横浜市脳血管疾患救急医療体制の歴史 その2 | 不可能をかのうにする かのう重雄 オフィシャルブログ「一つ、ひとつを重ねて」 Powered by Ameba

横浜市脳血管疾患救急医療体制の歴史 その2

横浜市脳血管疾患救急医療体制の歴史 その2

(横浜市医療局の展望 その4)


平成174月、tPA治療認可に大きく貢献した横浜市立脳血管医療センター脳卒中診療部は、横浜市病院経営局による人事のため混乱状態にあった。そして、この新しい治療の恩恵を受けるように、脳卒中センターの全国整備が期待される時期でもあった。


また、ストロークユニットの有効性を研究する厚労省の研究にも、横浜市立脳血管医療センターは中核5施設に選ばれていた。開設から5年半、まさにこれからという時だった。

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平成15年、横浜市立脳血管医療センターで群馬大学医学部の腹腔鏡手術と同様の医療事故を起こしたのは、全員が横浜市立大学医学部出身の脳外科医たちであった。


病院経営局は、医療事故とは関係のない、tPA治療、脳血管内治療という高度な医療実績をもつセンター救急医療の主軸であった脳卒中診療部解体につながる人事介入を行った。その介入に横浜市立大学医学部も大きく関与した。


脳外科医の起こした医療事故を機に、tPA治療の治験責任者であり、当時副センター長であった畑隆志神経内科部長をただの担当部長に降格させ、横浜市立大学医学部は自身の医局から神経内科部長をセンターに送り込んだ。


病院経営局はまた、治験に参加したtPA治療の専門医を臨床する機会のない横浜市役所に人事異動させた。この時、脳卒中診療部は医療事故指摘に対する報復人事であると反発した。センターに通院している患者さんたちも反発した。その反発が、「脳卒中から助かる会」という患者団体の発足を促した。


さらに、山本正博センター長を担当理事に、横浜市立大学医学部出身の消化器外科医を脳血管医療センターという専門病院のトップに据えた。今から思えば、センターの脳卒中急性期医療弱体化を図ったと思われても仕方のない人事であった。


岩崎榮局長をトップとする病院経営局は、センターをリハビリ病院化しても、横浜市立市民病院など、ほかの医療機関が十分同じ機能を果たすことができると議会で答弁していた。


病院経営局が、センターと同様の機能を十分に果たせると言っていた横浜市民病院の平成23年、24年、25年度のtPA治療実績を示そう。また、市民病院の神経内科部長は平成17年に横浜市立大学医学部がセンターに送った神経内科部長である。


平成23年度、施行数6例、有効性16.6%。24年度、施行数14例、有効性14.3%。25年度、施行数13例、有効性15.4%。何も治療しないでいるより、軽症になる人の割合が非常に少ない。この数字を見ただけでも、病院経営局職員らの無責任ぶりが分かって恐いくらいである。


さて、現横浜市医療局局長が答弁した、横浜市立脳血管医療センターが「以前はチームワークが良くなかった」とは、何を指して答弁したのだろう?是非、直接、聞いて見たいものだ。


病院経営局前衛の衛生局は、医療事故発生時にセンターの管理責任者である管理部長を医療監視の出来る磯子区の担当部長に、さらに管理課長を初代医療安全課長に異動させた。


つまり、自分の起こした対応の不手際を、自分で調査することが出来るポストにつかせたのである。この驚くべき人事をして、公明党の大滝議員によって、衛生局はその隠ぺい体質を議会で糾弾された

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しかし、衛生局と総務局は連携して、医療事故を指摘した脳卒中診療部を「チームワークを乱した存在」として、至る所で公に表現するようになった。そして、専門家集団としての実績を横浜市から消した。それは、何のため誰のために行ってきたのだろうか? 


さらに、医療事故を起こした脳外科医らの上司である横浜市立大医学部元脳外科教授で、市大の学位審査で不正を起こした山本勇夫氏をセンターのトップに据えた。当然、議会でもこの人事は話題となった。


当時の病院経営局の原局長も、元横浜市立大学医学部の教授である。この人事を正当化する原局長の答弁に対し「モラルは二の次か」と指摘されている。

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赤字病院にとって考えられない人事であったが、「赤字は税金で補てん出来るから」との声が。・・・とんでもないことである。


当時、脳卒中診療部解体の動きを察知して、平成161220日に開催された総務局関連の委員会で質問をしたが、その動きを止めることはできなかった。


今、議事録を紹介することで、国の医療安全対策の発端となった取り違え事件を起こした横浜市大医学部のその後と、横浜市人事の体質を理解する上で参考になると思い、一部を紹介しようと思う


◆(加納副委員長)従って、こうやって検証してまいりますと、市会議員からの資料要求も含めて、衛生局の各課が全くルールに反して様々な対応をしてしまった。それがセンターとのやりとりで、全くルールに反した形でその指示や報告が上がってきている。


それも同じように総務局の人事に絡みますと、本市の行政内で行われているルール、連絡、報告も含めて、これが今回の調査報告からして、また本日の委員会議論からして、余りにもずさんだと市民からは見られると思いますけれども、清水副市長、いかがでしょうか。


◎(清水副市長)今、加納副委員長から御指摘がありましたところは、先ほど私が、いろはのいの字もと申し上げたかも分かりませんけれども、本当にやらなければいけないことが出来ていないということでは、おっしゃる通りでございます。


