横浜市病院経営局の人事とその歴史(初代横浜市病院経営局長岩崎榮氏) | 不可能をかのうにする かのう重雄 オフィシャルブログ「一つ、ひとつを重ねて」 Powered by Ameba

横浜市病院経営局の人事とその歴史(初代横浜市病院経営局長岩崎榮氏)

横浜市病院経営局人事とその歴史(初代横浜市病院経営局長岩崎榮氏)



20121027日の週刊ダイヤモンドにも、経営感覚の欠如、そして高コスト体質が報道された横浜市病院経営局だが、その設立の経緯を検証することは、横浜市民のみならず、横浜市現幹部職員にとっても極めて重要なことだろう。


それは横浜市病院経営局という小さな組織が一体全体、誰のために病院事業を展開してきたかという根本的な問題を内在させているからだ。


平成1624日、病院経営局の前衛である横浜市衛生局は、病院事業管理者に岩崎榮氏(当時71際)を内定したという記者発表を行った。今から約10年以上前のことだ。氏は日本医療機能評価機構の設立にも関わった機構の理事としても紹介された。

http://www.city.yokohama.lg.jp/byoin/torikumi/koremade/kaikaku/160204.html


氏はそれまで、川崎市立病院経営健全化懇話会などの委員を歴任し、また川崎協同病院の気管チューブ抜管後の筋弛緩剤投与による医療事故の外部評価委員会の委員長でもあった。


したがって川崎市の医療に大きく関わってきた岩崎榮氏の横浜市への突然の転身に、非常に驚いたことを記憶している。また、川崎市立川崎病院の再整備を控えていた時期でもあっただけに非常に疑問に思った。(一方、川崎市は同時期に武弘道氏を病院管理事業者として迎え、川崎市立病院2病院の黒字化を達成させた。)


さらに病院経営局は7月に岩崎氏の既知である2人のスタッフを外部から登用し、その一人を市立病院経営改革推進担当部長に任命した。また、それ以前、岩崎榮氏は横浜市立脳血管医療センター基本構想検討委員会、港湾病院再整備基本構想検討委員会の委員として横浜市立病院の整備にも深く関わってきた。


その横浜市立脳血管医療センターは、市内の脳卒中患者さんを脳卒中急性期からリハビリまでを一貫して診る脳卒中センターとして320億の税金が投入され建設され、さらに現みなと赤十字病院となった新港湾病院も同様に567億円という莫大な税金が投入して建設された。


ところが、岩崎榮氏は横浜市衛生局参与に就任するやいなや、横浜市立脳血管医療センター基本構想の理念を、設立わずか5年で変更し始めた。



その一貫性のなさと、言及した内容と現実との乖離、また脳卒中急性期医療に対する知識不足は10年経過すると如実にわかるものだ。


平成17120日に行われた福祉衛生環境保全委員会の議事録がきわめて参考になる。

◆(手塚副委員長) きょうは岩崎参与が参加されていますのでお伺いしたいのですが、平成3年に友愛病院の基本構想の検討委員会の会長が岩崎さんだったのですが、その中で今の現状を考えたときに、65歳以上の42%が脳疾患があるということを踏まえて、当時の老朽化した老人リハビリテーション友愛病院を再整備するということでスタートしてきたわけですね。ー略ー


予防を含めて、発症から早期リハビリテーションを重点的に行うことを目的とするということがあったのですが、予防という観点はいかがだったのですか。


◎(渡辺衛生局長) 一般的な生活習慣病を含めて、保健政策の面で横浜市としては努力をしてきているところでございまして、脳血管医療センターについても生活習慣病に基づく疾患が多いわけでございます。基本的には今もそれなりに予防に取り組んでおりますけれども、それをより強化するという視点でございまして、では今現在取り組んで状況について病院長の方から報告させます。

(生活習慣病予防の市役所内全面禁煙が実現したのは、10年後の今年である!)


