横浜市健康福祉局のコンプライアンス(医療政策室) | 不可能をかのうにする かのう重雄 オフィシャルブログ「一つ、ひとつを重ねて」 Powered by Ameba

横浜市健康福祉局のコンプライアンス(医療政策室)

横浜市健康福祉局のコンプライアンス

医療政策室―脳卒中診療体制について


 今年度から横浜市健康福祉局の中に医療政策室が発足した。医療政策―それは林文子市長の行う政策の重点課題である。したがって、私は医療政策室が発足される前年度の健康福祉局決算特別委員会で、医療政策室に関する質問を行った。横浜市の医療政策は歴史的な大きな問題を孕んでいるからだ。一部、議事録を添付したいと思う。


◆(加納委員)最後に、副市長にお伺いいたします。ずっとやってきました今回の答弁から、例えば本市で展開されている医療政策が、本市の現状を把握する上で基礎データがないというようなこともございまして、そういったものを調査、把握しないで行われてきていることが一部あることがよくわかりました。



 本市の救急医療政策は、実は平成17 年度から救急医療検討委員会のメンバーなどの意見をもとにつくられております。いわゆるほとんどが外部の、ある意味では利害関係者がメンバーなのです。平成17 年から5年経過して、当時の救急医療検討委員会のメンバーを見れば、驚くのは私だけではないと思います。


 つまり、病院協会の不正問題の中心となった病院協会の理事だとか協会の会長や、そしてまた、横浜市大医療センター前院長、横浜市民病院前病院長など新聞報道で不祥事が指摘されたメンバーが実は並んでいるのです。


 一方、本市の大学医学部は、タミフルの製薬会社から寄附金を受けた教授が研究班から除外。そして、学位審査不正問題と次々と世間を騒がせてきました。つまり、一部の職員とこれらの不祥事を起こしてきた医療メンバーとの長い間の癒着体制が、本来市民の立場に立ち、安全かつ質の高い医療供給を遵守すべき行政の医療政策を軽視する体質にしてきたのではないかと、私は危惧しているのです。



 そこで、副市長にお伺いいたします。医療政策強化のため医療政策推進室を設立すると聞いておりますが、ぜひ本市の医療政策のさらなる健全化のため、公衆衛生の医師とともに、臨床に造詣の深い医師を対策室にバランスよく配置していただきたいと思います。


 本市は、長い間、医療政策関係の部署には、私の知る限り医師を配置してこなかったという、ある意味では市民から見ると不可解な歴史があるわけです。そこで、医療政策及び医療政策室について副市長の見解をお伺いいたします。


◎(大場副市長) 市民の皆さんにとって、医療についての関心はもう重大なものであります。これまで以上に市民の皆さんの健康、あるいは生命を守るということで、行政の責務を果たしていく必要があります。


 今回、局の再編、機能の検討の中で健康福祉局の中に、仮称でございますが、医療政策室を設けていこうということで、平成23 年度に向けて医療分野の総合調整であるとか、統括機能を強化していく。あるいは市立大学、病院経営局との連携強化も図っていこう。こういうことを今検討しておりますので、ぜひこういう分野、当然立派な専門家の方々がたくさんいらっしゃいます。今までもお世話になっている方がたくさんいらっしゃいますので、またお知恵をいただきながら取り組んでいきたいと考えております。



◆(加納委員) ありがとうございます。今までの医療政策及び本市の医療政策について見ると、余りにも不祥事が多いということを考えると、どうかしっかりと取り組んでいただきたいと思います。終わります。


 去年も今年と同様、大場副市長の答弁だった。決算特別委員会を質問する議員側には常に制限時間がある。限られた時間内で、こちらの意図するところを表現して有効に質問しなければならない。しかし、問題はそのあとのことである。質問し、答弁されたことを行政側が実行してくれているかどうかの検証が議会側には必要なのだ。



 議会改革は今期選挙における各政党のマニフェストだ。当選してからすでに8カ月も経過している。時は矢のように過ぎてゆく。地方議会が抱える大きな問題は、政策づくりを執行機関である行政に独占されていることである。  

 そもそも、地域の色々な意見を吸収する機能は、住民と日常的に接する機会が多い議員が集まる議会のほうが優れているはずだ。しかし、現実、横浜市で政策立案を行うのは市民と接点が少ない本庁の行政職員である。


 今回の副市長、局長からなる放射線対策部の対応は後手に回った。市民との感覚のずれが、今もなお大きな波紋を引き起こしている。副市長、局長たちは、我々議員同様に税金で生活を営んでいる存在である。景気が低迷する中、期末手当もしっかりといただいた。我々議員は、放射線問題で市民から直接相談をもちかければ会ってきちんと話をする。まして、この問題は先が読めない災害対策である。



 しかし、彼らはこの放射能問題で市民と直接話をしない。市民対応もメデイア対応も何の決定権もない課長が対応する。つまり組織のヒエラルギーの頂点に存在するのだ。そして、我々議員は市民に評価される存在だから、落選するときは落選する。しかし、公務員は定年までよほどのことがない限り解雇されない。また、最近は定年まで延長するようになって、その定年を延長した局長達が放射線対策の中心にいた。


