横浜市のコンプライアンスと人事 | 不可能をかのうにする かのう重雄 オフィシャルブログ「一つ、ひとつを重ねて」 Powered by Ameba

横浜市のコンプライアンスと人事

議会前の風景とその後―総務局 その4

横浜市のコンプライアンスと人事②

青葉区役所とこども青少年局のコンプライアンス




浜松市から育児支援の引き継ぎがあった母子が横浜市青葉区に転入してきたのはちょうど1年前の12月。母子は1220日、青葉区の福祉保健センターに訪れている。ソーシャルワーカーが “気になるケース” と記録を残し、保健師に引き継いだ。しかし、その後約一カ月青葉区は連絡をとらないまま、1歳のこどもは死亡した。司法解剖の結果、死因は “乳幼児突然死症候群” と診断された。




今年3月のこども青少年局の局別審査では、無所属クラブ(現在みんなの党)(中区)串田議員、共産党(港南区)関議員、自民党(青葉区)横山議員、民主クラブ(青葉区)菅野議員とそして、私と多くの会派が、この青葉区育児支援放置問題の質問をした。その時、自民党横山正人議員は、 “警察の判断を聞いて思考が停止している。検証は今からでも遅くない” と指摘している。




局別審査へ向けての3月の議会対応の中で、こども青少年局と青葉区の責任職である事務職も、そして、現在のこども青少年局こども保健医務監である医師の福祉保健センター長(当時)も個人情報保護法をふりかざし、資料を黒塗りして、 “知らない。” から始まり、 “言えない。” と言い張った。



青葉区役所は、こどもの死亡を確認した医師が、 “こどもが低栄養状態であった。” 見解を示していたことを議会前には一切公表しなかったのだ。勿論、公表しないという意志決定の最高責任者は青葉区長である。




個人情報保護生命に危機が及ぶ場合、あるいは公衆衛生上の緊急事態の場合には例外規定がある。議員に提出された黒塗りの資料。何のために黒塗りにしたのだろうか。串田議員が “隠ぺい” と言ったのも無理はない。未だに釈然としないまま1年が経過した。何か大きな事実経過を隠しているように思う。




こども青少年局は、その後育児支援マニュアルを改訂した。そして、医療機関で子ども虐待を見逃さないためのガイドを作成し、医療機関への配布を行っている。公明新聞にも報道された。




医療機関で子ども虐待を見逃さないためのガイドを開くと右ページに、 “子ども虐待の重症度判定の目安” の表が載っている。最重度ネグレクトの項目に脱水症状と低栄養で衰弱と書いてあった。青葉区の事例、“低栄養状態”-それは重要な虐待のサインであったはずだ。




しかし、現こども医務監は個人情報をたてに口を閉ざしたのだ。低栄養であったと搬送先の病院で言われた、こどもが、 “乳幼児突然死症候群” と診断された不自然さ。医師であるならば、どう行動すべきであったのだろう。




育児支援マニュアルの改訂とこのガイドを配布する前に、やるべきことがあるはずである。それは、こどもの死に対する正確な検証であろう。それは、当時の責任者たちが自らを反省し、正直に検証しなければ何の意味がない。




さて、今年度のこども青少年局の人事異動には本当に驚いた。青葉区の事例について、議員に対する嘘の説明を行った事実上の責任者は、こども青少年局こども福祉保健部長であった。未だ解決をしていない中で、命に関わる健康福祉局企画へと異動した。・・次の議会で直接問われることはない。




そして、議会でその姿勢を問われた医師である青葉区の福祉保健センター長が、こども青少年局のこども保健医務監として配置されたのだ。こども保健医務監―未来を担うこどもの生命を守る専門職として、極めて重要なポストである。こども青少年局の事業は医学に関わる分野が極めて多い。児童虐待分野は当然のこと、乳幼児健診、妊婦健診、胆道閉鎖症のカラーカード、不育症など高度な医学的な知識が必要とされる分野である。




胆道閉鎖症のカラーカードに関して、成育医療センターの松井陽病院長から直接お話を伺う機会にめぐまれた。“胆ったママs”という患者会と寄り添い、胆道閉鎖症の早期発見、早期治療にむけて邁進し続けてきた松井先生の姿勢には本当に敬意を払う。医師とは時に行政マンである局長や区長と生命を守るために、意見が異にすることがあったとしても、意見を主張できる存在であるはずだ。




しかし、横浜市ではその医師の存在が極めて危うい。軸足が行政組織側か、市民側かどちらにおいているのかわからない行政医師の幹部ばかりが目立つ。この青葉区の事例もその典型であろう。



総務局審査でのこのおかしな人事異動につき、質問した。質問の主旨は以下に示す。



平成22年、青葉区で起きた不適切な養育支援の再発予防の検証が終わらない中、責任者の福祉保健センター長が、こども青少年局のこども医務監として人事異動した。つまり、自分が起こした不適切な養育支援の事象を局の唯一の医者として自分自身が検証する立場に回ったことになる。市民から見て、常識的な信頼できる人事異動とは思えない。




コンプライアンスとは単なる法令遵守ではない。公務員として市民から何

を求められているかを認識することができる常識力でもあるのだ。だから、 “コンプライアンス上、不適切な人事異動とは思わなかったのですか” と大場副市長に聞いたのだ。大場副市長は青葉区の事例は事件性もなかったし、おおむね問題ないという回答をした。事件性がなかったと、そこまで言い切れる自信が全く理解できない。




平成157月、横浜市立脳血管医療センターで医療過誤が起こった。衛生

は事故当時センターにいた管理部長を磯子区の担当部長に、管理課長を

初代医療安全課長に、翌年41日に人事異動させた。どちらも、医療事故

の立ち入り検査を行う部署に異動させたのだ。医療過誤を起こした現場責

任者のメンバーが数日後には、取り締まる側に。だから、議会でこの人事

異動は、厳しく批判されたのだが。




あれから、7年。横浜市の人事の作法は何も変わっていない。同じような人

異動を、猛省もせずに何度も繰り返す。議員の指摘など馬耳東風。嵐が

過ぎ去って、忘れ去られるのを待っている。林市長のいう、 “議員に寄り

添って” の姿勢は、いつ実現することやら・・・。




時代はどんどんと変化を遂げているに、横浜市役所は、その変化から大き

取り残されているようだ。そして、年数をかけて横浜市役所への市民の

信頼が、少しずつ崩れ始めたことに耳を塞いでしまっているようだ。


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