横浜市の受動喫煙対策の実情2015 その1 | 不可能をかのうにする かのう重雄 オフィシャルブログ「一つ、ひとつを重ねて」 Powered by Ameba

横浜市の受動喫煙対策の実情2015 その1



201437日の神奈川新聞に横浜市が、横浜市庁舎内の建物内禁煙を実行すると報道された。一部の記事を抜粋して添付する。


市総務局によると現在、市庁舎内の1、4、6階と市会棟内の1、2階の計5カ所に空気清浄機や換気扇を備えた喫煙所がある。市は健康増進法や県受動喫煙防止条例などを踏まえ庁舎内分煙に取り組んできたが、ドアの開閉や喫煙者の衣服の残り香などから分煙には限界があると判断した。



市の産業医から受動喫煙対策や禁煙支援を一層推進するために、市庁舎の全面禁煙に向けた検討を行うように勧告されたこともあり、市庁舎、市会棟内での禁煙をきめた。まさに、渡辺巧教副市長の英断でもあったと思う。



2020年の東京オリンピックに向けて、本格的な受動喫煙対策の動きが東京都において、また国においても始まりつつあることが以下のように報道された。

http://ameblo.jp/shigeo-kanou/entry-11792150584.html


舛添要一都知事はこれまで「2020年を控え、本格的に受動喫煙の害を防ぐことは非常に重要。条例も選択肢の一つ」などと発言。

http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG29H52_Z21C14A0CC1000/


超党派の国会議員でつくる受動喫煙防止法を実現する議員連盟が10日に設立された。2020年の東京五輪を念頭に、今後3年以内に屋内の公共的な場所で禁煙もしくは完全分煙を義務づける罰則付きの法律の制定を目指す。http://www.asahi.com/articles/ASGCB5RWYGCBULBJ00Y.html


その中で、本市は、一歩先を歩き始めたことになる。

さて、職員向けの喫煙所は、市庁舎屋上に設置され、勤務時間内と限定された。勤務時間外となると、たばこの火の不始末などを含め、危機管理上大きな問題もある。


「今まで大丈夫だったから。今まで何も起きなかったから。」という発想で危機管理を行うことは意味がないことを、去年の台風18号の土砂崩れで、横浜市として十分認識できたはずである。



屋上の喫煙所の設置。それでも次のような問題がある。それは喫煙者と非喫煙者との間に生じる勤務従事時間の差という不公平である。


たとえば、屋上の喫煙所にゆくのに、エレベーターを使ったとしても、移動時間を含め喫煙して行って帰ってくるとなると、10分はかかるだろう。それが、16回ともなれば1時間である。


この問題は本市だけの問題ではない。人事・労務管理上、企業を含めた数々の組織の大きな問題であるだけに対策の実例集もある。

http://www.srup21.or.jp/room/print/advice83.html


一方、喫煙者も非喫煙者も給与体系には、現在のところ差はない。また、その給与は横浜市の場合、税金で支払われていることを忘れてはならない。


横浜市健康福祉局が共催している製薬会社のファイザーのホームページには、その損失した労働時間による賃金ロスを算出して掲載している。製造業の場合、一人あたり年間31万円(135分とした場合)にも昇るとしている。


たとえば、本市の職員の喫煙率が20%、職員数が約2万人とした場合、勤務中の喫煙時間のロスを賃金に換算した場合、124千万円にも昇ることになる。

http://www.city.yokohama.lg.jp/somu/org/romu/kyuuyo/2013.kyuuyo-teiin.pdf


さらに、企業の視点で、たばこを吸っている人を雇用した場合、医療費などを含めると年間55.3万円のコストがかかるという米国のシアトル大学が算出したデータもある。

http://www.kenpo.gr.jp/osaka/kakehasi/350/tabako.htm


職員の喫煙問題は、一方で財政的な問題を含んでいることを改めて認識した。







横浜市の受動喫煙対策の実情2015 その1