横浜市議会改革の現実(横浜市医療局と横浜市病院協会 その2)
横浜市議会改革の現実(横浜市医療局と横浜市病院協会 その2)
9月に入り横浜市議会が開催されている。今期の統一地方選挙では過去最低の投票率であったことを認識しつつ、改めてこれからの議会活動を考えようと思っている。
18歳選挙権が成立し、来年の参議院選挙から適用される。2012年の私のブログに、市内高校生のアンケート結果の記事を紹介したことがある。平成21年4月24日の読売新聞の見出しはインパクトがあった。
「努力しても政治良くならない” 7割-横浜市立高8000人調査 横浜市の議会改革未だ道遠し? 本市の高校全10校の生徒8000人を対象とした政治に関する意識調査の結果である。
81.8%が “ 政治は日常生活と切り離せない ” と認識しながら、70.6%が “ 努力したところで政治が良くなるものではない ” と考えていた。平成19年に一般有権者から得た同じ質問より16.1ポイントも高い。
選挙についても、一般有権者より10.6ポイントも高い50.1%が “ 有権者の声が政治に反映するとは思わない ” と答え、政治や選挙を懐疑的にとらえている。価値観についても質問では86.4%が “ 日本は悪い方向へ向かっている ” と答えていた。」
http://ameblo.jp/shigeo-kanou/entry-11274439427.html
横浜市の議会改革を唱え、今期選挙前、横浜市議会として横浜市がん撲滅対策推進条例、横浜市いじめ問題対策連絡協議会等の条例も制定した。また、議会中継もインターネットを通して見れるようになった。
昨今、以前に比較し、各議員のソーシャルメデイアを通した発信も増加した。この16年間でその変わり方は非常に大きい。それでも、投票率は下がり続け、半分を優に低下した。
議員定数も減らし、政務調査費は領収書を添付するようにした。しかし、費用弁償を復活させたことは、2013年大きく報道された。
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/193846.html
去年は「存在の問われる地方議会」と表して、NHKの時事公論でも地方議会の在り方の問題点を放送された。
「地方議会の重要な役割は、予算案や条例案の審議を通じ、行政に問題点がないか住民に代わってチェックすることです。しかし、実際は首長(市長など)が提案した案件の98%以上が原案通りに可決されています。果たして活発な議論の結果なのか。単なる追認機関では関心が集まりません。」と言及されている。
横浜市の場合、ほぼ100%原案通り可決されている。また、横浜市は、市会議員選挙のみならず市長選でもその投票率は29.05%過去最低であった。自民・民主・公明三党の相乗りの結果である。
誰もが見える形の議論をと指摘されながらも、予算委員会など, 時間を制限されている議会での質問には常に限界がある。一方、当局側の答弁には一応のルールはあるが時間制限はない。質問する上での資料確保も、常に行政側との駆け引きがあり難渋する。
たとえば、平成20年、横浜市病院協会の補助金不正問題という大きな問題が発覚したが、根本的な解決ができないまま、不透明な体質を横浜市健康福祉局医療政策課に残し、結局、中途半端な収拾で終わらせてきた感が否めない。
また、新聞報道は一時であり、記者の人事異動もあり、継続監視は難しい。そして、噂も75日で忘れ去られてゆく。
前回のブログで、紹介した横浜市衛生局だが、強制わいせつを顛末書一枚で済ませただけではない。市税からなる補助金、そして無利子融資管理も極めてずさんであった。
横浜市衛生局は1991年(平成3年度)から「病院事業整備資金融資事業」に無利子融資を行ってきた。無利子融資ーこれはもちろん税金である。
そして、注目すべき事実はその市融資審査会に平成17年度まで、横浜市衛生局から地域医療政策部長、医療政策課長という市の幹部職員2人が参加していたというシステムの存在である。
平成20年、明らかになった横浜市病院協会への補助金不正は550万円、「病院事業整備資金融資事業」の無利子融資の目的外使用額は総額で、5億3400万円まで上った。決して、小さな額ではない。
この事件を通して、無利子融資開始後、20年近く経過してやっと、市の幹部職員が参加しているにも関わらず、市融資審査会の審査実態がないという根本的かつ深刻な問題が、議会で指摘された。
このような事実は、多くの横浜市民が知ったほうが良い。18歳まで選挙権が拡大した今、このような行政組織の実態を若いうちから知っておいたほうが良い。少子高齢化の中で、税金の無駄遣いは致命的となる。
不正発覚直後の平成20年7月25日に開催されたこども青少年・健康福祉・病院経営委員会の議事録の一部を紹介する。
◎(上野健康福祉局長) 平成17年度までは病院協会の中で審査をするときに、病院協会の委員と市の職員と貸付を実際行う医師信用組合の職員が合同で融資物件について審査したということであります。平成18年以降は病院協会の融資の検討に市の職員は入ることをやめました。その結果、病院協会からの融資の案件の検討結果を受けて、独自で審査をすることと、市が直接完了検査を病院協会から受けるということ、現地調査を市の職員が実施するという体制に改めたと承知しております。
◆(牧嶋副委員長) 6月16日の当委員会資料8-1のところに医療機関整備資金貸付事業について絵が書いてあります。そこに明確に出ています。旧衛生局の地域医療政策部長、医療政策課長が出席するということで、審査会には横浜市の当時の衛生局の方たちも部長、課長が出席して、そこで出てきた案件について評議して融資を決定していくというシステムで行っていたと考えてよろしいですか。
◆(牧嶋副委員長) 平成15年度、平成16年1月16日の表を見ますと、委員長が荏原さんで、委員が富田さん、塩原さん、菊池さん、熊田さん(病院の医師名)と5名あって審議されている。審議されている項目は、一番最初に私のほうで資料をいただきましたけれども、平成15年度につきましては4件、8,200万円について審議しているのは1回だと思います。市の職員はこのとき参加してなかったのですか。
◎(上野健康福祉局長) 平成15年度の融資物件の審査のときには、平成16年1月16日、平成16年3月23日、いずれも本市の当時の担当の部長、課長は出席しております。
◆(牧嶋副委員長) 出席をしているにもかかわらず、資料6-1の16ページの出席者名簿には載ってないのはどういうことですか。
ー略ー要するに審査の場は、ある特定のメンバーで、もっと金出すとか、こういうものに使えとかいうことを市の職員にまさに言う場であって、審査の場としてではなかったのではないかという気がしてならない。
ー略ー審査会が本当の審査をする場であったのか、それとも向こうの要望を聞く場であったのかということが何となく感じられてならない気がします。ちょっと読み込みが足りないのでそこまでしか質問をすることはできないのですが、横浜市としてぜひ大事なお金を使っている場ですから、きちんとした処理をしてほしかったと思います。
私は、この議論が行われる以前より、平成3年度からの、地域医療政策部長、医療政策課長にあたる市職員等の名簿を確認し、彼らの最終人事と天下り先を調査していった。
そして、衛生局OBの職員らが退職後、病院協会関係などの医療機関や関係施設に勤務していることを確認していた。