 さて、医療政策の話に戻る。大場副市長の答弁で最も重要なところは以下のところだと思う。東日本大震災、3.11以前の答弁である。これまで以上に市民の皆さんの健康、あるいは生命を守るということで、行政の責務を果たしていく必要があります。と



 平成17年、発症3時間以内で投与すれば、脳梗塞の劇的に回復するtPAという治療薬が認可された。認可される前の平成14年から15年にかけて横浜市立脳血管医療センター神経内科チームがその治験を行っている。そして、障害を残さない治癒率が75%という驚異的な成績を示した


 だから、高度脳卒中救急医療を展開していたセンターには脳卒中の患者さんが集中して搬送されていて大変な混み様だった。その実力を無視したのか、わからなかったのか横浜市病院経営局は脳血管医療センターのリハビリ化構想をうちだす。


 議会側も当局の説明を鵜呑みにして、脳血管医療センターの医師を指して「専門家でない医師が脳卒中治療をしているだけ」と議会で主張している。結局、平成16年にいた専門医は一人もいなくなり、300床を50床減らしても病床利用率は低迷している。


 センターが当時の機能を失ってからの平成20年、健康福祉局の医療政策課はそのtPA治療を含めた横浜市脳卒中救急医療体制構築の立案を行った。その時の課長が、現在の放射線対策部の中心である健康福祉局の健康安全部長である。そして今年の3月、本市の危機管理室で「結核の集団感染」が発生。濃厚接触者と判定した職員が感染・発病の有無の検査もせず被災地に派遣してしまった。その結核など感染症を所管する部署の最高責任者でもある。

 tPAの治験のリーダーであった国立循環器病センターの峰松一夫医師がtPAはたしかにいつでも、どこでも、だれでも行える簡単な治療ではない。ルール違反を行えば、脳出血などの重大な合併症を引き起こし、より悪くなることがあると、市民団体“脳卒中から助かる会”に対し、警鐘を鳴らしている。当時の健康福祉局医療政策課には医師はひとりもいなかった


 そして、tPA治療ができると手あげした病院に脳卒中救急患者を搬送することにした。医学の勉強を医学部でしたことがない行政マンがこうやって医療の政策立案を安易に行なってしまうところが横浜市の特徴だ。知識がないだけに極めて無謀である。デメリットを分析せずに実行にうつしてしまうという自信がどこからくるのか理解に苦しむ。これは、まともな仕事とはいえない。


 平成20年12月から平成21年3月までの施行期間をおく。その間、治療効果は認められなかった。しかも、そこで検討会議も行なわないまま正式運用を開始してしまう。次の半年は治療効果がない上に、重症化・死亡が10ポイントも増加し53%になってしまった。報道で批判されている。




 今年4月、横浜市大医学部に勤務していた行政マンが医療政策室長となった。保健所にいた行政医師が担当部長として配置された。さらに、横浜市大病院長であり、病院経営局長であった医師が政策室のメンバーに加わった。



 11月26日、「脳卒中から助かる会」で話をする機会をいだだいた折、現在の体制の調査を行った。問題はホームページである。市役所のホームページのトップの右側に救急医療とある。そこをクリックすると脳血管疾患救急医療体制のページがある。

http://www.city.yokohama.lg.jp/kenko/iryoseisaku/teikyotaisei/nou.html


以下のようなことが書いてある。

 横浜市では脳血管疾患に関する救急対応が可能な医療機関の協力を得ながら、平成2012月から、これらの医療機関の受入態勢情報を収集するとともに、その情報を救急隊と共有することなどで、円滑かつ適切な医療が受けられる仕組みづくりを進めてきました。 また、平成21年度からは、脳血管疾患救急医療体制参加医療機関の同意のもと、病院名を公表するとともに、脳血管疾患に対応した救急医療体制をスタートしました。 ーーここまで言って大丈夫なのだろうか?



 さらに治療実績である。公開してある治療実績は非常に良い。しかし、悪かった施行期間、平成21年度上半期のデータはない。さらに平成22年度下半期のデータは実際、存在していて治療実績は良いとはいえない。データを更新していないのだ。つまり、悪いデータは公表しないのだ。市民を馬鹿にした酷い話だ。安心・安全の医療政策とは言い難い。コンプライアンス上も極めて問題である。



 流通しているものは安全だと言って汚染牛を食べさせてしまったという健康福祉局の幹部達の姿勢がここにも反映しているかと思うと、空恐ろしくなる。ひとりの患者さんのうしろには家族がいて、友達もいる。患者さんは単なる数ではない。患者さんにとって命はひとつしかない。


 知識がないことが、どれだけのことを引き起こしてきたかを、医療に携わってきた行政のOBも現在の行政マンも真摯に考えるべき時期にきたのではないだろうか。そして、私たち議員も。



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