横浜市病院経営局の驚くべき手法 | 不可能をかのうにする かのう重雄 オフィシャルブログ「一つ、ひとつを重ねて」 Powered by Ameba

横浜市病院経営局の驚くべき手法


横浜市病院経営局の驚くべき手法



20121027日の週刊ダイヤモンドに、病床利用率の低さ(653%)と経営感覚の欠如、そして高コスト体質で報道された横浜市立脳血管医療センター。

http://www.izai.net/2012/10/post-362.html



横浜市監査事務局の内部監査においても、去年度に赤字経営が問題視され報告されていた横浜市病院経営局・横浜市立脳血管医療センターだが、その名称変更の部会がたちあげられ議論が開始されていた。


病院経営局のホームページから検索すれば第2回のお知らせはあるものの、記者発表すらされていない上に、委員名簿すら公表されていない。

http://www.city.yokohama.lg.jp/byoin/news/

http://www.city.yokohama.lg.jp/byoin/kisya/h25/



横浜市立脳血管医療センターは、市立病院であり過去の記録を勝手に消滅させることなどできない施設のはずだが、そのホームページには年報が平成19年度からしか掲載されていない。


平成11年度から平成16年度までの脳血管医療センターの膨大な業績の歴史を掲載しないのは行政機関として尋常とは思えない。

http://www.city.yokohama.lg.jp/byoin/nou/about/



まあ、この不自然さは、病院経営局の体質を評価し理解するうえで多くの人々の参考になるいわばエビデンスである。


さて、センターに医師が集まらないのは「脳卒中から助かる会」などの患者団体が騒ぐせいだと患者団体の代表に明言した城博俊病院経営局長の下で、脳血管医療センターの名称変更の議論が始まった。


患者さんをクレーマーにしたてあげるというのも、医療者たちの一つの手法として昨今問題となっているようだが、それと非常によく酷似していると思った。しかし、横浜市は都筑区の山口病院の漢方ステロイドの問題が患者さんたちのクレームで発覚したことを忘れてはならない。


脳卒中から助かる会のホームページには、病院経営局と違って平成11年から平成16年度の横浜市立脳血管医療センターの脳卒中診療部の業績の歴史が記載してある。


ところで名称を変更することで病院経営局はいったい何をしたいのだろう?そもそも脳血管医療センター設立の主旨は市内で増加する脳卒中で寝たきりとなる患者さんの予防と治療ための政策医療であったはずだ。


あれから15年。横浜市の介護保険給付額は年々確実に増加。平成12年から1400億円以上の増額となっているからすごい。要介護を占める疾患の多くが脳卒中であることは、国の政策でも指摘されている。


15年前よりさらに深刻な状況となっているにも関わらず、先見性に富んだ脳卒中政策医療を自ら放棄するのだろうか。


300床でオープンしても病床利用率の高かった平成16年以前の脳血管医療センターの年報を掲載しない理由はなぜだろうか?なぜ300床を250床にしても全国レベルで話題となる病床利用率の低さを示す原因は何なのか?病院経営局自身はどのように分析したのだろう?


医師の人事権と予算の権限を握っている横浜市公務員幹部の責任が大いにあったはずだが、自らの検証がまったくみえてこない。いったい全体この10年間、何回検討委員会を行えばよいのだろうか?


検討委員会を何度も行ったからといって、病床利用率も高くはならないし、赤字もよくならないし、tPAの治療実績が上昇するわけでもない。病院がどんなに赤字になろうとも、公務員である限り、医療職も含め赤字はすべて市民の税金で補てんされる。給与は安定している。


したがって経営者も職員も危機感が生まれようがない。ある種、公立病院の特徴ではあるが、脳血管医療センターの人件費率が95%と極めて高率であることが全国レベルで問題となっていることをみると、かなり問題なのだろう。


果たしてセンター内のどれだけの職員が病院が繁盛していないという外部からの評価を認識してきたのであろうか?


2011年開催の脳卒中政策フォーラムでは与野党の国会議員の前で、カナダオンタリオ州の脳卒中戦略策定の結果、地域脳卒中センターを中心に地域の病院、在宅医療、プライマリーケア間のネットワーク構築がなされ、救急体制向上、再入院率低下等の効果があったことが報告された。

https://www.hgpi.org/report_events.html?article=142



脳血管医療センターも、カナダのように地域の中心的脳卒中センターとして活躍するはずだった。この先進的だった構図を設立たった5年半で壊したのが病院経営局であり、その医療政策能力が問われる現実である。まさに時代と逆行した。病院経営局が質の高い脳卒中センターの設立の失敗という歴史を示したのだ。


さらに病院経営局は、赤字なのに、莫大な税金を投入し、320億円をかけて脳卒中センターとして作られたセンターの内部構造まで変えてしまった。やりたい放題である。そして、次なるが名称変更である。


病院経営局は名称変更に5月1日からアンケートを計画している。いわゆるパブリッコメントという形をとるようだ。横浜市のパブリックコメントはいつもそうだが、期間が極めて短い上に、広報も熱心ではない。本当の意味で市民の声を反映させようとするものではないと思われてもしかたがないことが多々ある。


単なるアリバイづくりであるという意見もよく聞く。さらに意見の結果公表の仕方もきわめて簡潔で、詳細なものはない。都合のよい抽出操作と思われても仕方がないやり方である。


案の定、今回のアンケート期間もたった3週間である。この15年の横浜市立脳血管医療センターの歴史を、名称を変えるだけでそう簡単に変えることなどできないことを横浜市病院経営局は認識すべきであろう。

















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