横浜市のコンプライアンス  | 不可能をかのうにする かのう重雄 オフィシャルブログ「一つ、ひとつを重ねて」 Powered by Ameba

横浜市のコンプライアンス 

議会前の風景とその後―総務局 その3

横浜市のコンプライアンス 放射線対策③

横浜市の人事そして市民と職員の命の重さ


しばらくぶりにブログを書く。以前にも触れたことがあるが、総務局は人事を司る組織であり、ある意味で組織の心臓部である。


大王製紙やオリンパスの損失隠し問題や巨額借り入れ問題が、報道されているが、トップにつく幹部職のモラル欠如が、創業者の努力や多くの社員の努力を水泡に帰すという悲劇的な結末を表している。それだけに、組織のコンプライアンスに対する真剣さが問われる時代となってきているのだ。


私は、本市の総務局のコンプライアンスに対する真剣さを問う質問を平成22年度の決算審査(10月14日)で行った。そのトップにいるそれぞれの幹部職員のコンプライアンスに対する真剣さを判断するには、副市長や総務局長の答弁を聞いていただければ非常に参考になると思う。


3月11日の大震災は、今まで議会や行政に関心がなかった市民の意識を大きく変えた。本市の幹部職員ならば、時代の趨勢に敏感であってほしいと思う。


今日の朝日新聞の13版に“福島第一原発 爪痕なお”に大変インパクトのある写真が載っていた。特に印象的だったのはプルサーマル発電を行っていた三号機の原子力建屋の破損の写真である。当時の爆発がどれだけ大きなものであったかを物語っている。これが今、我々が認識しなければならない現実である。放射線汚染の問題。横浜市においても未だ解決していないし、先が見えていない。


1013日 東京新聞で“公費で親善サッカー 横浜市議会 来月ドイツ視察団”が報道されたことを機に、多くの支援者および市民の方々から、公明党として、また個人的にもお電話をいただき、厳しいご指摘をいただいた。


その中で、ある支援者の方から以下のようなご指摘があった。キャンセルしたから良いという問題ではない。なぜ、この大災害が起きて一年もたたない、そして放射線汚染など多くの問題を横浜市が抱えているこの時期に、海外視察への議員派遣という議題を公明党が容認したのだ。まして命を守る党と表明している公明党がなぜその議題を賛成したのだ。そこが根本的な問題なのだ。”という。


そのご指摘に対し、私個人としては二の句がつげなかった。527日の朝日新聞の社説に 原子力政策“公明党よ原点へ戻れ”というのがあった。政治グループ 鬼原 民幸氏による社説である。その緒言はこう書いてあった。公明党の立党精神“大衆とともに”はどこに行ったのか。

その支援者の方のご指摘は、まさに冷水を浴びさせられ、襟を正すことができた感謝すべきご指摘だった。そして、議会改革をマニフェストで挙げた以上、それを市民に対し目に見える形で示す責任が公明党の議員としてあるのだと改めて思った。


議員は行政を監視する責務がある。そして、行政は指摘された事項を改善してゆく責務がある。しかし、横浜市行政には答弁したことや、間違いを指摘されたことを迅速に改善しないという本質的な問題がある。

一方、議会側の問題もあると思う。質問し答弁されたことがその後、どの様に実現しているかの検証を行ってこなかったという問題だ。


6月6日に経済通産省は以下の記者発表を行っている。“東京電力株式会社福島第一原子力発電所の事故に係る1号機、2号機及び3号機の炉心の状態に関する評価について“である。

http://www.meti.go.jp/press/2011/06/20110606008/20110606008-2.pdf


これには、1号機から3号機までの炉心露出開始時間、炉心損傷開始時間、原子力圧力容器破損時間の解析結果が表となって提示されている。解析結果では3月11日午後6時には、1号機炉心は損傷開始。原子力圧力容器破損時間は午後8時ごろとなっている。


そして、表5には、解析で対象とした期間での大気中への放射線物質の放出量の試算値(ベクレル)が示されている。放出されている放射性物質はヨウ素、セシウムだけではない。ストロンチウム、プルトニウムなどの試算値も示されている。セシウムは10の16乗レベル、ストロンチウムの10の15乗レベル。プルトニウムは億単位である。あまり目にしたことのない単位だけに非常に驚く。つまりそれだけの莫大な放射性物質が放出されたということだ。


