横浜市の放射能対策 | 不可能をかのうにする かのう重雄 オフィシャルブログ「一つ、ひとつを重ねて」 Powered by Ameba

横浜市の放射能対策

78日 安全安心都市特別委員会記録が教えてくれたことーその2




行政機関はその専門性として法律を熟知しているところにある。いわゆる本市の事務職が行政手腕として強調するのはその点にある。

最近、色々な資料請求を健康に関わる分野の局に対して行っているが、国からの通知(政策・調査)に対する対応が不十分であることがわかった。



今後、このブログでも詳細に報告しようと思っている。

つまり、本市の最大の弱点は政策を行う上での、基本的な数字をもっていないことだ。国は10年前から、具体的な調査項目を示し、自治体に調査を行うように提言している。5年ごとの中間報告などを求めながら、調査を促しているわけだが、結局調査らしい調査などしていないことがわかってきた。



カラー刷りのチラシやパンフレットはたくさん作って配布している。(作ったことで安心し、作ってあることで納得する人々。)


これも予算にすれば膨大な金額となる。しかし、実際どんな効果があったかを聞いても、評価に耐えうるだけの結果が出てこないことがわかってきた。いわゆる政策を行う上でのベースラインの数字がないのだ。平時の時でさえこの仕事ぶりである。有事の今現在、突然放射能調査をと健康福祉局に要求したところで、それは大変なことだ。




去年の10月の健康福祉局の局別審査で私は、APEC開催にあたりテロ対策の質問を行ったが、その質問前の調整段階で、非常に未熟な状況であることを認識した。テロ対策といっても、色々な種類がある。核・化学物質・細菌など。しかし、危機感のない健康福祉局対して敢えて質問を行った。


当時、私の資料請求が多い状況が当局から他党の議員に流され、他党の議員から指摘されたことがある。資料請求をし、勉強して質問を構成するのが議員の仕事である。結局、考えもつかなった津波と原発事故という危機に国全体が対峙することとなった。




311日以降と前とは社会状況が全く変わってしまったことを議会側も早く気づくべきであろう。議会改革をマニフェストとして当選してきた以上、今まで以上の緊張感が必要だ。



平成23114日厚生労働省は電離放射線障害防止規則を定めている。

たとえば、第2章第4条に放射線業務従事者の被ばく限度の記載がある。


 労働者の受ける実行線量が5年間についき百ミリシーベルトを超えず、かつ1年間につき50ミリシーベルトを超えないようにしなければならない。


さらに②女性の従事者に対しては、3月間につき5ミリシーベルトを超えないようにしなければならない。とあり、基準は厳しい。


しかし、福島原発が起これば、厚生労働省の基準が250ミリシーベルトにまで跳ね上がる。それでは、法律の意味はなくなってしまう。放射能のことがわからなくても、この矛盾に行政のプロなら気づくべきであろう?



日本政府の対応の矛盾、報道の矛盾、専門家の矛盾など様々な情報があふれている。だから、非常に個人個人が判断しにくい状況に置かれていることは確かだ。さて議会は市民の代表であり、その立場は極めて大きい。議会の責務は行政の監視が柱である。特に、この放射能対策に関しては議会側が軽々に判断することによって、後世まで語り継がれる失態を引き起こしかねない。




マスコミで取り上げられているクレーマーという言葉に惑わされ、内容の重要度を認識しないと大きな損失を引き起こすことは経営を行うものにとっての常識である。ところが、行政機関の政策の失敗を補てんするのはいつも市民の払う税金である。Y150の赤字補てんがまさにその典型例だ。市民からの指摘が不条理な指摘か、あるいは重要な指摘かを見分ける判断力が本市の行政職員に果たして養われているのだろうか?





“流通している食品は安全である。”という横浜市の論理が崩れ、市民の事前の指摘があったにも関わらず、学校給食に汚染牛肉が使用された可能性がある以上、今後、議会側も更に慎重かつ冷静に判断するべきであろう。それも、今回の被害者はこどもたちである。健康福祉局の放射能対策部の判断は明らかに誤った。



去年の10月、健康福祉局の局別審査では、脳血管救急医療体制の患者側に立った体制への改善を求める質問を行ったが、局長の答弁は病院側に軸足置き続けた。(インターネット中継)

http://www.yokohama-city.stream.jfit.co.jp/vod_play.php?CNTID=63252&PREVPAGE=%CC%E1%A4%EB


89日の常任委員会で、健康福祉局長からも、医師である保健所長からも、謝罪の言葉はひとこともなかった。小学生も高学年ならば、この大人達の対応をよく理解できるはずだ。




保健所には食品衛生法に基づいて食品の安全を確保する仕事がある。


食品衛生法 第1章 第1

“食品の安全性確保のために公衆衛生の見地から必要な規制その他の措置を講ずることにより、飲食に起因する衛生上の危害の発生を防止し、もつて国民の健康の保護を図ること”とある。


流通している食品が時に安全でないことが起こることなど、その仕事を担っている保健所が一番わかっているはずである。雪印食品による雪印牛肉偽装事件、中国の毒入りギョーザ、焼き肉えびすの生肉の事件など食に関する事件は次々と報道されてきた。また船場吉兆は賞味期限切れの食品を扱ったことでそのブランド力を失墜させたのだ。


流通している食品がすべて安全だったら、保健所の食品衛生の仕事など必要がない。予防するという自分たちがしてきた仕事さえも否定したと思われても仕方がない答弁だ。




さて、今後も本市における放射能対策の勉強会には、横浜市大放射線科井上登美夫教授が講師として選出されている。安全安心都市特別委員会の議事録を読むと、氏の講演が絶賛されているように思える。





しかし、議事録を読み返せば読み返すほど納得のゆかない氏の言及がある。


望月高徳議員の質問に対する言及を紹介する。



“チェルノブイリのとき、いろいろな実害が出ているのは確かです。特にクローズアップされたのはお子さんの甲状腺がん、恐らく政府が隠したり、避難させないとか、水を制限なく飲ませていたとか、そういった管理が十分でなかったというところが背景にあると思うのですが、今回の場合は避難勧告がすぐにサーッと出されまして、モニターがされて、計画的に管理されている状況である、その数値も出ておりますので、そういった比較であります





メルトダウンの公表は遅く、SPEEDIの情報も封印された。

我々議会側が、全く勉強していないと思われているような答弁だ。



“・・・非常に長期にわたって結果が出されてきますので、今回の福島の調査結果を長期にわたって発がんという観点から研究をもしされたとしまして、出てくるのは10年とか15年という時点だと思います。私の個人的な見解としては、影響がなかったという結論が出るだろうと思っておりまして、

その言及の明らかな根拠は述べられていない。



今後、私の所属する常任委員会では放射能で汚染された汚泥処理等の対応をしっかりと議論しなければならない。横浜市は、横浜市大放射線科井上登美夫教授だけではなく、考えや角度の異なる別な講師も招聘すべきであると私は考える。