横浜市総務局コンプライアンス推進課の機能不全 | 不可能をかのうにする かのう重雄 オフィシャルブログ「一つ、ひとつを重ねて」 Powered by Ameba

横浜市総務局コンプライアンス推進課の機能不全

横浜市総務局コンプライアンス推進課の機能不全

(子宮頸がんワクチンの利益相反問題から)


厚労省が、全国の自治体に子宮頸がんワクチン接種勧奨中止を発信した後の11月、横浜市の子宮頸がんワクチン担当部署の最高責任者である健康安全課長が、製薬会社の共催する市民公開講座に参加した。


横浜市健康福祉局は、健康安全課長が「行政の立場から」という題目で発表することを許可したのみならず、課長自身の行動を横浜市議会(平成26年3月5日の予算委員会で自民党輿石議員らの質問)で疑問視されたが、事実上、兼務であると容認した経緯がある。

http://giji.city.yokohama.lg.jp/kensaku/cgi-bin/WWWframeNittei.exe?USR=kanyoks&PWD=&A=frameNittei&XM=000100000000000&L=1&S=15&Y=%95%bd%90%ac26%94%4e&B=-1&T=0&T0=70&O=1&P1=&P2=%97%60%90%ce%8a%8e%8e%71+&P3=&P=1&K=488&N=4116&W1=&W2=&W3=&W4=&DU=1&WDT=1

http://www.jagcs.org/pdf/citizen/lecture/jsgcs20131110.pdf




平成26年4月、横浜市では前年度の健康福祉局副局長が、総務局のコンプライアンス推進室の室長となった。この室長は、平成23年の1月に青葉区で起こった育児支援 放置問題で、議会や報道などから責任を追及指摘されたこども青少年局福祉部長(当時)でもある。


育児支援を放置された1歳半のこどもは医療機関で栄養失調が確認され、死亡している。


平成23年3月3日に開催されたこども青少年局の予算委員会で、鯉渕信也局長が、串田議員の質問に対しこの部長らの行為を謝罪している事実がある。以下、参照


◆(串田委員) いろいろお聞きしてまいりましたけれども、実は2月17日にこの件の経過について、私どもの井上委員と若林委員が担当課長に資料請求をした際に資料は不存在との回答でありました。この件は既に謝罪もいただいておりますけれども、このような対応は事実の隠ぺいととられても仕方がないと思います。その点については強く抗議をしたいと思います。この点について局長の見解を伺います。


◎(鯉渕こども青少年局長) その点につきましては大変申しわけなく思っております。担当の課長、部長からもおわび申し上げたかと思いますが私からもおわび申し上げます。まことに申しわけございませんでした。


◆(串田委員) 今回青葉区から提出されているこちらの資料を見ますと、関係機関であります警察への連絡をしていたかどうかという部分さえも個人情報として公にしていませんので問題部分がわからないままになっています。こども青少年局及び青葉区子育て支援課、福祉保健センター長は今の段階でも死亡日や死因等を明らかにしていませんが、結局その事実が報道されている今、何から何まで個人情報として公にしないということのあり方は考えなければならないと思います。個人情報が保護されるということにもちろん異論はありません。しかし、それを理由として行政の不都合な部分を隠ぺいすることになれば、ますます改善の機会は失われていくと思います。ー以下略

http://giji.city.yokohama.lg.jp/kensaku/cgi-bin/WWWframeNittei.exe?USR=kanyoks&PWD=&A=frameNittei&XM=000100000000000&L=1&S=15&Y=%95%bd%90%ac23%94%4e&B=-1&T=0&T0=70&O=1&P1=&P2=%8b%f8%93%63%8b%76%8e%71+&P3=&P=1&K=405&N=3352&W1=&W2=&W3=&W4=&DU=1&WDT=1


その直後、こども青少年局福祉部長の人事異動に疑問視して書いた私のブログを記載しておく。

http://ameblo.jp/shigeo-kanou/entry-10838529911.html


このような経緯をもった人物をコンプライアンス推進室のトップに添える人事は、”コンプライアンスとは単なる法令順守ではない”としてきた横浜市の「コンプライアンス」が、機能不全に陥るのではないかと危惧して、今年度の初頭にブログでも書いた。結局、危惧したとおりの事態が起こった。

http://ameblo.jp/shigeo-kanou/entry-11847740595.html


コンプライアンス推進室のホームページには、相変わらず、横浜市のコンプライアンスは単に法令を遵守するにとどまらず、市民や社会からの要請に全力で応えていくこと」と明記してある。

http://www.city.yokohama.lg.jp/somu/org/compliance/


その横浜市流コンプライアンスが生まれる発端となったのが、平成18年に起きた町田市長政治資金法違反事件である。そのとき、警察による事情聴取が多数の横浜市幹部職員に行われるという異常な事態が起こったことをよく記憶している。また、同事件を受けて、横浜市長側近2名を含む横浜市の幹部職員総勢88人の処分が下された。