こういったことについて、どちらからというと簡単なことは、また同じ過ちを繰り返すというのが人間の常と言うと、責任を逃れているのではないかとお叱りを受けるかもわかりませんが、そういう意味ではなくて、簡単なことこそ、繰り返し繰り返し注意をする、研修をすることが大事だと、この報告書あるいは委員の皆様方からの御意見、御議論をお聞きして、私はそのように思った次第でございます。


その辺については総務局が中心になって、もちろん私がということになりますけれども、やっていかなくてはいけないと改めて思った次第でございます。正直なところ、こういう常識的なことは出来ていたのではないかと思っていたことが若干裏切られたという気持ちでございます。



(加納副委員長)多分こういう事例が上がってきたのは、脳血管医療センターの診療科会議録を見ますと、1119日に疑義があって、その後、インシデントレポートが書かれて、そして、このような形で医療過誤が決定して、その後さまざまな形で患者不在というようなことからこれは来ています。


私は先ほど来の意見を聞いていまして、患者不在ではなくて、患者側に立った医療を脳血管医療センターの医師たちが考えたから疑義を出した。そして、インシデントレポートを書いた。


その結果、約1年かかりましたけれども、やはり医療過誤だったという決定があった。これは青戸病院の問題もそうですけれども、事件が起きてから1年後に青戸病院の事件は内部告発という形で出てきた。こういう医療過誤の問題というのはなかなか出てこない。


逆に言いますと、脳血管医療センターに患者側に立った医療をという方たちがいたがゆえに、これだけの医療過誤という問題と、そして、本市の総務局に衛生局も絡んだ人事等に対する不信。そして、衛生局と総務局を中心とする行政の本来ルールを守ればいいものをルールが全く守られていなかった問題。このことがこうやって大きくクローズアップされたと言えると思うのです。


従って、脳血管医療センターで行われたルール違反が、あの内視鏡の医療過誤であり、脳血管医療センターで行われたルール違反が、米国籍(米国籍患者の医療事故)のああいった問題にもなり、同じように、衛生局が全くルール違反をしているがゆえに、今回このように市民から不信を抱かれており、また同じように総務局が、人事との絡みの中でもっと慎重にやっておけばよかった。


本来、あの人事フローにあったような形でしっかりやっていればよかったのに、これもある意味ではルール違反をしたがゆえに、市民から見て本市行政に対するこれほど大きな不信と、そしてまた、大きな問題になったのは、一部のルール違反、本来の約束事を破った、脳血管医療センターで言えば、診療科である脳外科医のルール違反から始まった



従って、そういったことから考えますと、脳血管医療センターがすべて悪いとか、あそこには行きたくないという印象を与えてしまうとか。また、この調査報告書にわざわざ後書きで、参考意見で、それを助長するかのようなことが書かれているということは、どうも私から見ると、衛生局と総務局の市民から見た不信感を調査するところに、なぜわざわざすべてを網羅したような、医師と看護師のコミュニケーションがと。


衛生局と総務局のコミュニケーションがないからこの調査委員会は立ち上げられたのです。そう考えますと、患者側に立った方たちがいたがゆえに、これだけ本市の根幹に及ぶさまざまな怠慢さ、ルール違反が表に出てきた。このように認識すべきではないかと私は思います。


逆に言いますと、本市が大変なお金を使ってつくり上げた脳血管医療センターで行われている最先端の技術、そして全国的にも大変優秀だと評価されているあの医療現場等も、もう一方でしっかりと検証してあげて、そして、どこが悪かったのか、どこにうみがあったのか、何が原因でここまで大きくなったのかということは、やはり客観的に検証しなければ、あそこの中で(センター)一生懸命働いて、今回の医療過誤、そして、衛生局と総務局のここまで大きな問題に発展した因をつくった人たちの正義感も報われないのではないかと思います。


本市行政をつかさどる立場としては、そういう観点からもしっかり今後見ていくべきではないかということを意見として申し上げさせていただきます。


最後に、今回の調査委員の立ち上げ、目的からすると、構成も、立ち上げも、先ほど内容証明付でヒアリングできなかったというお話も含めて、しかも、ここに書かれている内容は両論併記、そしてまた21ページにあった、3月31日に言われたから人事ができないのだ、困難だと断定したような言い方も含めて、この調査報告書は本当に信憑性があるのかというのは、やはり最後まで私としては不信でならない。


しかも新聞報道で言うと、患者家族も、できたらヒアリングをしたかった。ヒアリングに応じたかった。対応についての事務手続等に、やはり不信がありますという新聞報道でした。


そういった皆さん方のものも入っていない中で出されたこの報告書は、果たして信憑性があるのかというと私としては、それは非常に厳しいと感じます。そのことを再度申し上げ質問を終わらせていただきます。

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残念ながら、この横浜市という組織に冷静かつ客観的な検証、あるいは反省など望めなかった。望めないどころか人間関係が悪い、チームワークが悪いというつかみどころのない論点にすり替えていった。そして、そういう体質をもった組織によって「横浜市脳血管疾患救急医療体制が開始されたのである。


清水副市長は、研修することは大事だと当時答弁したが、コンプライアンス研修、人権研修、パワハラ・セクハラ研修を行うことで組織が改善されなければ、何も意味がない。


あれから、10年、子宮頸がんワクチン問題でも ”相変わらず患者不在” が問われている横浜市という組織。税金を投入し、勤務時間内で行われている研修の成果は出せていない。