横浜市のがん対策 その4 | 不可能をかのうにする かのう重雄 オフィシャルブログ「一つ、ひとつを重ねて」 Powered by Ameba

横浜市のがん対策 その4

横浜市のがん対策 その4

健康福祉局担当部長 木村博和医師の講義から 




平成24年に示された国のがん対策推進基本計画の中で、がん医療や支援について地域格差や施設間格差がみられ、状況に応じた適切ながん医療や支援を受けられないことが懸念されているとある。


誰もが「優れた実績を持つ医療機関」にかかりたい。がん検診でがんを早期発見できたとしても、治療の質が悪かったらもともこもない。あくまでもがん患者を含めた国民の視点に立ったがん対策を行うことが行政の責務であるはずだ。



平成19年10月、地域のがん治療の中核病院が加盟する全国がん協議会が、がん治療の成績を病院ごとに初めて公表し、新聞各社が大きく報道した。神奈川県では、唯一神奈川県立がんセンターだけが実績を公表していた。


公表の目的は、患者が最も知りたい情報の公開にとどまらず、がん治療の水準をあげる貴重なデータだと注目された。その後、厚生労働省は誰もがどこでも標準的ながん医療を受けることができるよう目標をたてた。


6年を経過した現在、中でも大阪府の取り組みはすごい。大阪府民が安心かつ適切ながん医療を選択することを目的としていると明記してある。

http://www.mc.pref.osaka.jp/ocr/treatment/treatment2.html


さらに、各施設の治療数と5年相対生存率等の実績を公表している。

http://www.mc.pref.osaka.jp/ocr/images/treatment/image0011.pdf

大阪府は「安心」という言葉を、安易には使用していない。


5月にがん撲滅横浜市会議員連盟が視察に訪れた名古屋市においても、地域がん診療連携拠点病院等の治療実績の公表を行う方針を聞かせていただいた。治療の質は非常に重要である。


横浜市にも、大きな予算を投入している横浜市立大学付属病院、横浜市立市民病院、横浜労災病院などの地域がん診療連携拠点病院がある。


先日の研修会で木村医師に、「横浜市の地域がん診療連携拠点病院の “治療実績の公表“ はどうなっていますか?」と、質問させて頂いたが「わかりません!」の一言で終わった。


がん検診の受診は勧めるが、がん発見後の治療成績に興味がないのか?とても患者中心の医療を考えているとは言い難い回答に思えた。


さて、健康福祉局に対してのこの質問は2度目である。平成22年10月6日の健康福祉局の決算委員会でも同様の質問を行った。議事録から示すが。


◆(加納委員)・・・がんが発見された場合、よりよい治療を受けたいと患者さんは当然思います。各病院の患者の生存率はがん診療の実力をあらわす参考データとなり、患者さんが医療機関を選ぶ参考となります。神奈川県立がんセンターは平成19 年に各がんの種類ごとに5年生存率を公表しています。そこで、横浜市のがん診療連携拠点病院はどこか、また、この各病院は5年生存率を公表しているのか、お伺いいたします。


◎(立花健康福祉局長) 横浜市内のがん診療連携拠点病院は、都道府県がん診療連携拠点病院としまして県立がんセンター、地域がん診療連携拠点病院として3つございまして、横浜市立市民病院、横浜労災病院、横浜市立大学の附属病院の3つが指定をされております。各病院とも病院としての5年生存率は公表しておりません。


◆(加納委員) 実は平成22 年6月の厚生労働省のがん対策推進基本計画の中間報告書でも、がん診療連携拠点病院の5年生存率などは公表すべきだと指摘されているのです。そこで、がん診療連携拠点病院の責務として、私は厚生労働省の御指摘のとおり公表すべきと思いますが、副市長の御見解をお伺いいたします。


◎(大場副市長) 地域がん診療連携拠点病院については、現段階では個々の病院が生存率等の情報を公表することは要件とされていないために、公表の有無については、基本的には各病院の判断ということになっております。


今、先生からいろいろとお話をいただきましたが、患者さん中心の医療を実現していくためには、病院の治療実績などの情報提供を推進することは重要な要素であると考えております。今後の検討が必要であると考えております。


あれから、2年以上経過したが、地域がん診療連携拠点病院の治療実績公表はがん検診担当の医務担当部長が「知らない!」と言われてしまうほど、横浜市の医療政策にとっては重要なことではないことがわかった。


横浜市の議会の場で、「検討する」という行政側の答弁は、「実行する」ために前向きな「検討」という意味ではない。ある種、方便のようなものであることの良い実例であった。


患者側に視点を置いた医療政策を行う医師が、しかるべきところに配置されている大阪府や名古屋市の市民が本当にうらやましいと思った。



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