横浜市立脳血管医療センター | 不可能をかのうにする かのう重雄 オフィシャルブログ「一つ、ひとつを重ねて」 Powered by Ameba

横浜市立脳血管医療センター

神奈川新聞の矛盾―横浜市立脳血管医療センター


失われたジャーナリズムの重要な役割?


37日の神奈川新聞に、横浜市立脳血管医療センターの講演内容のお知らせが掲載されていた。以下に一部を引用する。


17日、脳卒中という病気への関心を高めてもらおうと、講演会「脳卒中に負けないために」を横浜市中区住吉町の関内ホールで開催する。


講演会は2部構成。 同センターによると、脳卒中は脳の血管が詰まったり、破れたりして細胞が死んでしまう病気で、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血などがある。


がん、心臓病に次いで3番目に多い日本人の死因とされている。第1部ではセンター長で脳神経外科医の山本勇夫さん「元気に年をとりましょう」をテーマに、脳卒中の予防方法と最新治療を紹介。とあった。


単純な広報記事ではあるが、以前の横浜市大脳外科医師たちによる横浜市立脳血管医療センターの内視鏡医療事故の神奈川新聞の連載報道を知っているだけに非常に違和感を覚えた。



執刀医達は院内の倫理委員会に新しい手術方法(内視鏡手術)を行うことを通さず、また、未経験のまま手術を行い、50歳女性に重度の障害を引き起こした。



つまり、横浜市大脳外科医たちによる病院内のルールを無視した暴走行為として断じられたのだ。



平成16年528日、神奈川新聞による連続報道は始まった。紙面は大きく、写真もふんだんに使われていた。



“内視鏡経験 実質ゼロ“ “隠したがる致命的な体質” ”情報漏えい者には刑事告発“ ”市衛生局の責任も重大だ“ ”メスをいれるべきは衛生局“ といつも見出しは非常なインパクトがあった。そして、その詳細な取材力には度肝をぬいた。



さらに、病院が隠蔽したというより、衛生局という横浜市行政が介入し隠蔽したのだという本質を尽き、内部告発者の異動を試みたり、犯人探しを執拗に行っていると発信し、衛生局の不正を指摘した。



市議会の衛生局への隠蔽体質追及も、神奈川新聞によって大きく報道された。



山本勇夫センター長こそが、当時、横浜市大脳外科教授であり、その医師たち4名全員を医局人事で脳血管医療センターに送った指導者でもある。



平成1734日の予算特別委員会で、自民党畑野鎮雄議員が、センターの医療過誤問題を例に、市大医局に対する不信感を指摘した。



平成208月、横浜市大に起きた学位審査謝礼金問題で処分されているにも関わらず、山本勇夫氏は、横浜市立脳血管医療センター長に就任した。その就任に対しても議会で批判され、報道された。



平成223月、内視鏡事故の裁判は和解で終わった。驚いたことに、311日の東京新聞の記事には、その後、脳血管医療センター長となった山本勇夫氏が、センターを転院するために去る患者さんを見送ることもなかったと書かれていた。信頼される医師としての姿勢が全く見えない。


ひとつの事象は連続していて、原因と結果がある。時間が経過したからといって、その本質は変わらないであろうに。


8年前の先輩記者たちの患者側に軸足を置き続けた報道の歴史を全く忘れたかのような、一貫性のない矛盾した今回の宣伝記事には、本当にがっかりした。



ジャーナリズムの重要な役割の一つは権力のチェックである。報道機関は消費者や納税者の立場から問題意識をもち、取材されるよう期待されている。



横浜市役所はまさに権力をもつ監視すべき対象である。権力側からの発表をそのまま伝える発表ジャーナリズムは本来の姿ではないだろうに。




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