横浜市のコンプライアンス 放射線対策② | 不可能をかのうにする かのう重雄 オフィシャルブログ「一つ、ひとつを重ねて」 Powered by Ameba

横浜市のコンプライアンス 放射線対策②

議会前の風景とその後―総務局 その2

横浜市のコンプライアンス 放射線対策②

横浜市に勤務する医師について





去年の健康福祉局の局別審査で以下のような質問を行った。

“保健所をひとつになったことのメリットとデメリットとは何か?”という質問である。



メリットとして、

“保健所長の指揮命令系統の一元化により、区域を超えるような後広域、大規模な感染症、食中毒などに発生時にも迅速化かつ的確な判断による統一的な対応ができるようになった。”と健康福祉局からは回答を得ている。



本庁にある保健所には医師、保健師、薬剤師、放射線科技師、獣医師などそれなりの専門家集団が配属されている。それぞれが国家資格をもっており、専門職としての法律のもとで業務を行っている。





たとえば医師法だが、

第1条 医師は、医療及び保健指導を掌ることによつて公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もつて国民の健康な生活を確保するものとするとある。保健所長は医師である。したがって、医師である以上、どのような組織下にあっても、医師法に順じた仕事を行う責務がある。つまり、市民の命と安全を第一に考えて業務を行う責務があるのだ。




10月14日の朝日新聞の記事は非常にインパクトが大きかった。


横浜市港北区のマンションの屋上からストロンチウム90が検出された問題で、山田正人副市長は13日、“ストロンチウムは重いから横浜に飛んでこない”と言い続けた市の見解について、必ずしも放射能の知識を十分に習得していたわけではない”と説明し、遠回しに修正した。


―略―豊沢隆弘保健所長は同委で“ストロンチウム90は半減期が長く、核実験の影響で1960年代には高い濃度が出た。最近でもわずかに検出されている。”と原発事故との因果関係を否定するような答弁をしたこともやり玉に。“築数年のマンションに、30年以上前の核実験の影響はあり得ない。根拠のない無責任な発言だ”との批判を受けた。


山田副市長は“我々の知見は十分ではない。保健所長もその時点におけるベストを尽くした答弁をしている”とあいまいな答弁で締めくくった。

保健所長の指揮命令系統の一元化が、迅速化かつ的確な判断による統一的な対応ができなくなったと表明したことと同じである。



つまり、たった一人の知識のない医師の判断で市民の生命が危うくなったけど、その時その時に努力していたから仕方がなかったということを遠まわしに言っているようなものだ。



また、築数年のマンションに、30年以上前の核実験の影響について論じたという失言は知識以前の問題であり、注意力の問題だ。



すでに福島原発から半年以上も経過しているのだ。いくらでも知識の習得の時間はあったはずである。健康安全課にはもう一人、医師の部長が配属されている。





一方、新たに作られた医療政策室は横浜市医療政策において横浜市大との医療連携に力を入れている。



そして、本市の放射線対策の知識の要となった井上登美夫医師は横浜市大放射線科の教授である。去年の議会でも指摘したが、医療の質が評価できないと困るから医療政策室にはそれなりの医師の専門職を配置すべきだと言ったのだが配属された医師の部長の動きが全く見えてこない。関係ないと思っているとしたらそれは大きな間違いだ。




新聞でもテレビでも多くの専門家が内部被ばくの危険性の警告を発信してきたはずだ。保健所の専門職は、専門職としていくらでもあらゆる角度でこの放射線災害について、学ぶ機会はあったはずだ。




電離則では核種の放射性物質の評価に濃度の指標を使っている。平成23年8月30日に報道発表された放射線量等分布マップ作成の過程で、実際、放射性セシウムの土壌を採取し調査している。



http://radioactivity.mext.go.jp/ja/distribution_map_around_FukushimaNPP/0002/11555_0830.pdf



土壌検査が汚染調査の基本である。しかし、横浜市は土壌検査をしないという。




また、放射性物質の除染の際、問題となるのは外部被ばくだけではない。

内部被ばくが問題となる。横浜市は答弁でも、記者会見でも、8月26日に示された原子力災害対策本部から出た市町村による除染実施ガイドラインに沿って行ったから、職員等の安全は確保できていると言いきる。




しかし、実際にはできていない。
今回の局別審査でも、写真を提示して示した。



そうすると一部、できていないと言い訳の答弁が返ってくる。ところが、8月26日以降の9月9日、厚生労働省労働基準安全衛生部長から都道府県労働局長宛てに以下の文書が通知されている。



“除染に関する緊急実施基本方針および市町村除染実施ガイドラインに基づく除染作業における労働者の放射線防止措置について“である。




つまり除染作業は、汚染の程度に応じて、汚染防止のために有効な保護衣類、手袋、履物を備え、作業に従事する労働者に使用させるなどの項目が追加されているのだ。そこには防じんマスクの必要性も指摘してある。



http://www.jaish.gr.jp/anzen/hor/hombun/hor1-52/hor1-52-57-1-0.htm



したがって、市立保育園の除染の前、セシウム105400ベクレル/キログラムとストロンチウム検出の情報は、職員の安全を確保する上で、とても重要な情報であったはずだ。空間線量だけで論じるのはおかしい。14日の記者会見でも記者に“いい加減に話をすり替えるな”と係長が厳しく指摘されていた。


つまり、粉じんを吸い込むことによって起こる内部被ばくから職員を守る責務が、事実を知っている保健所にはあったはずだ。



9月9日の通知には以下のような記載がある。




(6) 作業に従事する労働者に対し、あらかじめ、[1]放射性物質又はこれらによって汚染された物に関する知識、[2]除染の作業方法に関する知識、[3]除染で使用する機器、器具等の構造及び取扱方法に関する知識、[4]電離放射線の生体に与える影響、[5]関係法令の知識、[6]除染の作業の方法及び使用する機器、器具の取扱についての教育を実施すること、瀬谷区を例にとっても、そんなことは実施されていなかった。



医師の仕事は、人の命を守ることにある。その言葉がむなしく響く現実である。横浜市の保健所は専門職が専門職としての使命を忘れてしまうところのようだ?。



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