日本医療機能評価機構の存在意義(横浜市医療局の展望 その1) | 不可能をかのうにする かのう重雄 オフィシャルブログ「一つ、ひとつを重ねて」 Powered by Ameba

日本医療機能評価機構の存在意義(横浜市医療局の展望 その1)

日本医療機能評価機構の存在意義(横浜市医療局の展望 その1)



相次ぎ患者が死亡する医療事故が起きた群馬大学付属病院と東京女子医大病院について、厚生労働省が高度の医療を提供する病院として診療報酬が優遇される「特定機能病院」の承認を取り消すことが新聞各紙に報道された。


医療安全機能が適切に機能していないことがその取り消し相当と判断されたとあった。また、厚労省が特定機能病院の承認要件の見直しも行うとしていると言及してあった。

http://mainichi.jp/select/news/20150501k0000m040095000c.html


さて、今回、最も注目すべきことは両病院とも、医療安全と医療の質を評価する公益財団法人日本医療機能評価機構の認定病院であったことだ。日本医療機能評価機構の審査はただではない。かなりの高額であり、価格表も公表されている。


たとえば、500床以上の一般病院となれば、6名の審査員がたった2日間来るだけで250万円である。更新だの、再審査などがあると費用はどんどんかさむ仕組みになっている。

http://jcqhc.or.jp/works/examination/e4.html


今回の事案は、まさに日本医療機能評価機構の評価の質が問われる事態である。


今年、横浜市は平成17年に開設した病院経営局を廃止し、新たに横浜市医療局を開設した。病院経営局長が、そのまま医療局長に就任している。初代病院経営局長は日本医療機能評価機構の設立に貢献したと紹介された岩崎榮氏。


横浜市医療局病院経営本部のホームページに、日本医療機能評価機構の設立に関わり、病院機能評価システム構築に中心的役割を果たし、医療機関が提供する医療の質の向上に取り組んだと紹介されている。

http://www.city.yokohama.lg.jp/byoin/torikumi/koremade/kaikaku/160204.html


医師である岩崎榮局長は就任とともに、横浜市立脳血管医療センターの医療事故対応とセンターリハビリ化問題で、市民や患者団体と対立した。公人としての信頼性を問われるなどとして、日本医療機能評価機構理事長宛てに、「日本医療機能評価機構に対する岩崎榮理事の適格性検討の要請」として文書が提出されて、ネット上でも公開された。


一方、横浜市は横浜市立大学付属病院を筆頭に次々と市立病院に、日本医療機能評価機構の認定を受けさせた。


さらに、注目すべきは日本医療機能評価機構の役員メンバーに、横浜市立大学医学部で安全管理学教授であった橋本廸生氏の名前がある。橋本氏は横浜市大取り違え事件直後の平成12年に、国際医療福祉大学から横浜市立大学医学部に安全管理学の専門家として迎えられ、平成253月まで在職している。


ところが、氏の在職中も、また、退職直後にも横浜市大病院では医療安全機能が適切に機能しているとは言い難い不祥事や死亡事故が起き、大きく報道されている。


一つは平成22年、病院内の麻薬を不正に使用していたことで、麻酔科医と看護師が逮捕されている。1年間の間に流用した数が100本に上っている。薬剤在庫管理がずさんでなければ、気づくはずである。

http://ameblo.jp/shigeo-kanou/entry-10764933415.html


さらに、平成254月には栄養チューブに高濃度酢酸を入れ、壊死を伴う腸炎を引き起こし死亡させている。そもそも医療行為であったかも疑問視されている。

http://www.kanaloco.jp/sp/article/51418


平成19年、横浜市大病院で消毒液のはいっていない洗浄器で洗浄された内視鏡が患者さんに使われたという新聞報道を受けて、議会で質問したことがある。当時、病院長は消毒液を使わなくても、手洗いで99.99%の感染のおそれがなくなるから問題ないと主張した。


さらに看護部長は、自動洗浄器に入れる前に、内視鏡と大腸内視鏡が消毒液や殺菌剤のはいっていない状態で一緒につけこんであっても、胃も腸もつながった消化器であるから問題ないと言及したことで当時話題を呼んだ。


当然、安全対策上問題であるということで、他の市立病院が別々に洗浄していることを確認してから質問したわけだが。

http://giji.city.yokohama.lg.jp/kensaku/cgi-bin/WWWframeNittei.exe?USR=kanyoks&PWD=&A=frameNittei&XM=000100000000000&L=1&S=15&Y=%95%bd%90%ac19%94%4e&B=-1&T=0&T0=70&O=1&P1=&P2=%89%c1%94%5b%8f%64%97%59+&P3=&P=1&K=298&N=2402&W1=&W2=&W3=&W4=&DU=1&WDT=1


さらに、特定機能病院として、医療法に基づく厚労省による定期立ち入り検査において、市大二病院が過去3年間にわたり、安全対策委員会及び感染対策委員会委員の選任方法の見直し及び全員出席などについて 同じ指摘を受けながら、改善してこなかった風土を指摘したとき、金田副市長から以下のような回答があったことが印象的であった。


◎(金田副市長) 先生から今お話があった件でございますけれども、昨年度実施した日本医療機能評価機構における病院機能評価につきまして、職員一体となって取り組んでいるという評価もいただいておりますので・・・


9例の死亡事故を起こしている千葉県立がんセンターも、日本医療機能評価機構の認定病院である。高額な審査料を出して行われてきた日本医療機能評価機構の認定システム。この様な状況では、その意義も今後問われていくのでは。