横浜市とカジノ法案 | 不可能をかのうにする かのう重雄 オフィシャルブログ「一つ、ひとつを重ねて」 Powered by Ameba

横浜市とカジノ法案

横浜市とカジノ法案


横浜市は今年度から国際局を設立した。そして、国際局を担当する常任委員会の委員となった。


以前から、横浜市は国際都市横浜と発信してきたが、そう発信する横浜市役所が人事、組織構造、予算配分、政策の質など、特に世界に賞賛されるだけの組織とは思えない。


去年、横浜市立大学も文科省が選ぶ国内のスーパーグローバル化大学にも選ばれなかった。また、横浜市役所内の男女共同参画推進など、実態は危機的であることも最近のブログで紹介した。

http://ameblo.jp/shigeo-kanou/entry-12025098499.html

http://ameblo.jp/shigeo-kanou/entry-11853275733.html


一般的に、政治的、経済的、文化的な中枢機能が集積しており、グローバルな観点による重要性や影響力の高い都市は、国際都市ではなく世界都市あるいはグローバル都市として定義されている。


世界都市指数ランキングに入るのは、東京と大阪、世界都市総合力ランキングに入るのは、東京、大阪、福岡であり、横浜は見当たらない。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%96%E7%95%8C%E9%83%BD%E5%B8%82


現在の横浜市に欠けているものは、徹底した調査事業と客観的な評価だろうと思う。事業評価に利益、不利益の検討がなければ、まともな評価とはいえない。また、今後、政治家と行政機関が最も重要視しなければいけないことは、少子化という深刻な現実であろう。


少子化ーそれは将来的な労働人口の減少であり、税収の低下である。将来的に起こるこの絶対的な事実を直視して対処していかないことには、必ず破綻が起こる。



54日に、15歳未満のこどもの数が34年連続減少しており、過去最低を記録したと報道された。現在1617万人、人口4千万人以上いる30か国で日本は最低である。

http://www.asahi.com/articles/ASH4Z6535H4ZUTIL04C.html


15才未満のこども167万人。ギャンブル依存症536万人。頭の中に浮かんだ数字である。



林市長は当選して、半年もしないうちに経済効果があるとカジノ誘致に名乗りをあげた。さらに、統合観光型リゾートの都市づくりに1000万円もの予算を計上した。

http://sankei.jp.msn.com/region/news/140109/kng14010922360012-n1.htm


一方、横浜市は生活保護を引き下げて、977人のこども達がが就学援助を受け取れない状況を作った

http://www.kanaloco.jp/article/78009/cms_id/102802


今年、53日には、横浜市はカジノ中核リゾートに4144億円の経済効果があると発表した。

http://www.yomiuri.co.jp/economy/20150503-OYT1T50043.html

http://www.kanaloco.jp/article/94989


神奈川新聞には、懸念事項としてギャンブル依存症、暴力団の関与、資金洗浄があると書かれているが、その対策に実際いくらかかるかは言及されていない。まさに、横浜市らしい調査結果である。


一方、511日の読売新聞や日本経済新聞で、カジノ法案提出後の懸念事項などが言及されていた。

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/20150510-OYT1T50139.html

http://www.nikkei.com/article/DGXMZO86509570Y5A500C1000000/


読売新聞社説の一部を紹介する。「カジノは、競馬、競輪など既存のギャンブルと比べて、賭け金が高額になりがちで、依存症の人が急増する危険性がある。カジノ客が多重債務に陥れば、犯罪に走ったり、家族崩壊を招いたりする恐れが指摘される。これらに伴う社会的コストの拡大を軽視すべきではない。



シンガポールでは、自国民や永住者から高額な入場料を徴収したうえ、本人や家族の申告で入場を禁止できる制度を導入している。入場禁止者は年々増加しており、20万人を超したという。



カジノは、依存症以外にも多くのリスクを抱えている。暴力団など犯罪組織の介入や、マネーロンダリング、周辺の治安悪化、青少年への悪影響などである。


議連は、カジノ解禁が外国人観光客の増加や地域活性化に効果がある、と主張している。だが、そもそもカジノの収益は主に客の負け分で成り立つ。カジノの収益増は周辺地域の商業の売り上げ減を招くとの指摘もある。成長戦略として筋が良くない。」


さて、注目すべきはカジノのない現在の神奈川県および横浜市の実際の社会環境であろう。神奈川県警が検挙した児童買春事件は、6年連続全国最多(読売新聞 2013年6月21日掲載)。



さらに、児童虐待相談対応件数は、平成25年度が3724件と政令都市でトップ。神奈川県を合計すると6670人。人口が優に多い東京都は5414人。つまり、全国トップレベルの児童虐待相談件数である。

http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11901000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Soumuka/0000053235.pdf


去年の沖縄タイムズは8月24日、ギャンブル依存による配偶者への暴力や児童虐待を言及しながら沖縄にカジノ誘致を懸念した社説をしっかりと展開している。


カジノ法案が出された今、カジノによって起こりうる悪影響の社会的コスト額を調査、算出し、ぜひとも発表してもらいたいものだ。


また、国際局のホームページに、平成17611日付で横浜市フランクフルト所長による「地域貢献するカジノ」の記事が掲載されているが、そもそも横浜市によるカジノ推進の発端がここにあったことを、今後、注目したいと思っている。

http://www.city.yokohama.lg.jp/kokusai/exchange/office/report.html