横浜市の放射能対策は国際社会の信頼に耐えうるのか? | 不可能をかのうにする かのう重雄 オフィシャルブログ「一つ、ひとつを重ねて」 Powered by Ameba

横浜市の放射能対策は国際社会の信頼に耐えうるのか?

東日本大震災福島第1原発事故のその後―横浜市の放射能対策は国際社会から信頼に耐えうるのか?




東日本大震災から3カ月経過しようとしている。

福島第1原発事故の解決の糸口は未だ見えない。


震災直後の報道では、国も東電も大丈夫と発信していた。しかし、最近になって、報道の論調は大きく変化してきている。



震災後2カ月経過の5月12日、東京電力は1号機の燃料棒の原子炉の底が崩れ落ちる可能性があると発表した。


6月6日には経済産業省原子力安全保安院が地震発生後の当日5時間後には1号機は炉心溶融(メルトダウン)となり、圧力容器が破損したとする独自の解析結果を発表。国と東電の発表に食い違いが出てきた。




当時、テレビをつけると常に政府も東電も原子力の専門家と言われる人たちも皆、“大丈夫”と言っていたことを、殆どの国民が鮮明に記憶していると思う。





震災発生後、海外で放送された映像はインターネットを検索すれば、容易に見ることができる。

日本では放映されていない、3月12日の1号機の爆発映像だ。

http://www.youtube.com/watch?v=8-mHN91I2E8&feature=related



そして日本では放映されていない福島第1原発の3号機の爆発映像。
http://www.youtube.com/watch?v=T_N-wNFSGyQ&feature=player_embedded  



是非アクセスして、その映像を見ていただきたい。

国際社会が不安に思ったのも無理のない極めて迫力のある映像である。

被曝の恐れのある場所は放射線管理区域に指定され、厳密に管理される。また、業務上放射線を扱うため被曝のおそれがある労働者については年間等の被曝線量に限度が設けられており、これを超えて従業することは国際放射線防護委員会(IRCP)の勧告に基づいた放射線障害防止法、電離放射線障害防止規則、人事院規則10-5、医療法施行規則等により多重規制されている。




ところが、福島第1原発事故が起こると326日、その法律の根拠にもなっていた勧告を当の国際放射線防護委員会(IRCP)がその基準の引き上げを提案したのだ。

一般公衆が1年間にさらされてよい人工放射線の限度は1ミリシーベルトだった。その限度を120ミリシーベルトまでの引き上げるという。



おかしな話である。今までの規制は何のための規制だったのか。法律違反には罰則が生じる。たとえば、明日から飲酒運転しても違反ではなくなったら、誰もが驚くであろう。法の規制がそう簡単に変わってしまったら大変である。




このように国際組織も政府も東電も専門家も、基準や言うことがころころと変わる中で、調査もしないで安全だと言うには勇気がいる。

安全だというにはそれに耐えうるだけの根拠がなければならない。根拠となるデータを示さないで安全だと言っても、誰も信用しない。こどもでもわかる理屈である。



525日の市長会見での市長の答弁は歯切れが悪い。市長に福島原発事故の基礎的な考え方や情報が十分に提供されていないことの予想がつく。気の毒なことだ。


記者: 学校給食の件について伺います。(放射能)汚染地域以外からの食材調達や(入ってくる食材の)全量調査の要望が出ているようですが、市長はどのようにお考えですか。

市長: お気持ちは非常に分かりますし、検討していきたいと思いますが、実際に難しい点もあります。出荷時に放射能検査がされていますので、安全性については御信頼いただきたいと思います。

記者: 校庭での放射線量調査を行う考えはありますか。

市長: (放射線量の調査については)検討するよう指示しています。




神奈川県内の足柄茶の茶葉や浄水場の汚泥から放射性セシウムの検出が相次いで確認されてから、平塚、大和両市、逗子市、大磯町など学校での放射線測定を独自で始めた。横浜市は一歩も二歩も遅れをとっている。柔軟性もなければ独創性もない。



まして、横浜市は理系の英才教育を誇っている横浜サイエンスフロンテイア高校を設立している。世界に例をみない福島原発事故。まさに理系的発想を要する大災害である。国際都市として自負するならば、歴史的評価に耐えうるだけの放射能対策を期待したいものだ。