脳卒中対策基本法設立への道 その7
脳卒中対策基本法設立への道 その7
ここへきて、脳卒中対策基本法設立は頓挫しそうである。
9月16日に開催された、自民党、公明党からなる「脳卒中対策を考える議員の会」の総会で初めて、「脳卒中、心臓病その他の循環器病に係る対策に関する基本法案」(以下、「循環器病対策基本法」と略記)という議案が正式に出された。
一方、日本脳卒中協会は、患者団体である「日本脳卒中者友の会」が、この法案に反対しているという事実を知らせないまま、各患者団体に「循環器病対策基本法」賛否のアンケートを配布した。その日本脳卒中協会から患者団体への発信は、患者団体を混乱させた。
この事実は、時間はかかったが日本脳卒中者友の会のホームページに公開された。
http://noutomo.com/saishinjyouhou.html#20150531
平成27年5月18日、脳卒中対策立法化推進協議会の代表である山口武典氏によって提出された文書には以下のように明記してある。
日本脳卒中者友の会の石川理事長から、「脳卒中患者団体の考えを無視して行われることは正当ではない」との意見をいただきましたが、同じく患者団体である日本失語症協議会からは賛成の意見をいただいており、患者会の中でも意見が異なっています。また、石川理事長に訊いたところ、今回いただいた意見は日本脳卒中者友の会の理事会には諮られておらず、「昨年の総会で承認された理事長一任に基づいて意見を表明した」とのことでした。従って、日本脳卒中者友の会の中にも異論があると思われますし、日本脳卒中者友の会に加盟していない患者会も多数あることから、石川理事長の意見をもって「脳卒中患者団体の考え」とすることには無理があると考えます。
全国脳卒中者友の会連合会(当時、今は日本脳卒中者友の会)は、平成9年から設立され、当時会員数約3500名からなる患者団体である。
http://www.jsa-web.org/selfhelp/shg00.html
http://ameblo.jp/shigeo-kanou/entry-12041668385.html
さらに日本脳卒中協会は、平成9年設立当時から、この全国脳卒中者友の会連合会と共に歩んできたはずだ。
平成23年2月、脳卒中対策基本法制定への道筋として超党派の脳卒中対策推進議員連盟が立ちあがった時、患者団体代表として全国脳卒中者友の会連合会(当時)が注目された。そして、署名活動も行ってきた団体でもある。
ところが参議院民主党の足立信也議員(医師)などの反対があって、今期の国会では法案が通る見込みがないという政治的な理由のため、「脳卒中対策基本法」は「循環器病対策基本法」という名称に変えざる得ない。だから納得して欲しいとの打診に対し反対すると、手のひら返しのような対応となったわけである。
5月31日に理事会を開催し、正式に反対声明を行っている日本脳卒中者友の会と歩み寄りの話し合いを持つことなく、6月21日に日本脳卒中協会は、循環器病対策基本法への依頼を全国の患者団体に発信した。
さらに、日本脳卒中協会は、驚いたことに9月16日の「脳卒中対策を考える議員の会」総会で、既に解散している団体、「友の会」より退会している団体、会長の了解を取っていない患者団体なども「友の会所属」の賛同団体として数に入れ、総会での説明資料としている。(友の会事務局の直接の調査で判明)
友の会の名前を使用し、友の会所属の団体と紹介して、国会内での資料として添付・説明するならば、「友の会」に確認・承諾を得るべきである。明らかに、自分たちの都合の良い方向へと、自公の議員を誘導した。(データねつ造で問題となったデイオパン事件の構図と同じと言っても過言ではない。)
ただでさえ、脳卒中の後遺症に苦しむ患者さんたちの動きは、健常人に比較してそのスピードには限界がある。そのことを一番理解しているのは、我々素人よりも、日本脳卒中協会所属の医師たちであるはずだ。
さらに、今、法律を通さなかったら、今後成立する見込みがないという一種、脅迫とも思えることが日本脳卒中協会や協会所属の医師などより、患者団体に発信された。(友の会事務局の直接の調査で判明)
高齢者や再発を恐れる脳卒中患者さんにとって、さらなる厳しい状況が待ち受けている。
横浜市という行政一つとってみても、tPA治療を中心とした「脳血管救急医療体制」の開始後約7年間、患者団体が要望しても治療実績公表において副作用というデメリットを公表しない現実があり、実効性の困難さは、日本脳卒中者友の会の患者団体にとっては経験済みである。莫大な医療費がかさむ脳卒中に絞りこんだ法案は極めて重要である。
患者さん側に寄り添い、研究費などの要求だけを重視する医師とは違う立場で、実効性重視の法案設立を推進する政治家の存在が、今まさに必要とされている。