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公益社団法人 日本脳卒中協会のスタンス

公益社団法人 日本脳卒中協会のスタンス

(脳卒中対策基本法制定への道 その5)


平成232月、脳卒中対策基本法制定への道筋として超党派の脳卒中対策推進議員連盟が立ちあがってから、4年経過したが依然として制定されていない。


平成2512月、自民党、公明党からなる「脳卒中対策を考える議員の会」が立ち上がり、脳卒中対策基本法制定への道へと進むはずだった。ところが、ここにきて設立するどころか、一部の民主党参議院議員の反対のため暗礁に乗り上げ、さらに名称まで変えられそうになっている。


「循環器病疾患対策基本法」ー平成24年、民主党桜井充参議院議員(医師)から提案された名称にである。

http://ameblo.jp/shigeo-kanou/entry-12010744757.html


当時、この提案に対し、真っ向から抗議したのは公益社団法人 日本脳卒中協会の理事長でもあり、脳卒中対策立法化対策協議会代表の山口武典氏であった。平成24822日、脳卒中対策立法化推進協議会各位に意見を求めた文書はインターネットでも容易に検索できる。

http://www.google.co.jp/url?url=http://www18.ocn.ne.jp/~jshn/document/20120823.pdf&rct=j&frm=1&q=&esrc=s&sa=U&ei=ggpfVdXwJYHhywP0moPACw&ved=0CB8QFjAC&usg=AFQjCNElYLBbxO3kn8N2uQCrpnzp4iBb9Q


その文書の経過報告には、平成224月、民主党の元足立信也厚生労働政務官(外科医師)(当時)が、「個別の疾患に基本法を作ることは反対」という考えを表明したと明記してある。


さて、この時の日本脳卒中協会事務局の見解の一部を抜粋して以下に示す。


「がん」と同様あるいはそれ以上に国民的に重要な課題である脳卒中対策を推進するに当って、あえて基本法を策定しないことは理解困難です。



さらに、桜井議員の提案である「循環器疾患対策基本法」への包括案に関しても問題点があるとしている。


「循環器疾患は、危険因子はほぼ同じでも、脳卒中と他の循環器疾患では後遺症という点で大きな相違があり、「循環器疾患」としてひとくくりにすることには無理がある」と言及されている。



まさに、後遺症を抱えながら、脳卒中対策基本法設立へ向けて、署名活動も含め邁進してきた患者団体にとっては頼もしい抗議でもあった。


さらに、今年、3月末に広島で開催された第40回日本脳卒中学会でも、公益社団法人 日本脳卒中協会事務局長である中山博文氏は「日本脳卒中協会が関連14団体とともに作成した脳卒中対策基本法案と広島宣言なしには脳卒中征圧は難しい。同法の制定に期待したい」と述べている。(Medical Tribune 423日)


ところが、公益社団法人 日本脳卒中協会の理事長でもあり、脳卒中対策立法化対策協議会代表の山口武典氏が、ここにきて突然、そのスタンスを翻した。



ある日突然、一部の民主党参議院議員などが反対するため「脳卒中対策基本法」の成立が困難なので、「循環器疾患対策基本法」の推進に方向転換する。循環器病対策の要綱案も既に纏められて、民主党の検討に委ねられているという打診がきたのだ。


公益社団法人 日本脳卒中協会の理事であり、平成9年に設立された患者団体、「全国脳卒中者友の会」代表 石川敏一氏らは驚いた。

http://www.jsa-web.org/selfhelp/shg00.html


まさに、寝耳に水とはこういうことをいうのだろう。今までの経緯経過から考えれば、その一貫性のなさに呆れるのは当然であろう。


また、「脳卒中対策立法化推進協議会 規約」の目的には、「本会は、脳卒中対策立法化の必要性について、医療関係者、脳卒中患者とその家族、介護関係者のみならず、広く国民に理解を広め、脳卒中対策の一層の充実を国を挙げて実現するため、脳卒中対策基本法の立法化を推進することを目的とする。」とされ、設立趣意書にも同様なことが書かれている。そして、その事務局は日本脳卒中協会事務局内に置かれている


納得しないことを日本脳卒中協会の会議で患者団体として表明すると、「全国脳卒中者友の会」だけが、脳卒中の患者団体ではないと文書で返答してきた。設立18年の団体に対してであり、協会と常に一緒に運動してきた団体にである。


しかも、日本脳卒中協会の現 理事に対してである。そこには、患者側に寄り添う姿勢も、協会設立の姿勢なども残念ながら全く見えない(本当に残念でならない)。


日本脳卒中協会は、脳卒中の予防と患者・家族の支援を目的に平成93月に設立されている。その理事の多くが医師である。協会の都合によって患者団体をえり好みされては、その設立趣旨とはまったく異にすることになる。ただでさえ、脳卒中の後遺症に苦しむ患者さんたちに対して過酷な対応であると言わざるを得ない。

http://cvddb.med.shimane-u.ac.jp/cvddb/user/aboutjsa.htm


一体、何のための誰のための基本法なのか? そして、一体何が、この短期間でそこまで日本脳卒中協会のスタンスを翻させたのか? どうして、不親切な上から目線の手続きに終始してしまったのか。これは尋常な状況ではない。



この事態を受け、がん対策基本法設立に尽力をした国立がんセンター総長(当時)の垣添忠生氏の言葉を思い出した。「患者さんや家族、国民の声があったからこそ、短期間で法律成立までたどりつくことができました。「患者さんや国民がいるからこそ医療がある」という医療の原点につながっていくような、非常に端的な出来事だったのでないかと思っています

http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA02713_03


このまま、患者さんへの歩み寄りのないままに名称を変えた法案を強硬に制定したとしても、今後、歴史的にその意義が問われることになるのでないかと非常に危機感を持っている。