今年も母校のロースクールの民事模擬裁判に外部講師として呼んでいただいた。
早朝の大学生協の前。誰もいないそこで、蝉の声だけが聞こえてくる。そっと眼を閉じてみた。
急に寒くなった。今は夏なのに冬のようだ。1人の学生が生協に入っていく。何かの申し込みをしている。いつか見た気がする。
司法試験予備校の入学申し込みだ。大学生協を通すと割引があるんだった。
学生は手続を終えるとお金を支払い帰っていった。
その背中からは、何かの決意が伝わってきた。
眼を開けると蝉の声がまた聞こえてきた。
周りには誰もいない。生協はまだ閉まっている。
そうかあの学生は自分だったのか。
弁護士になり、こうして戻ってきた幸せを感じながら校舎へ向かった。
あの日の気持ちはこれからも忘れない。
