横浜市脳血管疾患救急医療体制の歴史 その3 | 不可能をかのうにする かのう重雄 オフィシャルブログ「一つ、ひとつを重ねて」 Powered by Ameba

横浜市脳血管疾患救急医療体制の歴史 その3

横浜市脳血管疾患救急医療体制の歴史 その3

(横浜市医療局の展望 その5


以前ブログにも書いたが横浜市病院経営局は、平成19年度からしか横浜市立脳血管医療センターの年報をホームページに掲載していない。しかし、平成11年度から平成16年度までの年報は事実存在している。

http://ameblo.jp/shigeo-kanou/entry-11838129920.html


横浜市医療局と名前を変えたところで、病院経営局の手法がそのまま踏襲されていて、改善は認められていない。これは公正性を欠いたものである。また、横浜市立脳血管医療センターのありかた検討会議で、一部の委員によって言及されるセンターの評価は散々だった。「何の特色もない」、「人間関係が悪い」と、検討会議の内容を聞くにつけ、センターの状況に危機感を覚えた。(誰が何を発言したかが分からない会議録である。)



私自身が病院経営局を所管する常任委員会、あるいは予・決算委員会などで発言する機会を与えられなかったので、平成17年7月25日の道路・消防常任委員会委員長の時、消防局長に対し事実を確認する質問を行ったことがある。


病院経営局が作成する都合のよい筋書に迎合するわけにはいかなかった。まさに人の命に係わる重要な案件である。議会で発言し議事録に残すことは大事である。時間を経てからも、横浜市医療行政の歴史を検証できる資料にもなる。


以下の議事録から当時、横浜市内多くの脳血管疾患患者が、脳血管医療センターに集中して搬送されていたことが分かる。高度かつ良質な医療を提供できるセンターに多くの患者を集中して搬送する。市民にとって極めて納得のゆく健全な脳血管疾患救急医療体制であった。


◆(加納委員)確か循環器系の搬送人員について個別的には増加が大きいー。さらにその中で脳血管疾患と心疾患に分けて御説明頂きました。平成17年上半期の数字はないというのですけれども、平成15年、16年の急病における、特に循環器、内訳として脳血管疾患と心疾患、確かその他に一過性脳虚血発作もあったと思います。この実数とパーセンテージをお示し頂けますか。


◎(橘川消防局長)平成15年で申し上げますと搬送人員はトータルで8万6,513人、その内の循環器系が1万4,792人、内訳は脳血管疾患が6,354、心疾患が4,785人、また、循環器系以外の内一過性脳虚血発作が288になっています。 平成16年においては、8万9,417人の搬送人員に対し脳血管疾患が5,852、心疾患が5,076人、一過性脳虚血発作が544になっています。


◆(加納委員)もっと簡単に聞きますけれども、平成15年と平成16年の、脳血管疾患傷病者と心疾患傷病者の急病全体に占める割合からどちらの救急搬送が多いのかお示し頂けますか。


◎(橘川消防局長)循環器系のトータルで言いますと、平成15年中は急病全体の17.1%ですが、その内訳を脳血管疾患あるいは心疾患の別にしますと、脳血管疾患はその内の43、心疾患が32.3%。平成16年中を見ますと、循環器系トータルでは急病全体の15.1%でございますが、その内訳としての脳血管疾患は43.5%、心疾患が37.7%になっています。


◆(加納委員)脳血管疾患に一過性脳虚血発作を足しますと、私が聞いているところでは、平成15年は脳血管疾患が全体の7.7%、心疾患が全体の5.5%、それでよろしいでしょうか。


◎(橘川消防局長)そのとおりでございます。


◆(加納委員)平成16年は、脳血管疾患が全体の7.2%、心疾患傷病者が5.7%、これでよろしいでしょうか。


◎(橘川消防局長)そのとおりでございます。


◆(加納委員)大変急病が増えている。その中で循環器系がさらに増えている。さらにその中で脳疾患と心疾患とを比べると、脳血管疾患は大変搬送者が多いと、このような実態だと思うのです。 もう一点、救命救急センター設置4医療機関と、専門病院の横浜市立脳血管医療センターに搬送されている脳血管疾患傷病者数を、平成15年、平成16年、4機関を足した数と脳血管医療センターだけで結構ですから、お示しいただけますか。



