横浜市の危機管理

横浜市の危機管理

横浜市の驚くべき人事の惨憺たる結果　２０１３から

清閑な都市であったボストンで爆発事件は起きた。想像もしなかった痛ましい事件である。国際情勢が複雑化する現在、危機を想定することは非常に難しいはずだ。従って、6月のアフリカ開発会議開催を安易に考えてはいけない。

4月9日、横浜市は「アフリカ開発会議に向け警戒を強化します。」と記者発表をしている。

http://www.city.yokohama.jp/ne/news/press/201304/20130409-023-16475.html

その翌日である。横浜市危機管理室からの北朝鮮のミサイル発射の誤送信が起きたのは。人間は誰もがミスをする。しかし、問題はミスした後の対処方法であろう。事実を正確に把握し、検証し次につなげる。そこには過大評価も過小評価もあってはならない。危機管理の基本である。

ところが、報道の気になる記載があった。

http://www.yomiuri.co.jp/net/news1/national/20130410-OYT1T00686.htm

「職員が準備していた例文が、何らかの理由で発信されてしまったという。」「（例文を準備していた職員が）別の業務で1－2分席を離れ、戻ると発信されていた。」果たして、ツイッターは、操作なしで発信されるものだろうか？

この責任を曖昧にした言い訳が国際社会において、常識的に考えた時、通用するわけがない。横浜市危機管理監を初め、その幹部の無責任体質は非常に危うい。

一方、13日、国土交通省大阪航空局の職員が、同様に北朝鮮からのミサイル発射の誤送信した問題を受け、菅官房長官は国交省幹部の処分を検討する考えを示している。横浜市の対応と比較すると、なんという大きな違いだろうか。本当に恥ずかしいかぎりだ。なぜこのような恥ずかしい対応しかできないのだろうか？

それの根本は横浜市の人事の問題だろう。以前から何度も人事は組織の心臓部であり、林市政の成否に関わると危惧していると発信してきた。特に、退職後の健康福祉局長の危機管理監就任に関しては新聞にも報道された。その通常でない人事を指摘されたとき、林市長ご自身が市長会見においてどう回答されたかを、思いだしていただきたいと思う。

http://www.city.yokohama.lg.jp/ex/mayor/interview/2012/120404.html

記者：人事に関する件ですが、健康福祉局長だった立花さんを再任用して、危機管理監にされた意図は何だったのでしょうか。

市長：（東京大学地震研究所の試算では、）首都直下地震が４年以内に起きるのではないかという危機的な状況の中で、防災と減災は（重要であり）、予断を許しません。そういった意味で、今まで（危機管理監は）消防局長と兼任でしたが、専属で立花氏を配置しました。

私も横浜市災害対策本部長となりますので、そういった時にサポートしてもらいたいということと、健康福祉局での大変素晴らしい実行力、それと繊細なといいますか、細部にわたって気を使いながら仕事ができる、現場主義だということです。

いろいろな意味で大変才能がある人であり、このポストについては、何よりも優先的に我々がやっていかなくてはいけないことなので、任命させていただきました。

記者：去年、定年延長をしたうえで、更に再任用してというのは、他に人材がいないのかという感じもするのですが、その辺いかがでしょうか。

市長：他に人材がいないということよりも、私は経営者を１３年やっていましたが、こういった人事というのは全ての経営だったり施策実現の要諦になります。全体の中で見ているということです。（人材が）いないとかそういった問題ではなく、全体のバランスの中で、一番良い適材適所で発揮できる方を置いているということです。

ある意味、バランスの欠いたともいえる誉めようである。現在の横浜市の弛緩した危機管理体制の一番の責任は一体誰にあるのか？　それは、林市長ご自身が行った驚くべき人事が、引き起こした結果だと私は思う。

また、一方で監視する立場にあった横浜市議会もその人事を容認してきたのだから、国際社会から失笑されても仕方がない。

鳥インフルエンザ、そしてアフリカ開発会議開催と、冷静な危機想定が必要とされる2013年の林市政。横浜市の人事 ― 人命をも左右するものだということを多くの横浜市民が知るべき今後の課題である。