議会前の風景―そして本番 その7 小児科救急医療体制 | 不可能をかのうにする かのう重雄 オフィシャルブログ「一つ、ひとつを重ねて」 Powered by Ameba

議会前の風景―そして本番 その7 小児科救急医療体制

“みんなで支えるこどもの救急”キャンペーン開始―本当にこのキャンペーン安心?




 77日、林市長直轄の下で実施した産科・小児科・救急医療体制充実プロジェクトでの取り組みのひとつとして記者発表が行われた。




 事業の背景として、“入院を必要とする救急患者を扱う二次救急病院に、症状の軽い患者さんが集中することなどから、小児科医の疲弊も生まれています。”とある。参考数値として救急車により搬送された軽症者は、平成20年度まで減少傾向にあったが、21年度になり再び増加している。乳幼児の軽症者の割合が増加していると示している。


 平成21年度は新型インフルエンザが発生した特殊な状況があったことを忘れたかのような説明にまず呆れた。新型インフルエンザが脳症を起こしやすいあるいは、発熱後すぐに呼吸状態が悪化するなどの特徴が専門家から発信されたことを忘れてはいけない。




 さて小児科医師が疲弊しまうから、小児救急のかかりかたを啓発しよう。現場の医師サイドからの意見となると、なるほどと納得させられる一面もある。しかし、首をかしげたくなる事例もよく耳にする。“こどもの病気は進行が早いから受診しなさい”“なぜもっと早く来院しなかったのか”“盲腸の診断が遅れて死んでしまった。”など。小児救急のかかりかたを勉強をして一体本当に素人が軽症と重症のみわけができるようになるのかと。


 そして平成20年に朝日新聞に載っていた衝撃的な記事。“乳幼児髄膜炎1日で急変して脳死に”―患児の父は産婦人科医、母は小児科医と両親とともに医師。-ワクチン公費にと訴えていた。




 小児救急医療対策の順番が違うのでは?という疑問が湧いてきた。

728日に報道されたクローズアップ現代で小児ICUをもつと紹介されていた東京の国立成育医療研究センター。http://www.ncchd.go.jp/hospital/section/general/kyuukyuu.html

救急診療部門の概念が書いてあった。


我が国では、医療機関を受診する前に患者さん自身や保護者、あるいは病院前救護者(救急隊員)が病状の緊急度・重症度を判断して、受診場所を選別する制度(初期救急、二次救急、救命救急の三段階救急体制)が一般的です。


しかし、果たしてこの概念が、自ら訴えることができず、予備力も少なく、病状の変化が急激な子どもの救急現場にとって理想的な体制と言い切れるでしょうか。私たちのこれまでの経験からも、いつもと変わりなく自家用車で受診した子どもや、ごく一般的な症状を訴える子どものなかに極めて緊急度の高い病状が隠れ、病院到着後直ちに集中的な治療が必要であったことを稀ならず経験しています。つまり、病院に受診する前の段階での病状の判断には限界があると考えています。


 よって、私たちは、「まず全ての子どもを受け入れて、病院内で子どものもつ病状の緊急度を判断し、その緊急度に応じた診療を行う」ことが小児救急医療の理想だと考えます。そうすることで、周りに気付かれにくい隠れた重大な病状をも拾い上げ、遅滞のない診療へと結びつけることができます。北米の代表的な子ども病院の一つであるトロント小児病院の前救急部長であるジャービス先生も、「私たちは、1人の重篤な子どもを救命するために、100人の軽症の子どもを喜んで診察します。」と述べています。




 同じ小児科の専門医療機関でありながら、全く逆ともいえる姿勢に私は大変驚いた。



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