◎(橘川消防局長)平成15年のトータルが1,435人の内、脳血管医療センターは803、平成16年で見ますとトータルが1,496人の内、脳血管医療センターが806という状況でございます。


◆(加納委員)4つの救命救急センターを足した人数より多くの患者が、専門病院である脳血管医療センターに搬送されているという実態がわかるのです。 そこでお聞きします。昨今、横浜市立脳血管医療センター医療機能検討会議が行われていますけども、消防局へ、脳血管医療センターから医師が足りないので通常どおり運ばないで貰いたいという趣旨の通達が出ていると聞いています。いつ頃どの様な通達が出されたのか、お示しください。


◎(橘川消防局長)今年5月27日に、脳血管医療センターから消防局に対しまして、脳血管医療センターの救急体制についての依頼文書が来ております。


◆(加納委員)何故聞いたかというと、これだけ急病が増えて、さらに脳疾患が増えていて、その搬送先として救命救急センター4施設より専門の脳血管医療センターへ運ばれている数が平成15年、16年を見ても多いー。搬送人員が大変多い脳血管疾患の搬送先である脳血管医療センターについて、先ほどの医療機能検討会議の中で急性期医療をやめて回復期リハビリテーション医療というのも選択肢の中で検討されていると聞きました。その中で、5月から脳血管医療センターに運べないというか、ある程度の条件がついた通達が出されたという中で、現在救急隊はこれだけ多い脳血管疾患についてどの様に対応しているのかをお話しください。


◎(橘川消防局長)現実の問題として脳血管疾患に対応できる医療機関へ搬送しているというのが実態でございます。


◆(加納委員)最後にしますけども、脳血管疾患に対応できる病院としてあれだけ多くの搬送者が脳血管医療センターに運ばれている中で、新しい病院が増えているわけではありません。そういう中で救急隊として、市民に良質な医療をどう提供するか。救える命を一人でも救いたいということからすると、選択肢の一つである専門病院へのこういう通達や、そして、一方で検討会議での検討内容について大変苦慮しているのではないかと推測しますけれども、いかがでしょうか。


◎(橘川消防局長)一応脳血管疾患の専門病院でございますし、また実態として多くの患者さんを、加納委員今おっしゃられたように、またデータとしても患者さんを搬送した実績のある病院(センターのこと)でございますので、当局と致しましては、また救急隊にとりましても、高度かつ良質な医療を提供できる病院の選択肢は多いにこしたことはないと認識しているところでございます。

http://giji.city.yokohama.lg.jp/kensaku/cgi-bin/WWWframeNittei.exe?USR=kanyoks&PWD=&A=frameNittei&XM=000100000000000&L=1&S=15&Y=%95%bd%90%ac17%94%4e&B=-1&T=0&T0=70&O=1&P1=&P2=%89%c1%94%5b%8f%64%97%59+&P3=&P=1&K=225&N=1846&W1=&W2=&W3=&W4=&DU=1&WDT=1


数字を含め、上記の様な事実確認を行うだけでも、日本医療機能評価機構の理事をトップとした病院経営局が、市民に行ってきたことがいかに尋常ではないかが良く分かる。それも、センターの医療機能検討委員会の結果がでないうちから人事権を使い、センターの脳卒中急性期医療を担う脳卒中診療部を解体させるような動きをしていたのだからすごい。


さらに、脳血管医療センターに患者を搬送しないように消防局に通達まで行っている。患者側の視点など全く見えない。そして、それ以来、一つの医療機関で800以上の脳血管疾患患者を診る医療機関が横浜市にはなくなった。



この様なことは、当時の「全国脳卒中者友の会連合会」や「脳卒中から助かる会」という、患者団体からの治療実績公表の要望がなければ分からなかった数字である。この数字の事実を見たとき、一体横浜市が、一体誰のために医療政策を行ってきたのか、改めて考えなければならないと思う。