しかし、あの3月の時点で、どれだけの人間がその莫大な試算値を知っていただろうか。3月11日、12日、13日、14日と多くの国民がNHKのニュースで福島原発事故の成り行きを見ていただろう。当時、NHKは1号機と3号機の爆発映像を流していない。


3月17日、自衛隊のヘリによるの命がけの3号機への放水活動が始まった。3月18日の新聞の記事では、1号機と2号機の原子炉格納容器の破損は安全もしくは不明と書かれていた。だから、多くの国民が大丈夫かもしれない、自衛隊がんばってほしいと祈るような思いで見守っていたはずだ。


3月22日、25歳から56歳の横浜市の消防局員67名が、放水活動のため現地に出発した。そして、東京消防庁、川崎市、大阪市の救急消防隊員もぞくぞくと現地へ向かい、放水活動を開始した。横浜市は若い職員を派遣した。消防局長は自ら現場に赴いたのであろうか。

おそらく、現場に赴いた消防局員たちは、無残にも破壊された3号機を見たであろうに。


今となっては、消防局員達の内部被ばくを私は案じる。“ストロンチウムは首都圏まで飛ばない”と9月30日にNHKの番組で言っていた放射線総合医学研究所緊急被ばく医療研究センター長である杉浦紳之氏の見解は、明らかに間違っていた。


そのことを証明したのは横浜市放射線対策部ではない。こどもの命と未来を考えた一人の市民である。そのことが証明された今だけに心配である。


しかし、当の消防局幹部、保健師の課長のいる総務局職員健康課、そして、医師である保健所長がいる放射線対策部から、そんな心配の懸念の声すら聞こえてこない。横浜市大医学部には内部被ばくを検査するホールボデイカウンターがない。帰ってきた消防局員の健康調査は一体どうなっているのだろうか。


一方、横浜市消防局は、震災前の37日に結核の濃厚接触者(結核患者との接触の頻度が多いので結核に感染している可能性が高いと判断した人)と保健所に判断された危機管理室52人のうち、感染者であるかいなかの検査もしないで28人を環境の悪い被災地に派遣している。


7月12日の市民・文化観光・消防の常任委員会で、危機管理監兼消防局長は保健所から受けた説明として、こう答弁している“結核の感染と発病、発病してもすぐにうつることはないという説明を受けた。”と。


人にうつさないだけで良いわけがない。

感染者を発病させないという保健所の根本的な仕事を放棄しているような横浜市保健所のひどい説明だ。実際、28人のうち16人が感染者であることがわかり、2人が発病していた。発病をおさえる抗結核薬も与えないまま、被災地に派遣させたのだ。


職員の健康管理を行うはずの産業医と保健師は、3月の時点で何も動いていない。これはまさに、職員の健康、そして命を守る姿勢を疑われる総務局の失策である。そして、このことによって、総務局が2万人以上の職員を抱える組織を構築する上で、労働安全衛生法に準ずるだけのシステムを構築してきたのかという本質的な問題が見えてくるのだ。


一方、横浜市保健所は、自らが作成した接触者健診マニュアルの手引きに従っていない。さらに、去年の6月に“感染症法に基づく結核の接触者健康診断の手引き改訂第4版”が出ているが、それに則した改訂も行っていない。怠け者と思われても仕方がないであろう。


そして、適材適所に人事を配置するのが総務局人事組織課の責任である。公務員は市民からいつも見られている職業であることを忘れてはいけない。横浜市は会社ではない。なぜなら、政策の失策をいつも補てんしているのは市民ではないか。


7月13日、以下ように報道されていたことを放射線対策部は知っているだろうか。


消防隊員の健康調査実施へ=福島第1原発事故で―総務省消防庁

 総務省消防庁は13日、福島第1原発事故で放水作業に当たった消防隊員の健康状態を調べる検討会を設置すると発表した。検討会で診断項目などを詰め、今年度中に調査を実施。必要に応じて退職後も含め定期健診を行い、隊員の健康管理に万全を期す。調査対象は、放水などで福島第1原発3号機近くで活動した、東京消防庁、横浜、川崎、大阪各市消防局の緊急消防援助隊員約200人。放射線が隊員に与えた影響を調査するほか、特殊な現場での活動だったことを踏まえ、隊員の心のケアにも取り組む予定だ。                              時事通信

放射線対策部―それは副市長を含む横浜市の局長たち、つまりトップの幹部で構成されている。今までの経過を考えるとそこには、市民のみならず職員の生命を守るという強い意志が認められないと思われても仕方がないのでは?。残念だ。



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