さらに平成20年1月、横浜市は市民に信頼される誠実な行政運営の実現のため、行動基準まで作成した。通常、教育をきちんと受けてきた社会人にそんな行動基準は必要としない。当たり前のことだからである。


その大げさなパフォーマンスがなぜ、この横浜市役所に必要なのだろうか?それ自体が、すでに税金で生活を営む公務員の組織として大きな欠陥を抱えていることになる。


毎年、外部講師を招いて繰り返される横浜市職員のコンプライアンス研修。研修を続けてきた以上、実行し成果を見せるべきである。研修も市民の税金によって行われているのだから。


さて、横浜市のコンプライアンス外部評価委員の郷原信郎弁護士は、デイオパン問題を通して製薬会社と医師との利益相反を問題視していることで有名である。そのデイオパンの製造元のノバルテイスファーマ社を刑事告発したのは薬害オンブズマンパースン会議である。

http://www.yakugai.gr.jp/topics/topic.php?id=851


事実、東京地検はノバルテイスファーマの強制捜査を踏み切った。薬害オンブズマンパースン会議の代表は、鈴木利廣弁護士である。産婦人科医の不作為によって引き起こされた薬害肝炎訴訟を勝利に導いた著名な弁護士でもある。


薬害肝炎では公明党の坂口力副代表をはじめ、公明党は薬害肝炎被害者側に軸をおき、政府に働きかけた。


その薬害オンブズマンパースン会議から、公開質問状が今年6月に子宮頸がん征圧をめざす専門家会議に対して出された。

http://www.yakugai.gr.jp/topics/topic.php?id=872


公開質問状の内容だが、子宮頸がん征圧をめざす専門家会議は、2012年度に、ガーダシルを製造販売するMSD株式会社から2000万円、サーバリックスを製造販売するグラクソ・スミスクライン株式会社から1500万円という巨額の寄付金を受領している事実を言及。


さらに専門家団体として、学術的見地からHPVワクチンの必要性を訴え、早期承認や接種拡大を求める活動をしていた専門家会議が、当該ワクチンメーカーからの資金提供を受けていたとすれば、利益相反の観点から決して看過できないと言及。


2012年度に会議の委員に支払った金銭(報酬、執筆料、講演料、旅費交通費等名目を問わない)の費目及び金額を回答するように求めた。


特に委員の中で、宮城悦子氏は実名で挙げられている。これは、横浜市にとっても、横浜市立大学にとっても患者取り違え事件と抜擢、いやそれ以上の大きな問題である。つまり薬害オンブズマンパースン会議という弁護士を中心とした組織に本市のコンプライアンスが問われているのだから。


製薬会社と、横浜市立大学の医師であり、一教員の利益相反に関する疑惑に対し社会に誠意を示すことは、まさに横浜市が謳ってきたコンプライアンスを示すチャンスであったはずである。それが研修の成果というものだ。


ところが横浜市は、子宮頸がんワクチンの製造元である製薬会社あるいは、その製薬会社から多額の寄付金を得ている「子宮頸がん制圧をめざす専門家会議」から受けとった費用に対する情報公開請求を非開示としたことが、全国子宮頸がんワクチン被害者連絡会の方のTwitterで全国に発信されていた。これには驚いた。


横浜市立大学は単なる私立大学ではない。法人化した今でも、未だに莫大な予算が投入されている大学である。さらに、理事長は元横浜市の福祉局長、事務局長は元健康福祉局高齢健康福祉部長と本市のOBである。また、横浜市側の大学担当理事は元健康福祉局副局長・元横浜市立大学副局長。当然、コンプライアンス研修を受けているはずのメンバーである。特に事務局長は元瀬谷区長だけに残念だ。

http://www.yokohama-cu.ac.jp/univ/corp/chairman.html


一方、横浜市女性議員の会(超党派)では、この7月に、薬害オンブズマンパースン会議の水口真寿美弁護士を招き勉強会を開催。神奈川新聞等でも報道されている。

http://www.kanaloco.jp/article/74571/cms_id/91344


一体いつまで横浜市は、この大学の状況を放置しておくのだろうか?それだけではない。横浜市立大学医学部は、アルツハイマー病研究の論文ねつ造疑惑でも、今年の1月10日の朝日新聞に報道されていたことは記憶に新しい。

http://www.asahi.com/articles/ASG190H05G18UUPI003.html

http://ameblo.jp/shigeo-kanou/entry-11753755312.html


こうして横浜市は、子宮頸がんワクチン推進問題でも、全国から注目される一つの負の歴史を残してゆくつもりのようだ。結局、人事を含め、横浜市総務局の責任と横浜市OBの責任は極めて大きいと思う。