横浜市国際局の今後 | 不可能をかのうにする かのう重雄 オフィシャルブログ「一つ、ひとつを重ねて」 Powered by Ameba

横浜市国際局の今後

横浜市国際局の今後


横浜市は今年度から国際局なるものを設立した。そして、今年度、私は国際局を担当する議会(常任委員会)の委員となった。


以前から、横浜市は国際都市横浜と自ら発信してきたが、そう発信する横浜市役所が人材を含めた人事、組織構造、予算配分、政策の質などの点から、自治体外交を展開できるだけのしっかりとした組織ではないのではないかと疑問視してきた経緯がある。


しかし、現在の横浜市国際局のホームページには、「自治体外交」を力強く展開して「世界とともに成長する横浜」を目指すと言及してある。表現が相変わらず大げさで、具体性に欠けている。

http://www.city.yokohama.lg.jp/kokusai/about/



さて、今現在、日本国外の状況は、この1年で大きく変化している。シリア紛争を引き金に、ヨーロッパへの大量の移民問題、ISによるテロ活動の活発化を含め、非常に複雑化している。


横浜市国際局が言及している戦略の中での市内企業の海外開拓、市内学生の海外留学を謳っているものの、海外における危機管理情報などの重大な基本情報が一切、言及されていない。


2013年1月に起きたアルジェリアで起きたイスラム武装勢力による人質事件では、横浜市にある日揮の社員の方々が犠牲になった。市内企業の危機を経験しているはずだ。


今年の1月、二人の日本人がイスラム国によって殺害された。3月、アフリカのチェニジアの博物館で銃乱射事件が起こり日本人観光客が犠牲となった。さらに6月、同国の5つ星ホテルで39名が殺害されている。

http://www.sankei.com/world/news/150627/wor1506270032-n1.html


8月にはタイのバンコクで大規模な爆弾テロ事件が起こった。9月にはイスラム国が機関紙で、インドネシア、マレーシア、ボスニアで日本を攻撃するよう指示していることが報道された。

http://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000058571.html


10月にはバングラデイシュで農業に従事していた日本人男性が殺害され、イスラム国が犯行を主張した。1031日には224人が乗ったロシアの旅客機がシナイ半島で墜落。イスラム国の犯行声明も出た。

http://www.sankei.com/world/news/151114/wor1511140006-n1.html



そして1113日にはパリで起きたイスラム国による同時多発テロで、130人が犠牲になった。12月4日には、ISメンバー10人がタイに入国した報道された。

http://www.asahi.com/articles/ASHD44TVMHD4UHBI01W.html


現在の横浜市に最も欠けているものは、徹底した調査と客観的な評価だろう。事業を展開するとしても、利益、不利益の調査・検討がなければ、危険が伴う。



海外リポートはフランクフルトの事務所から発信されているが、年にたった4~5回程度、それもプラスイメージのレポートだけ。シリアからの移民問題で、変化するEUの現地からの報告など一言もない。


まして、パリのテロ後、EUの国境の厳戒態勢が強化されることで、世界経済にも影響が出る可能性があるという。

http://www.city.yokohama.lg.jp/kokusai/exchange/office/report.html

http://www.nikkei.com/article/DGXKASGM20H7S_Q5A121C1EA2000/

http://mainichi.jp/articles/20151212/k00/00m/020/128000c


世界情勢の急激な変化に取り残されたような素人ぶりを見せている横浜市国際局のホームページを見ていると、自治体外交など果たして本当に展開できるのかと心配に思うのは私だけではないだろう。外交に必要とされる危機管理などが皆無だからである。


1214日、国際局の委員会に「横浜市国際戦略(仮称)原案について」が、報告項目として計上された。横浜市国際局が考える横浜市国際戦略原案だが、やはり何処にも外交に必要とされる危機管理などが皆無だった。


局長、副市長に、そのことについて問い正したら「指摘を踏まえ今後検討していきます」との事だった。


さて、平成17611日付で横浜市フランクフルト所長による「地域貢献するカジノ」という記事が掲載されている。上記に示すように、国際情勢の変化に対し迅速な調査・検証能力そして発信力に疎い横浜市によるカジノ推進の発端がここにあったとすれば、経済効果が年に4千億円としている横浜市の推計を鵜呑みにすることは非常に危険であると思っている。


海外からの集客を狙うとなれば、世界経済の安定と環境の安全は極めて重要な要素であるからだ。

http://www.city.yokohama.lg.jp/kokusai/exchange/office/report.html

http://www.kanaloco.jp/article/94989