横浜市健康福祉局のコンプライアンス（製薬会社との関係）2013

横浜市健康福祉局のコンプライアンス（製薬会社との関係）２０１３

11月1日、ノバルテイスファーマという製薬会社が、降圧剤デイオパンの臨床試験疑惑で刑事告発された。薬事法違反（誇大広告）と不正競争防止法違反（誤認させるような虚偽表示）の容疑で東京地検に告発状が出された。

http://mainichi.jp/select/news/m20131102k0000m040075000c.html

横浜市のコンプライアンスの外部評価委員の郷原信郎弁護士も、このデイオパン問題に対しては、刑事告発も視野にいれる必要があると、8月に毎日新聞紙上で言及していた。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130810ddm003040115000c.html

今や、医学部大学教授らと製薬会社との関係が大きな社会問題となっている。

このような社会状況の中で、横浜市健康福祉局が行ってきた子宮頸がんワクチン推進事業は、行政機関としての中立性を問われている。

さて、横浜市には元中田宏市長時代から始まった共創プロジェクトがある。公と民が連携して、行政だけでは対応が難しい地域ニーズや地域の課題に対応するという主旨が掲げられているが、よほど慎重な連携でなければ、特定の企業の利益誘導になりかねない危険性がはらんでいることを、横浜市政策局は認識していたのだろうか？

横浜市健康福祉局は、子宮頸がんワクチンサーバリックスの販売元であるグラクソスミスクライン社と共催で、子宮頸がん接種向上の市民公開講座を大々的に展開してきた。まさに、それは共創だった。

http://www.hiyoshi-medical.com/pdf/2010_1009.pdf

青葉区、緑区役所など、多くの副作用が厚生労働省に報告されるようになってきた平成24年度になっても、市民に広報して、子宮頸がんワクチン接種向上を推進していた。

講師も、子宮頸がんワクチンの製造元であるグラクソスミスクライン社とメルク社から数千万円の寄付をもらっている子宮頸がん制圧をめざす専門家会議のメンバーである横浜市大准教授の宮城悦子医師であった。

http://www.city.yokohama.lg.jp/aoba/70guide/201209-5.html

http://www.city.yokohama.lg.jp/midori/20mokuteki/25iryou/sikyukeigankouenkai.html

宮城悦子医師は、「子宮頸がんワクチンで子宮頸がんは予防できる。」「重篤な副作用はほとんどない。」と、我々、横浜市会議員にも説明した事実がある。これは、ワクチンの有効性を誇大に説明したことにはならないのだろうか？

そして、推進するときは非常に熱心だった横浜市健康福祉局は、重篤な副反応の被害者の方に対しては、極めて対応が遅かった。

共創という概念のもとに、横浜市旭区役所は、平成22年3月に、認知症の薬剤であるアリセプトの製造元であるエーザイ株式会社と協定を結んだ。

http://www.city.yokohama.lg.jp/asahi/madoguchi/koreisyougai/ninchisyo-machidukuri.html

さらに、エーザイ株式会社との協定は、平成25年8月、横浜市健康福祉局との協定に発展した。

http://www.city.yokohama.jp/ne/news/press/201308/images/phpew5Y3F.pdf

そして、10月、横浜市健康福祉局は禁煙の飲み薬であるチャンピックスの製造元であるファイザー株式会社と協定を締結して、“自治体では初めて”と発表している。

http://www.city.yokohama.lg.jp/kenko/kinen/1023kishahappyou.pdf

一方、横浜市は他の自治体が実行できた敷地内全面禁煙どころか、市庁舎の建物内禁煙すら実行できない自治体である。「百万人の健康づくり」というキャッチフレーズはよいが、実際、結果を出せる政策でなければ、税金を投入する意味などない。

次々と横浜市健康福祉局で展開されてきた製薬会社との共催や協定。子宮頸がんワクチンの問題をひとつとってみても、ひとたび事が起これば、誠意ある対応を即座にとれなかった健康福祉局の事例を参考に、中田市長時代か始まった横浜市の共創のありかたを再度、考えるべきだと思う。