日本脳卒中協会と横浜市立脳卒中・神経脊椎センター | 不可能をかのうにする かのう重雄 オフィシャルブログ「一つ、ひとつを重ねて」 Powered by Ameba

日本脳卒中協会と横浜市立脳卒中・神経脊椎センター

日本脳卒中協会と横浜市立脳卒中・神経脊椎センター

(横浜市脳血管疾患救急医療体制の歴史その5・横浜市医療局の展望その7)


平成17年度、tPA治療の認可に大きく貢献した横浜市立脳血管医療センター脳卒中診療部は、日本医療機能評価機構の理事である岩崎榮氏を局長とする横浜市病院経営局による人事介入によりほぼ解体された。


その年度末の3月には、横浜市立脳血管医療センターのみならず、横浜市病院経営局に、横浜市大医学部脳外科メンバーによる内視鏡医療事故の件で警察の家宅捜査が入った。


この家宅捜索を受け、神奈川新聞が平成18年3月19日付の社説で、病院経営局による解体の状況を言及している。(参照)強制捜査『神奈川新聞』社説 2006317日付「カナロコ ローカルニュース」(2006.3.22) http://www.kanalog.jp/column/editorial/entry_20013.html



社説によると、警察の家宅捜索は、横浜市の病院行政が信用できず「悪質」との見方を強めた結果であろうと記載。さらに今もなお、日本脳卒中協会の横浜支部長である元センター長が、医療過誤を強くにおわせる報告書を出した鑑定医記述の一部削除を求めたり、事故の問題点を指摘するリポートを書いたセンター医師を異動させようと画策したことも社説で言及されていた。


さらに(横浜市大医学部出身者で固めた)センター幹部らが、改善を求める「強調性のない医師」らの排除姿勢を強め、入院患者が約240人いる中で定数32の医師数を18人まで減らしたことに対し、「患者中心の医療」が余りに軽視されているのではないか?と疑問を呈し、県警の捜査が市の医療行政を正すきっかけになることを期待したいと結んでいる。


これは、横浜市という組織がいかに患者さんを軽視するようなことを行ってきたかということを改めて認識しなければならない事実である。


当時の病院経営局の課長級は、すでに一部は局長級に、さらに経営責任職として昇任し、現在の横浜市運営を担っている中心に位置している。


また、当時の幹部は退職後、横浜市病院協会に就職したり、脳卒中救急患者を扱う横浜市病院協会の病院に再就職していることが散見された。


横浜市という組織に本当の意味での患者中心の医療行政を期待することは、この横浜市病院経営局と脳卒中・神経脊椎センターの歴史を振り返れると非常に難しいと思われる。



上記に記載されたような意図的な隠ぺい行為を社会的に指摘された元センター長は、今でも横浜市立脳血管医療センターから名称を変えた脳卒中・神経脊椎センターに勤めているし、本市の交通局の産業医としても働いている。


あれから10年経過した平成26年度交通局の決算審査で、元センター長は、10分の巡視で約5万円を受けとっているというずさんな仕事の実態が明るみとなり問題となった。これが、任免権者である横浜市長の下で行われる横浜市の人事昇任制度の現実というものだ。


局・区長の人事となると市長の意見が反映されないとは横浜市民の多くは思わない。だから、現時点で、この医療行政を扱う組織に良識ある品性などまず期待できないと覚悟したほうが賢明である。

http://giji.city.yokohama.lg.jp/kensaku/cgi-bin/WWWframeNittei.exe?USR=kanyoks&PWD=&A=frameNittei&XM=000100000000000&L=1&S=15&Y=%95%bd%90%ac26%94%4e&B=-1&T=0&T0=70&O=1&P1=&P2=%89%c1%94%5b%8f%64%97%59+&P3=&P=1&K=487&N=4158&W1=&W2=&W3=&W4=&DU=1&WDT=1


さらに、日本脳卒中協会の24年度の報告書で、元センター長が支部長である横浜支部の事業内容が「横浜市脳血管救急医療体制の構築」と記載してある。


開始後、6年が経過しても副作用の頻度を決して公開しない横浜市脳血管疾患救急医療体制である。平成24年、25年度と横浜市立脳卒中・神経脊椎センターのtPAの治療件数は非常に多いが、その成績は非常に低い。PA治療で市内の寝たきりが予防できたかを疑いたくなるような成績である。

http://jsa-web.org/about/


平成23年2月(2011年)、脳卒中対策基本法を制定しようという超党派の国会議員連盟が発足した。自民党、公明党、民主党、共産党、みんなの党、社民党、たちあがれ日本、国民新党などの所属議員が参加した超党派の「脳卒中対策推進議員連盟」設立総会が開催された。


その時、患者代表として挨拶に立たれたのが、横浜市に在住し、自らが横浜市立脳血管医療センターの患者さんであり、横浜市衛生局と横浜市病院経営局が行ってきた横浜市の患者不在の医療行政の一部始終を見てきた日本脳卒中者友の会理事長である石川敏一氏と、脳卒中から助かる会の代表である上野 正氏(東京大学名誉教授)

http://www.47news.jp/feature/medical/2011/04/post-529.html


この患者団体は見てきただけではない。横浜市に対し、常に患者側に立つ医療を要望し続けてきた。諦めることなく、その道のりは10年以上に及ぶ。


子宮頸がんワクチン副反応問題でも、この一つの歴史的事実を見れば今後、長期戦が十分予想される。積極的勧奨中止から約2年経過しているこの3月に副反応に対する解決策も示さない中、ワクチン推進派による市民公開講座が横浜市立大学医学部で開催されるような政令市である。

http://www.yokohama-cu.ac.jp/med/kouza/150321.html


そして、石川敏一氏と上野 正氏を代表とするこの組織は、患者側に立つ公明党に期待してきた患者団体でもある。公明党もこの方たちから「患者の目線」の多くを学んだ。

https://www.komei.or.jp/news/detail/20140709_14417


この4月、一人の民主党参議院議員らによって、脳卒中対策基本法の成立が今期の国会で成立することが難しくなったとわかると、日本脳卒中協会そのものが今までの姿勢を翻し、「循環器病対策基本法」設立に向けて動き出した。


そして、その安易な態度を患者団体として反対すると、今まで共に歩んできた患者団体を、日本脳卒中協会そのものが排除する行動を始めた。


高額なtPA治療の普及率拡大を強調する多くの医師からなる団体と、病院ごとのtPA治療実績を横浜市に対し公開させ、それを実際に分析し、より安全かつ有効な脳卒中対策を要望する患者団体と、少子高齢化に伴い財政のひっぱくが予想されるこの国の未来をどちらが真剣に考えているといえるだろうか?


医師と製薬会社との利益相反が問われる現在、医療行政に関する案件は慎重にあるべきだとつくづく思うこの頃である。