPAによる脳血管疾患救急医療体制を無謀にも開始した。

http://www.city.yokohama.lg.jp/iryo/teikyotaisei/nou02-yokohama.html


開始したものの、地方公共団体である横浜市は脳卒中の発生や緊急輸送、治療の状況、転帰などの情報は公表しなかった。


結局、その公表へむけて、横浜市長、横浜市議会に働きかけた患者団体の代表が、日本脳卒中協会の理事でもあり、今回のNPO法人日本脳卒中者友の会(旧称:全国脳卒中者友の会連合会)の理事である石川敏一氏、顧問の上野正氏。そして、2012年5月、30病院ごとのtPA治療実績が公表された

https://www.m3.com/open/iryoIshin/article/154632/

http://www.komei.or.jp/km/gyota/2012/06/18/%E8%84%B3%E8%A1%80%E7%AE%A1%E7%96%BE%E6%82%A3%E3%81%AE%E6%95%91%E6%80%A5%E5%8C%BB%E7%99%82%E4%BD%93%E5%88%B6%E3%81%AE%E5%85%85%E5%AE%9F%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6-2036/


当時、横浜市会公明党は、患者側に軸足をおき、彼らの意向を傾聴し動いた。しかし、3年もかかっている



今は、名称を変え横浜市脳卒中・神経脊椎センターとなっているtPAの治療実績。平成232425年と施行数だけは多いがtPAの治療成績は悪い。(治療しないより低い。)tPA治験に参加したときの横浜市立脳血管救急医療センターの見る影もない。

http://ameblo.jp/shigeo-kanou/entry-12036289069.html


そして、6年経過しても横浜市は安全性の指標となる症候性頭蓋内出血の公表をしない。ホームページでは「市民の皆様の安全と安心をお守りする」と言及しながらである。

http://www.city.yokohama.lg.jp/iryo/syokai/konnichiha/


横浜市医療局には、横浜市衛生局、横浜市病院経営局と名称を変えながら、患者側に軸足をおくのではなく、病院側に軸足をおいてきた永い歴史がある。

http://ameblo.jp/shigeo-kanou/entry-12033487492.html


その病院側に軸足をおく横浜市の医療政策に対し、この10年という永い間、かつて日本脳卒中協会が示したような脳卒中政策を要望し続けていた力強い歴史が患者団体である彼らにはある。


いかに地方公共団体という行政組織が、簡単に動かないことも痛いほどわかっている。そして、地方公共団体によっては、必ずしも患者側に軸足を置かないこともわかっている。


その実績のある患者団体を、新たに作られた「脳卒中・循環器病対策基本法の成立を求める会」は自分たちの意に沿わないというだけで切り捨てたのだ。


一体誰が、脳卒中対策の理想路線を外すことなく貫き続けてきたか、脳卒中を専門とする医師たちは知るべきである。脳卒中の後遺症の恐ろしさを一体誰が一番認識しているのか、医師たちは改めて思い起こすべきだと思う。


そして、一体、誰のための法案であるかを改めて反芻するべきだと私は思っている。