横浜市医療政策室と病院経営局2013  | 不可能をかのうにする かのう重雄 オフィシャルブログ「一つ、ひとつを重ねて」 Powered by Ameba

横浜市医療政策室と病院経営局2013 

横浜市医療政策室と病院経営局2013 

横浜市の脳卒中対策 その4



平成21年6月7日の読売新聞の “病院の実力” に、脳卒中(神奈川編)が掲載されている。「発症から3時間以内が勝負 !」のtPA治療が紹介されている。そのときに、コメントしているのが山本勇夫横浜市立脳血管医療センター長である。


認可前、tPAの治験に参加したのはあくまでも横浜市立脳血管医療センターの神経内科医師達であり、脳外科医である山本勇夫氏ではない。さらに脳卒中の専門家らによると、tPA治療に関して山本勇夫氏は、全くの専門外であると聞いていただけにこのコメントには当時、非常に驚いた。


平成21年当時、tPAの臨床治験に実際に参加した主たるメンバー全員が脳血管医療センターから去っていた。本来ならtPA治療を紹介すべき人は、元脳血管医療センターの副センター長であり、神経内科部長であった畑隆志医師であったはずだ。


実際に治療を行ってきた医師が発信してこそ、より具体的で言葉に重みが出てくるというものだ。専門外であるならば、通常、取材をお断りするのが筋であろうに。山本勇夫センター長になってから、横浜市立脳血管医療センターの脳卒中救急医療の衰退ぶりは、数字で明確に示すことができる。それは、別の機会に詳細に言及しようと思う。


さて、この新聞で山本勇夫氏が発信していたのが、「FAST」というフレーズ。今年5月に報道されていたNHKのためしてガッテンでも、「FAST」というフレーズが説明されていた。

http://www9.nhk.or.jp/gatten/archives/P20130522.html


「脳梗塞になると顔がしびれ(Face)、腕(Arm)に力がはいらず、発語(Speech)でも、ろれつが回らなくなる。この3つの症状のうちひとつでも出ていたら、時間(Time)をおかずに救急車を読んで欲しい。


3時間以内にtPA治療が投与されれば有効だが、投与法を誤ると、脳出血の危険性を伴う。そのため、迅速に診断・治療ができる体制整備の確立が求められる。」と言及していた。


そんなことを公言しておきながら、横浜市立脳血管医療センターはtPA治療によって起こる脳出血の頻度を公表していない。センター設立には320億の横浜市民の税金が投入された。だから、設備面は申し分ない。


さて、横浜市立脳血管医療センターの平成22年度下半期と平成23年度のtPA治療の実績だがここに示したいと思う。脳梗塞の約26%はtPA治療を行わなくても、自然によくなると言われている。一般市民はこのことを知ってtPA治療の実績を判断しなければならない。


平成22年度下半期はtPA治療施行数10例。治療効果が認められたのが、40%。死亡0。tPA治療効果が出て、まずまずの成績である。ところが、平成23年度の治療成績をみると、驚いたことにtPA治療を使用しない自然経過よりも悪い。


施行数19例。治療効果が認められたのが、21%。死亡1例であった。症例数が多いにも関わらず、下がる治療実績。私たちが訪問させて頂いた時の聖マリアンナ医科大学の神経内科長谷川泰宏教授の言葉を思いだす。「tPA治療に慣れるまで、病院ごとの治療成績公表は無理」と言及されたわけだが。慣れても実績が下がっているこの事実をどう説明するのだろうか?

http://ameblo.jp/shigeo-kanou/day-20101212.html


今年2月14日、脳卒中の患者さんや家族からなる脳卒中から助かる会は、横浜市が公表した治療実績を分析し、横浜市の脳血管疾患救急医療体制の問題点を指摘し記者会見を行った。また、体制の改善を求める要望書を林市長宛てに提出した。患者の命にも関わる緊急に対応すべき重要な案件である。


翌日、「脳卒中になって、どの病院に救急搬送されるかで、患者にとって運命が分かれる」という主旨で朝日新聞神奈川県版に報道された。

http://www.asahi.com/area/kanagawa/articles/TKY201302140503.html

ある意味、神奈川県民に対する大きな注意喚起となった。


一方、病院の治療実績に大きな格差がある中で、横浜市医療政策室は現在、3時間以内で行われたtPA治療実績でも良くない病院があるにも関わらず、tPA治療可能時間を4時間半まで延長した。これで、さらに症例数は増加する。tPA治療は高額医療であることを、横浜市民は認識しなければならない。

http://www.city.yokohama.lg.jp/kenko/iryo-seisaku/teikyotaisei/nou03-taisei.html


国立循環器病センターのホームページを参考に読めば、tPA治療に課題があることはよくわかる。横浜市医療政策室が作成している脳血管疾患救急医療体制のホームページとは比較にもならない。医療政策室には、医師が配置されているわけだが、その存在意義が問われる状況にある。

http://www.ncvc.go.jp/cvdinfo/pamphlet/brain/pamph63.html


さらに、3月16日には横浜市病院経営局、健康福祉局医療政策室、横浜市消防局救急課が主催とする横浜市脳卒中市民啓発キャンペーン市民講演会、「FAST 脳卒中に負けないために」を行っている。


おまけに、自然経過より悪いtPA治療結果を示した横浜市立脳血管医療センターのセンタ―長、山本勇夫氏を講師としている。さらに、その講演会には林文子市長が出席し、挨拶まで行っている。少なくとも、林市長は、日本脳卒中協会の理事としての活躍中のメンバーもいる患者団体の要望を無視した形をとったことになる。


病院の治療実績を頓着することなく、継続される横浜市の脳血管疾患救急医療体制。「横浜市は、一貫して市民のためではなく、病院のための医療政策を行っている!との声を聞くが、納得してしまう話だ。行政組織としてのモラルが問われる問題であることを、気づかなければいけない。


不可能をかのうにする かのう重雄 オフィシャルブログ「一つ、ひとつを重ねて」 Powered by Ameba

不可能をかのうにする かのう重雄 オフィシャルブログ「一つ、ひとつを重ねて」 Powered by Ameba