◎(山本脳血管医療センター長) 横浜市脳血管医療センターとしましては、まず予防ということについて市民講座をかなり行っております。 ー略ー


(現在、山本正博氏は交通局の産業医であるがその勤務時間の実態のなさを交通局審査の議会で指摘させて頂いた。インターネット録画参照)

http://gikaichukei.city.yokohama.lg.jp/?tpl=play_vod&inquiry_id=3881



◆(手塚副委員長) 今、脳血管医療センターの方はそういう形の中で予防を年2回やっているというお話があったのですが、この当時、予防を含めて再整備を進めたわけですが、平成3年当時の判断をされた脳血管のような病院が、専門的な病院にいいだろうと判断された状況をお聞かせいただけるとありがたいです。


◎(岩崎参与) その当時の日本の状況、それから、アメリカの文献等を十分参照して、その当時では、提言をいたしましたようなことがいいだろうということで、提言をさせていただきました。


◆(手塚副委員長) 今のお話を伺って、平成3年にそういう判断をされたのは非常に大きな判断だったのだろうなと私は思っているんです。一つ心配することは、先ほど救急は残す必要があるのだろうなというお話があったのですが、救急を残す必要があるというのはどの程度なのですか。


◎(岩崎参与) 先ほどの言葉をもう一度繰り返しますと、病院であるわけで、したがって病院ということからすると、一般の救急の患者さんも来られることは予測しております。そういう意味では、1次、2.5次の程度までの救急に対応というのは、当然病院として置いておく必要があるだろう。ただ、脳血管に特定した、今やっている脳血管医療センターのような機能は、市民病院へ移行したいと考えております。(現在の市民病院は同様の機能を持っていない。)



ただ、救急車等に関しては、救急車との連携を十分考えながら、救急車では運ばないでほしいという要請はする必要があるのかなと考えております。患者さんの意志を無視した考え方)しかし、一般の患者さん、近所の患者さんが来られる可能性はあるのではないかと思います。


そういうときには、その容態、状態に応じて適切な医療機関と連携をしていくという考え方でございます。(現在の横浜市救急はMRI24時間稼働していないリハビリ施設を有していない民間病院に最も多く脳卒中患者さんを搬送している。)


◆(手塚副委員長) 今まで専門的な病院はそれなりの機能を果たしてきたと思っていて、専門の病院はある面では採算性が合わないという部分があるのですが、しかしながら、意味というのは私は大変大きいのではないかと思っているんです。


その中で、今後、脳卒中、脳梗塞にかかわる医療が大きく変わってきているということで、市民病院の中に岩崎参与が言われたみたいなものが移った場合に、本当の専門的な機能が生かされてくるのか心配しているのですが、その点についてはいかがでしょうか。


◎(岩崎参与) 私の考えではその方がより現在よりも質が高まるし、しかも安全管理が保持できると考えております。(横浜市脳血管疾患救急医療体制の治療実績の公表がこの言及を否定する根拠となった。)



◆(手塚副委員長) これから厚生労働省の方でも心筋梗塞などの発作に有効なTPAが解禁になるという話を聞いているのですが、そこら辺はどういう方向性になっているのか伺いしたい。議事録上、tPATPAと表現。その間違いすら訂正できない病院経営局の当時の素人ぶりがよくわかる。)


◎(岩崎参与)現在はTPAによる治療は保険点数で認められておりませんが、恐らく将来的には認められる可能性があると思っております。


そうなりますと、ますます一般的な医療として、それがほかの病院でも行われる可能性は大変高いわけでございまして、そういうところと一層の連携を深めながら、連携の中で市民病院がやっていくことになると思います。


したがって、特化している部分も一般化、普遍化していく可能性が高いと申し上げておきたいと思います。

(平成252月、横浜市脳血管疾患救急医療体制の治療実績の公表を踏まえ脳卒中から助かる会が横浜市に要望書提出。病院格差を指摘し朝日新聞にも報道された。http://nosottyu-tasukarukai.com/


平成174月、岩崎榮氏は初代横浜市病院経営局長に就任。しかし、就任して2年も経過しない平成1810月、岩崎榮氏は突然退任した。


そして、外部から登用した市立病院経営改革推進担当部長も、忽然と議会で姿を見せなくなった。


その後、岩崎榮氏は新医師臨床研修評価に関する研究会を設立などして、活躍されているようだが・・・。