横浜市大医学部付属病院患者取り違え事件から12年。

横浜市の医療安全管理―その１

横浜市大医学部付属病院患者取り違え事件から12年。

一体何が変わったのか？

　平成11年1月11日、今から12年前、横浜市大医学部付属病院患者取り違え事件が起きた。さて、我々本市の市会議員の中で、一体どのような経過で取り違えが起こったかを正確に知っている人間が何人いるであろうか。自分自身もふと自問自答してみるとよくわかっていない。

　いつも、医療事故が起こると始まる議会での当局側答弁のパターンを思いだしてみればわかる。“今、警察の捜査中ですから”“裁判中だから”という理由をつけて、詳細な事実は説明されない。警察の捜査結果にしても、裁判の結果にしてもそれが公に出るまでにはかなりの時間経過を要する。

　だから、その当時の常任委員会の議員メンバーはとっくに交代しているので、結果が出るころには議論がしにくい環境に様変わりしている。メデイア報道にしても、神奈川新聞以外、市政記者は何代も交代した後のせいか、紙面をさく量も少なく情報量も少ない記事となっている。

　莫大な補助金が市大病院には投入されているにも関わらず、予算を審査し、議決する議員側には正確な情報を知る機会が非常に少ないのが、この横浜市の今までの体制である。

　議論や外部からの指摘がなければ、何が変わるのだろうか。何度も繰り返される謝罪と“再発防止に努める”という当局側のお決まりの対応。そして、同じ言葉が新聞報道には載り、記事も特に新しい事実がない限り載らない。

　横浜市大センター病院で起こった麻薬取締法違反の疑いで麻酔科医、女性看護師の逮捕により、11月18日都市経営・総務委員会が開催された。早速、その委員会での議事録をとりよせてみた。（議事録は横浜市のホームページ（http://giji.city.yokohama.jp/kaigiroku/ ）から少し時間はかかるが、閲覧することができる。）副市長、都市経営局長、理事もまずは謝罪と再発防止で一貫して対応。

　今後の当局側の対応および調査委員会の結果が果たして、どう変わってゆくかを期待したいところだ。

　12年前の横浜市大医学部患者取り違え事件は、日本の医療安全管理の方向に大きな転換期をもたらせたことを忘れてはならない。そして、その大きな転換のかじ取りをとったのが公明党の坂口厚生労働大臣である。

　平成13年度、私が福祉衛生環境保全委員会のメンバーであったとき、大臣が言われたことでともて印象に残った言葉がある。“加納君、医療の世界はそう一筋縄ではいかないよ。”と。

　それから、平成13年、母が横浜市立脳血管医療センターに入院したことをきかっけに今日までの10年間、その意味が何たるかを思い知らされることになるとは思わなかった。

私たち家族は、横浜市立脳血管医療センターに母を入院させた折に、さまざまな経験をした。以前もこのブログで紹介したように、母や私たち家族が経験した事件を医療安全という視点から書こうと思う。

　今回、市大センター病院の事件で非常に他に例をみないショッキングなできごとはやはり女性看護師逮捕という事実であろう。

　麻酔科医自身が、麻薬取締法違反で逮捕されるという事件は、時に新聞報道されるが、看護師が同時に逮捕される事件はあまり例をみないのではないか。

　横浜市立脳血管医療センターでは、看護師長による不祥事が続いていた。

平成14年11月13日に起こった脳血管医療センター管理部の応接室内で起こったセンター管理職等が行った飲酒行為。その中に、当時安全管理担当の看護師長が関わってっていたことに驚いたことを思い出した。

　しかし、その後、翌年度その看護師長は特にその行為で安全管理担当から異動するということはなかった。そして、さらに驚いたことに、この看護師長は平成15年に起きた脳外科による内視鏡医療事故の対応に当たっている。（この看護師長の人事に関しては後述する。）

　平成16年7月5日、私の母の診療情報を持ち帰った看護師長がひったくりにあい、個人情報を紛失するという事件が起こったのだ。この時の次々と引き起こした不可解なセンター看護部の対応（未だ未解決）は後述するが、この問題で当時ICU担当だった看護師長は処分を受けた。

　そして、今回非常に驚いたことがある。今回のセンター病院の事件で、個人の問題より安全管理体制に問題があると私は思い、資料請求を行った。今回の市大センター病院の専任安全管理担当にその看護師長の名前を見つけたのだ。平成16年当時、看護部等による母のカルテかいざん、そして虚偽説明（この看護師長も含む）問題でセンター看護部と対応していただけに今回の人事には本当に驚いた。