横浜市のコンプライアンスと人事 ①
議会前の風景とその後―総務局 その4
横浜市のコンプライアンスと人事 ①
今回、横浜市のコンプライアンスの質問をするにあたって、調べていたら以下の研修を発見した。5月10日から13日まで開催された全国市町村国際文化研修所の研修である。
コンプライアンスと公務員倫理~より住民に信頼される行政を目指して~
http://www.jiam.jp/workshop/seminar/23/tr11068.html
講義の講師陣の中に横浜市コンプライアンス推進課があるのには少し驚いた。講師陣のトップは名城大学総合研究所教授 コンプライアンス研究センター長郷原 信郎 弁護士である。他の講師陣は名前があるが、横浜市の講義は横浜市コンプライアンス課としか書かれていない。
題名は“自治体コンプライアンスへの取り組み~継続的な制度の点検と評価による体制づくり~”であった。整備した後、どのように点検・評価して制度を改善しているのかを話すという主旨が書いてあった。改善したと判断するのは、市民であって、行政側ではない。このような講義を横浜市が引き受けるにはまだ時期早々ではないかと私は思う。
コンプライアンス推進のきっかけとなった町田市長選をめぐる政治資金規正法違反事件も本市の幹部職員の不祥事だったが、今年度は消防局幹部によるパワハラ、セクハラなどの不祥事報道が連続して続いている。
なぜ、このような不祥事を引き起こす職員が幹部に昇任するのかという単純な疑問が市民には生じるであろう。これもやはり横浜市の人事制度の問題である。つまり、幹部職員の選定基準である。
現在調査中であるが、本市において、一人の女性職員が上司のセクハラ、あるいは、部下が上司のパワハラを明らかにするには大変なエネルギーを要することがわかってきた。
たとえば、セクハラとパワハラとの境界線がいつも問題となる。ほとんどの場合、「立場(権力)の強い者」が「立場の弱い者」にセクハラを行う。自身の立場が上であること利用したパワハラが根底にある。下の立場の者が上の立場の者に対してセクハラを行った例は非常に稀であるため、セクハラだけでなくパワハラも重要視して考える必要性が指摘されている。
セクハラはパワハラの一種であり、1つの典型例とする説もある。これによると、パワハラ一般は立証が難しく、加害者にも自覚がないため対抗手段が取りにくい場合が多いが、セクハラについては立証しやすく、被害者に有利な法理で、加害者が厳しい処分を受けることに共通認識があるという。
しかし根底にはパワハラあってのセクハラのため、パワハラを厳しく取締まらなければ、セクハラだけの議論は希薄だと指摘がある。このような考え方が主流となっている今、人事組織課に現在調査中の案件で問い合わせをしたところ、セクハラとパワハラの問題は別だと言い切られた。旧式な考え方から抜け切れていない。呆れてしまった。
11月24日の朝日新聞デジタルの広告では、12月から新しい執筆陣が入れ替わり、新たな女性リーダーの紹介があった。その一人が林文子市長である。紹介には、女性の活躍の場を広げる取り組み、子どもたちへのメッセージなどをテーマにするとあった。外への発信も良いが、林市長には自分の足元である横浜市役所の女性職員が置かれている本当の現状を理解した上でがんばってもらいたい。
横浜市の副市長、局長、区長を含め横浜市のトップはほとんどが男性で占められている。女性が活躍しているとは言い難い横浜市の人事の体質を変えることは決して容易ではない。それは、人事組織課のスタンスで明らかだ。
また、セクハラあるいはパワハラの存在を知っていながら放置していることも、コンプライアンス違反なのだ。この件も今後取り上げていきたい。
横浜市のコンプライアンスにはまだまだ多くの問題が残されている。粛々と改善して初めて、人に指導することができることを忘れないで欲しいと思う。もはや、市民は“やっています。”という作文には騙されなくなったのでは?