神奈川新聞の今後の存在意義
神奈川新聞の今後の存在意義
前回のブログで紹介した「現場からの医療改革推進協議会」のシンポジウムは2006年から毎年、開催されている。第1回から第10回までの概要は、インターネットで誰でも容易に検索できる。したがって、その協議会の登壇者は確認できる。
第1回から毎回登壇しているのは現黒岩祐治県知事。フジテレビ報道局解説委員の時からの参加である。そして、第8回からの協議会事務局は上昌広氏、東大医科研特任教授と鈴木寛元民主党参議院議員とある。
上氏は東京大学医科学研究所のホームページを確認すると、寄付研究部門:先端医療社会コミュニケーションシステム社会連携研究部門の特任教授として紹介されている。
http://www.ims.u-tokyo.ac.jp/imsut/jp/lab/organization/
このシンポジウムの特徴は、国会議員の参加であろう。初回は、民主党仙谷由人元衆議員議員、民主党足立信也参議院議員、民主党鈴木寛元参議院議員、自民党舛添要一元参議院議員らが現役の時に参加。政治的関与の強い協議会であることが一目瞭然である。
その後2回目以降第6回まで上記の3名の民主党議員が参加しているようだ。また、日本医学会長であり、子宮頸がん征圧をめざす専門家会議のメンバーである高久史麿氏も第2回から毎回参加している。
シンポジウムの登壇者を再確認することは、神奈川県の今後の医療がどのように展開してゆくかを予想する上で非常に参考になる。神奈川県内の我々地方議員あるいは県民にとっても非常に参考になると思う。
http://expres.umin.jp/genba/symposium01.html
http://expres.umin.jp/genba/symposium02.html
http://expres.umin.jp/genba/symposium03.html
http://expres.umin.jp/genba/symposium04.html
http://expres.umin.jp/genba/symposium05.html
http://expres.umin.jp/genba/symposium06.html
http://expres.umin.jp/genba/symposium07.html
http://expres.umin.jp/genba/symposium08.html
http://expres.umin.jp/genba/symposium09.html
さて一方で、注視すべき問題はこのシンポジウムにおいて、どのようなことが言及されているかであろう。その参考となる記事を見つけたので一部を紹介しようと思う。2012年に開催された第7回シンポジウムの内容であると説明してある。子宮頸がんワクチン推進の発端も言及されているので非常に興味深い。
http://lohasmedical.jp/blog/2012/11/post_2569.php
上昌広(東大医科研特任教授):ちょっといいですか。3~4年前のこの協議会に国会議員が押し寄せて人が入りきらないくらいになりました。理由は簡単で、仙谷さんが来ていたから。ー略ー当時は今とは与野党が入れ替わっていたので予算を仕切れたんです。子宮頸がんワクチンは、あの時の話。
ただ、あの時の我々の教訓は、与野党ひっくりかえしても医療費つまり診療報酬は200億円しか増えなかったこと。これはあかんと。それで次には、子育て手当てを流し込まないと、と言って、GSKなど様々なメーカーが頑張ったんです。もう一つは、成田市や浦安市など、金持ちの自治体に行きました。彼らは率先してやりますから。というのは、今は政府には金がない。頼んでもできっこないんで、政府がお好きな方は行かれたらいいんですが、費用対効果がめちゃくちゃ悪いんですね。
で、この1~2年、今なら神奈川県庁、もっと厳密に言えば神奈川県知事に行ったらいい。というのは、今度のポリオは黒岩さんがやったんです。面白い経緯があって、彼は個人輸入を知事になって最初の目玉としてやることにしたんだけれども、どこかでリークがあって、全国版でなくて神奈川版で出ちゃった。あちゃーと。どうやって盛り返したかというと、当時の厚労大臣が「神奈川県けしからん」と言ってくれたんですね。勝手なことしたら処分するぞ、って。で、一気にブレイクして、すべてのメディアが飛びついた。重要なことは、国民が知ったら、おかしいことは「おかしい」と言い出すんですね。そうしたらわずか数カ月で承認しちゃって。
政府にこんなこと言っても、厚労省にいくら言ってもしょうがないんです。ー略ー彼らのレベルが高いか低いかは別として。財務省に言ってもないものはないんです。生活保護手当てを切ってる横で、ポリオの予防接種にお金がつくわけがないんです。それと同じ感覚で、たぶん自民党が政権とっても財源増えないので、同じなんですね。
財源あるところしか受けないんで、今この問題に関心があるのは、私たちの中で、黒岩知事なんです。悲しいかな、神奈川県はメディアがなくて、地元紙がなくて、東京の新聞の端の方にいるんです。東北なら華北新報が書くし、九州なら西日本新聞が書くんですが、神奈川は地元紙がないから、何やっても皆さん知らないんですよ。だからジャストナウ、今行くなら神奈川県です。
上昌広氏は、地元紙である神奈川新聞の存在を認めていないようだ。第7回シンポジウムの時は、神奈川県知事はすでに黒岩氏となっているが、神奈川県知事が地元紙である神奈川新聞を知らないわけがない。
黒岩県知事が毎回参加しているシンポジウムで上記のような発言がされること自体が驚く。この事態を新聞社として憂うべきものだと考えるべきではないだろうか。また、上昌弘氏の優先課題は医療費を増大させることにあるように思える。
さらに、神奈川県病院機構の現理事長の土屋了介医師の発言を紹介しよう。氏は子宮頸がんワクチン推進成功の経緯を言及している。
土屋了介(がん研究会理事、元国立がんセンター中央病院病院長):HPVが成功したのは、当時、電通の成田名誉会長が、たまたま私の患者になったんですね。お金がないのだけれど、と言ったら手伝ってくれて、彼が仁科明子さんをセットアップしてくれた。もちろん寄付金で集められるものは集めて納めました。そうしないと、タダほど後で怖いものはないので。そうやって何か仕掛けをやっていくこと、国民の声だ、っていうフリでもいいからして、国会に持っていかないとね。もちろん、あれは国民の声でもあったから決してフリではないのだけれど。(果たして、寄付金とは一体どこから集めたのだろうか?)
また、現場からの医療改革推進協議会のInformationブログを検索すると「HPVワクチン騒動は朝日新聞が作った冤罪か」という題目の文章を読むことができる。http://expres-info.net/acv/
”何をやっても神奈川県民は知らない。今行くなら神奈川県。”「現場からの医療改革推進協議会」のシンポジウムの中で上昌広氏にそう語られていた神奈川県。
地元の新聞である神奈川新聞は、神奈川県の今後の医療体制のためにも改めて重要であると痛感した。神奈川県内の政治家も、彼らの言動を記事などで確認しながら注視してゆくことが賢明であろう。
