横浜市の放射能対策 | 不可能をかのうにする かのう重雄 オフィシャルブログ「一つ、ひとつを重ねて」 Powered by Ameba

横浜市の放射能対策

横浜市役所で一番強い権限をもっているのは誰?



強引な改革、職員がものを言えない組織―中田市長辞任後、そんな新聞での批評が目についた。



横浜市の初代女性市長―林文子市長。去年の8月31日の日本経済新聞の検証林市政の1年の掲載は印象的だった。二人のリーダーシップは大きく異なっている。中田市長時代はトップダウンで話が進むことが多かったため意見を求められることは珍しかった。これまでとは百八十度の方向転換だ。“課題は現場にある”“民間以上にコミュニケーションを取らざるを得ない。”と話したと書かれてあった。





しかし、3月11日以降の横浜市の放射線対策部のスタンスは、現場主義“林市政”の百八十度の転換だった。給食の汚染問題、土壌検査の要望などの市民からの要請をことごとく跳ね返した。強引なトップダウン。

そして、“放射線問題―“対応は最善”とした8月31日の東京新聞のインタビュー記事を皮切りに、林市長リコールという現象まで巻き起こった。



東京新聞でこの記事が掲載された日、市長の定例記者会見が開かれている。

議事録を添付する。市長は、自分自身の言葉で見解を述べ謝罪している。



記者:

新聞紙面での市長就任2年のインタビューにおいて、小学校給食での牛肉提供の話題における市長の答えに対し、市民からかなり反響があるようです。司令塔として冷静でいいのではないかという声がある一方で、保護者や消費者の目線からいうと少し離れているのではないか、という声があるのですが、どう感じていらっしゃいますか。


市長:

今回の放射能汚染について軽く考えているわけではなく、できることはやってきたという意味で申し上げているのであって、私どもの体制が万全だということを申し上げているわけではありません。(震災後)初期の頃の情報の中で、過度に反応してしまうというか、逆に過度に反応してしまうと市民の皆様が余計に心配するだろうということを申し上げたのです。


その後については粛々と検査をしていますし、しっかりと(検査)体制を整えています。(市民の皆様が)その様にとらえてしまったとしたら、申し訳なく思います。ただ決してそうした気持ちではなく、なによりも市民の皆様の不安を取り去りたい、安心していただきたいという思いでやってきました。


ただ実際に、放射性セシウムの暫定規制値を超えた牛肉が小学校給食に使用され、市民の皆様が不安になられたわけですから、それについては本当に申し訳なく思っています。今後補正予算で全ての市立学校に放射線測定器を設置するなど、検査体制をしっかりと確立していきます。何よりも市民の皆様に安心していただけるような、安全をお図りするための措置を補正予算で組ませていただいていますので、御理解いただきたいと思います。



しかし、本会議場の市長の答弁には明らかな謝罪はなかった。





9月10日、新聞各社に“放射性セシウムが検出された下水汚泥の焼却灰を横浜港の南本牧廃棄物最終処分場(中区)に埋め立てる方針を発表した”と報道される。地元住民ら約100人が13日、横浜市役所に集まり林文子市長あての抗議文を提出し、計画中止を求めた。市議会でも埋め立て決定に批判が集中した。


つまり、横浜市役所の上から目線、そして議会軽視の今までの強引な手法が露呈したのだ。そして。14日、市長が説明不十分を謝罪し、埋め立て凍結を表明するというどたばた劇が起こる。しかし、役所言葉の凍結は、撤回という意味ではない。その解釈には注意を払う必要がある。




9月17日の土曜日、横浜市港北区の住民の独自測定(民間の分析機関に依頼)によって堆積物6万3000ベクレル/キログラム検出されたことが朝日新聞に、また住民の通報によって港北区の道路脇の側溝付近で本市が放射線量を測定したところ、毎時0.9マイクロシーベルトを検出したことが東京新聞に報道された。


すると、横浜市はその午後に緊急の記者会見を行う。マイクロスポットの存在とその後の対応策を。



そして、9月21日。神奈川新聞の記事にこども青少年局の指示で18日から20日の朝にかけて、本市18区の市立保育園の堆積物の除去が行われたことが書かれていた。また、議会側はそのことを初めて報道によって知らされる。



港北区は空間線量を測定して除去されているが、他の17区は測定もされていないとある。なぜ?と不思議に思う。また放射能汚染の重要な判断基準となる土壌検査が行われていない。朝日新聞によると、港北区以外の測定は機器が不足して、具体的な日程は未定という。何とも不公平な話である。





国際都市と言われてきた大都市横浜。市民の莫大な税金で行われる政策。政策を描くのはいつも行政マン。しかし、政策の是非を問うデータは常に不十分である。そして、政策の市民への事前説明はいつも不十分。



市民の代表であるはずの議会への説明は一部の議員だけで終わり。市長の答弁を書くのは誰? そして地方議会は“学芸会”か“八百長”と手厳しい批判にさらされている時代でもある。






3月11日以降の放射能対策の一連の流れを冷静に検証すれば、非常にわかりやすいはずだ。横浜市で一番強い権限をもっているのが行政マンであることを。でも一方で、その状態を放置させてきた責任は私も含め議会にあると今は思う。





横浜市職員行動基準に書いてあること。




1“市民・社会の要請を実現するために行動します。”

2 市民から信頼されるよう誠実・公正に行動します。

3 市民の安全・安心を第一に行動します。

4“人権”と“環境”を配慮し、行動します。

5 互いに力を合わせ、いきいきと働ける職場をつくります。




今となっては空しく聞こえる行動基準である。



本市の放射線対策によって、現職の横浜市職員幹部が27の市民団体から解任要求をされる事態まで引き起こしているのだから。まさに前代未聞である。




そして、この行動基準の産みの親でもあり、この組織の体質を作り上げてきた総務局の局別審査を私は行うことになった。


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